第6話
やってきたのは生徒指導の先生と琴歌さん、もう1人は知らないけど琴歌さんに結構似てるし一緒に居るんだから前言ってたお姉さん……というか絶対双子でしょ。
「先生、もしかして前からこのこと知ってました?」
「今は先生じゃない、君の母親でもあるんだ、あと私は月詠琴葉だ。もちろん昨日の時点で既に君のことは知っていたさ」
琴歌さんは驚いた顔をしているし、琴葉さんと父さんに関しては全て知っていたようなので至って普通である。あとさ、琴歌さんのお姉さんが僕のことをずっと睨んできてるんだけど、普通に怖いって。
「それでね話をしててわかったことだが3人とも同学年で同じ学校らしいんだ。琴葉さんは俺の家に来るのは決まってるんだが……天が良ければその2人と一緒に暮らさないか? その方がどちらにとってもいいと思うんだが」
部屋も空いてるし、暇つぶしもできるので僕は別にいい、ただ普通に考えて男が住んでる家に来るのは無理では? まぁ現状は琴歌さんのお姉さんがそんなことを許さなさそうなんだけど。
︎︎そうだよね、女子からして今日あった男の人の家に住めなんて言われても住みたくないよね。
「男の人と一緒に住むなんて有り得ない。そんなこと急に言われても絶対に無理だから」
「別にいいじゃないか、通学時間が短くなるしご飯も多分作ってくれると思うけどな」
「いや別に作りますけど、親として娘を男の家に住ませていいんですか? 僕は正直どっちでもいいですけど、二人の意見も聞かないと」
料理に関してはただ単に量が増えるだけなので何も問題は無いし、寝床に関しても部屋は掃除してるので物さえ持ってきてくれれば普通に住める状態ではある。
「私は一緒に暮らしたいです。通学時間が短くなりますし、せっかくできた友達の天さんとも話せますから」
「琴歌が行きたいと言うなら私も行く、琴歌に何かしないか見張っておかないといけないからね」
とりあえず席についてご飯を頼み始める。けどさ、なんで僕を二人の間に座らせるのかな? 話したことあるし琴歌さんと隣になるのはいいけどさ、僕に対しての信頼が0のお姉さんの方と隣になるのはちょっと……。
︎︎仲良くなったあとならいいけど、今は初対面で好感度低い状態だからさ、それに僕はずっと一人でいたからそもそもコミュ力は高くないからね?
というかここ最近僕が話した人が家族になるってどんな確率かなぁ……? それに琴葉さんと学校で会った時に警察っぽいって思ったけど本当に警察じゃんか。
「琴歌、こいつに何かされたら私に言うんだよ? 物理的に再起不能にするから」
こっわ、ひゅんってしたわ。
§
ご飯を食べ終わって父さんと琴葉さんは父さんの家に帰って、僕と琴歌さん、そして琴理さんと一緒に僕は家に帰っている、荷物は後で琴葉さんが持ってくるらしい。それでさ、ご飯の時からなんだけどずっと琴理さんが睨んできてるんだよね。
︎︎そりゃあ気持ちが理解出来ないでもないけどさ、もう決まった事だしこれから一緒に過ごしていくんだから慣れて欲しいところではある。
「ここが天くんの家なんですね、なんというか……一人暮らしにしては広くないですか?」
「ここは父さんの海外にいる友達が住んでた家だからね、帰ってくるまで貸してもらってるんだよ。だから大体の家具は揃ってるし、掃除もしてるから服とかさえ持ってこればもう過ごせる状態だと思うよ」
「それじゃあ今日からお願いしますね、天さん。ほら、お姉ちゃんも」
琴歌さんに言われた琴理さんは淡白に「……よろしく」と言って家の中に入る直前に「何かやったら倍殺しだから」と言われた。倍殺しって何? 2回殺されるってこと?
これ以上琴理さんと一緒にいたら向こうの方が落ち着かないと思うので、空いてる部屋だけを言って僕はもう自分の部屋に入った。
そういえばさ、同じ家に住むってことは同じ学校だし必然的に通学時間が被るわけで……。琴歌さんの事だしおそらく一緒に行こうと誘ってくるだろう、あと琴理さんも一緒に。
︎︎双子で2人は姿が似ているし超がつくほどの美少女、そんな2人と僕が一緒に通学しているところを見られたらまずいのでは?
あの周りにいつもいる人たちから何か言われることは間違いないだろうし、もしかしたら男子たちから嫉妬されて……また何かされるかもしれない。だったら僕は一人で通学したいし、琴理さんからしても僕が一人で通学するほうが嬉しいだろう。
§
「二人で過ごすのには十分な広さですね。月曜日から天さんと一緒に通学することになる訳ですし、お姉ちゃんも仲良くしないと行けませんよ?」
「私たちは男と関わらない生活を送ってきた。私たちからしたら男なんて分からないことだらけで、何をしてくるか分からない、そんな存在なんだから。今すぐに仲良くなれるわけが無い、琴歌は元からあの男のことを知っていたの?」
「屋上で天さんに出会って、私たちと似たような感じがしたんですよ。実際私たちと同じ片親でしたし……天さんはもっと心の奥底に何かを秘めてると思うんですよ」
天さんは、周りの人達と自分を切り離して、全く違う世界にいるような感じがした。私は天さんと仲良くなって、その心に秘めた何かを聞き出したかった……だからあの日、屋上で私は友達になることを切り出した。
「私はまだあの男を信用しない。でも琴歌が一緒に居たいって言うなら私も一緒にいて琴歌を見守る、私があの男を信用できるようになるまでね」
「うん、ありがとうお姉ちゃん」
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