第17話

僕の考えを琴理さんにだけ伝えて置いて、とりあえず集まる日になったが、幸い向こうも二人で集まっている場所はどこにでもあるようなファミレス。普通に他の客が居るしなにかしようとしてもできないだろう。

 ︎︎まぁどこかに呼び出されでもしたら終わりだけど、あまりにも不自然じゃない限り僕が着いて行く手筈になっている。


「それじゃあ体育祭について話していくわけだけど、今回は合同ということもあって結構規模が大きいものになると思う。そんな中でスムーズに進めていくためにもプログラムはしっかりと決めないとね」


この場を仕切ってる草薙という男の第一印象は仕事が出来る好青年、向こうが男子校ではなく共学なら間違いなくモテていただろう。それで隣の石井という男は学校でふざけてるけど場を盛り上げるタイプの人だ。

 ︎︎今のところは何も問題は無いけど、警戒を緩める訳にはいかないかな。


「そうですね……生徒達の休憩もしっかりと入れないといけませんし、種目を全て行うとなると一日で終わらせるのは難しいかもしれませんね。二日間開催の方が色々楽なんじゃないでしょうか?」


「でも琴歌さん、生徒達の中には体育祭が早く終わって欲しいと思ってる人もいるだろうし、二日間開催にするのなら一度聞いてみた方がいいと思うよ。僕たちが勝手に決めることは出来ないんじゃないかな?」


大体の生徒は一日で終わってその翌日に休むつもりでいるだろうし、二日間やるとしたら生徒の意見も聞かないといけない。二日間やる分休憩を多く入れたり、そこら辺を調整していって納得されるようなプログラムを組めばいいだろう。


「うん、天くんの意見に賛成かな。ちょっとトイレに行ってくるから残りの人達でプログラムを考えておいてくれるかな?」


そう言って男子校のはトイレに行った。向こうで何かを話すかもしれないし僕も行きたいところだけど琴歌さんを一人にして大丈夫だろうか? ここはファミレスだし周りの目があるのがわかっているけど、怖い。

 ︎︎琴歌さんを一人にしてなにか琴歌さんの身に何かあったらと考えると、僕はトイレに行けなかった。



§



「いやぁ合同でやるって言われたからには彼女を作らないとな、うちだけだったら全くの無関係だったからな。それに向こうの委員の月詠、あれは良物件だぜ? 周りに彼氏の気配もないし、もし隣のあいつがでしゃばってきてもあんな小柄だ、余裕だな。徐々に距離を詰めていけばいけるでしょ」


「草薙、手に入れたら俺にも愉しませてくれよ?」


「そりゃあもちろん、そう言うんだったら手に入れるのに手を貸してくれよ? 女なんて俺の手にかかれば誰だって堕ちるんだよ」


月詠の隣にいたあいつはおそらく月詠と親しい仲だろう。手に入れるためにはまずあいつが邪魔な訳だが、退かすのは楽勝だな。

 ︎︎怪我でも、なんでもさせればいい、見た感じそいつさえ退かせば月詠はちょろいものだからな。

 ︎︎

「体育祭が楽しみだぜ」



§



そして時は過ぎて、僕達は男子校の人達と別れて家に帰った。正直今日だけだと、普通に好青年で悪いことをしそうには思えない。

 ︎︎一つ気になっているとしたら二人でトイレに向かった時に何を話していたか、その内容次第では僕は証拠を掴んで琴歌さんを守らないといけない。


それに、あの二人は共犯だし、もしかしたら他にも共犯の人間は居るかもしれない。とりあえずあの二人の動向を見て、どこかで決定的な証拠を掴むことが僕の役割かな。

 ︎︎これは僕だけじゃ絶対に解決できないし湊にも協力してもらおう。琴理さんも朱里さんも女の子だし、巻き込む訳にはいかない。


ならこんな時間に少し申し訳ないけど電話をかけるとしよう。

 ︎︎

『もしもし湊、悪いんだけど少し協力して欲しいことがあるんだよね』


『 お、なんだ? できることならなんでも手伝ってやるよ。琴理さんが関わってないやつね』


『体育祭について向こうの人達と話してきたんだけどさ、おそらく向こうは琴歌さんに何かしようとしてる。まだ証拠も何も無いけど、僕の直感が言ってるんだ』


『前のこともあるし、男子校の奴らからしたら琴歌さんは最も欲しい物件ではあるだろうな。でも俺に出来ることはほとんどない、せいぜい琴歌さんの傍に居ておくくらいだ』


『いや、それでいいよ。湊が琴歌を見てる間に僕が証拠を掴んでくるから』


しばらくは話し合いもないし安全ではあるけど、その間に具体的にどうするかを決めておかないと。湊の協力も得れたことだし、草薙達が何かしようとしたら絶対に止める。

 ︎︎まだ証拠も何も無いしそういう会話を聞いた訳でもないから、一番いいのは僕の考えすぎで何も起きないことだ。


でも色々考えないといけない点がある、トイレで話したであろう二人と男子校の生徒であることなど。考えないといけない点を上げていったらキリがない。


結局今は何もできることがないし、僕のやろうとしてることが琴歌さんや琴理さんにバレないようにしないと。琴理さんは協力してくれそうだけど、性格以外琴歌さんと変わりない、だからもしかしたら狙われる可能性もあるし男である僕と湊だけで動いた方がいい。


「僕のに危害は及ばせないよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る