第18話
草薙と石井に関してだが、まだ証拠がない以上は先生に言うことは出来ない。また、向こうもそんな証拠を残すほど甘い行動はしないだろう、よく考えたら僕がこの前トイレに行ってたところで証拠は得られなかっただろう。
︎︎となれば証拠を得られるとしたら体育祭を開催している二日間かな。
僕が前呼ばれた場所、学校裏で話すというベタなことをしてくれれば楽なんだけど、さすがにそこまで頭は悪くないだろうね。あそこは四方向のうち三方向からは全く見えないけど残りの一方向は結構開けてるから集まってたら見られるし。
あと琴理さんに秘密にしておくつもりだったけどすぐバレたよね、まぁ最悪琴歌さんにだけバレなければいいけどさ。それでも琴理さんも女の子なんだからさぁ危険があることに関わって欲しくないよね。
︎︎そう言ったら「妹が危険な目に遭うかもしれないのに何もしなかったら姉じゃない」と言われてしまったので止めることは出来なかった。
普通に考えて琴歌さんと琴理さんは双子なんだから狙われるっちゃ狙われると思うんだけどなぁ。琴歌さんと違って人を疑うことを知ってるからいいんだけどね? 初めて出会った時に琴理さんは僕を拒絶した、それが普通なんだ。
︎︎琴歌さんもそうだったら良かったんだけどね。
「この前決めたプログラムなんだけどさ、生徒の人達も二日間開催に反対は無いらしいからあのままで問題ないと思うよ」
「それなら良かったです、あとは当日に私たちがどうするかなんですけど。先生から当日の放送とかはこの前行ってない人に任せたらしいので、私たちのすることは周辺の見回りぐらいらしいです」
まっずいなぁ……? 見回りということは僕も湊も琴理さんもそばで見守ることは出来ないわけだし、一人で見回りだろうけど草薙達は絶対琴歌さんを呼び出す。
︎︎あんまりこういうことはしたくないけど、琴歌さんにバレない程度の距離を保って歩くしかないか。
やろうとしてることは完全に尾行なので僕も危ない橋を渡ってる気がする。まぁでもこれしか方法がないから仕方がない。
︎︎それに、湊が傍に入れない状態になったからには僕がやるしかないんだ。
§
隣の男子校の中には俺の友人がいる、少し天から聞いたやつのことを調べるとしよう。
「急に呼び出して悪いな。とりあえず外で話すのもあれだ、中に入ってくれ」
「いやいいよ、湊が別の学校に行ってから一回も話したことがなかったしね。久しぶりに話してみたかったところだから」
「それなら良かった」
確か、向こうの体育祭委員の名前は草薙と石井だったか。学校ではどんな感じのやつかを聞いておこう。
「今回の体育祭、こっちの学校と合同で開催されるのは知ってるよな? それで聞きたいことがあるんだがお前の学校の草薙と石井って知ってるか?」
「草薙は学校の中じゃイケメンって有名だよ、共学だったらすんごいモテてただろうね。石井はその草薙の横にいつも居る人だね、二人でどんな会話をしてるかは知らないけど二人とも悪い噂は聞かないかな」
ここで問題なってくるのが学校だけ良い人ぶりをして、本性は天の警戒している通りなのか純粋に良い人なのかどっちなのか。天から話し合いの時のことは聞いてる、それを見ても今のところは普通、二人でトイレに行ったのは気になるけどな。
︎︎そこでは他の客さえ居なければ二人っきりで会話出来る場所だ、考えられるとしたらそこでなんか計画とか立ててるとかか。
天も言ってたけど今のところ何もできることは無いな。
「話はこれだけだが、せっかくだしこのまま遊んでいくか?」
「お、いいね」
§
また琴歌に何かしようとするやつが出たんだ、天が言うにはまだ確定はしてないらしいけど男子校の生徒なんて信用出来ないし天が考えてる通りのことをしてくるでしょ。天は私を止めようとしたけど、妹を守れない姉は姉じゃないから。
と言っても一応向こうからしたら私もそういう対象に入るだろうし、天みたいに行動は出来ないんだよね。結局私が琴歌の傍に居たってそういう奴は寄ってくるし誰か男子が近くに居ないといけない。
「各々の仕事があるからずっと一緒に居るって言うのは無理か。私とあかりんは種目に出ないといけないから無理だし、そもそも私もあかりんも女子だから人が増えたところで男子からしたら関係ないんだった」
女子がどれだけ増えたところで男子校の奴からしたら選択肢が増えたようなものだろうし、一番いいのは琴歌のそばに男子一人だけをつけることだけど、男子の知り合いは天以外に居ないんだよねぇ……。最近琴歌と天と一緒に居る男子を見かけてはいるけど名前も知らないから天に頼んでみようかな。
「体育祭のことなんだけどさ、琴歌のそばに最近一緒にいる男の人をつけることはできる?」
「湊のこと? それなら既に頼んであるよ。琴理さんもさ、気をつけた方がいいよ? どれだけ琴理さんが男子を突っぱねたとしても無理矢理来られたら力で女の子が男に勝てるわけないんだからさ」
「本当にそうかな? ねぇ天、今から腕相撲でもする?」
「えー? 僕が小柄だからって舐めてるでしょ、一応男の子だからねー?」
そうは言ってたものの、結局五回やって私の全勝だった。
ちなみに一生懸命力を入れてる天はちょっと可愛かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます