第4話
土曜日、前買った食材も昨日で使い切ったし今日は買い物に行かないといけない。前よりは重くならないだろうけどまぁ、重いことには変わりない。
︎︎料理は好きだし自炊することは別に問題ないんだけど何が辛いかと言ったら買い物から帰ってくる時なんだよね。
まぁ行かないとご飯が作れないから行かないって言う選択しはないんだけど。
§
僕はいつものスーパーに行って買いたいものを買う。ここ1ヶ月ずっとこのスーパーに行ってるから顔も覚えられて話しかけられるようになった。
︎︎まだ若いのに一人暮らしで自炊してるのすごいね! だとか、一人暮らしで寂しくない? とか色々言われたが僕は全くそんなことは思っていない。
一人暮らしをしてるのは学校に早く行くため、自炊は節約のため。全てのことに目的があるし、僕はずっと一人だったんだから寂しいとは思わない、どちらかと言ったら一人暮らしの方がいいなと思ってる。
︎︎父さんと過ごしていた時も良かったけど学校の近さとかその他諸々を考えた時に今の家の方が過ごしやすいのだ……あの家にいたらお母さんに会いたいと思ってしまうし。
「奇遇だな、そういえば君は一人暮らしだったな。ここらで大きいスーパーここらしいからな、一人暮らしをしてる君が来るのもおかしくないか」
「先生も買い物ですか?」
「あぁ、娘が買ってきて欲しいものがあると言ってな。お金はやるからそれくらい自分で買ってきて欲しいところだが勉強で忙しいらしいからな」
そういえば2週間後ぐらいにテストか、一人暮らしで買い物とかしてるから課題だけさっさと終わらせてそこまで勉強してないけど大丈夫かな。僕としては高い点数をとっておきたいしテストが迫ってる時は自炊じゃなくて適当に惣菜でも買って食べようかな。
「君はどうだ? 一人暮らしで勉強時間があんまり取れないだろう。まぁ、入試の時と同じような点数を期待しておくよ」
「あの時はまだ一人暮らしをしてませんから、ちゃんと勉強時間が取れてたからあの点数なんですよ。これからは入試と同じような点数は取れないと思いますよ」
「それでも結構上位は取れるだろう?」
「そりゃあもちろん取るつもりではいますから」
先生とはそこで別れて、僕は適当に惣菜を買ってスーパーを後にした。というかあの先生の名前を聞いてなかった、まぁ学校にいるんだしまた会った時に分かるでしょ。
︎︎……昨日先生は『琴歌に帰るように促して助かった』と言った。別にあのまま琴歌さんが僕のことを手伝っていても別に何も問題は無い、生徒指導の先生とはいえ、『琴歌に』と名指しで何かを言うことがあるか? しかも呼び捨てだし、どこか家族みたいな……。
僕の疑いすぎかな、ただ単に心配して言ってくれてるだけの可能性の方が高いし。
§
家に戻ると父さんが机にレジ袋を置いて待っていて、多分膨らみ具合的に中身はご飯を作るための材料だと思う。あー、買ってきた惣菜も食べるとして、父さんが待ってくれてるし早く昼ごはんを作らないと。
「材料は買ってきた、いつも悪いが昼ごはんを作ってくれるか?」
「分かった、別に父さんはお金を稼いでくれてるんだから料理くらいは僕に任せてよ。これから先も父さんにお願いされたら僕がご飯を作るよ」
父さんと一緒に過ごしていた頃からご飯は僕が作っていた。父さんは朝は普通だけど帰ってくるのが遅い時があるのでご飯を僕が作って一人で食べたあと先に寝るということが多々あった。
︎︎別にその生活に文句はなかったし父さんがお金を稼いでくれていなかったらご飯を食べれてないんだから料理とかの家事を任されるのは妥当だと思う。
「えっと、この袋の中にあるやつを使って作ればいいんだよね? 多分……材料的にチャーハンを作ればいいんだよね?」
「あぁ、俺はここで待っておくから頼むよ」
待っておくと言ってもチャーハンは一人暮らしを始めたての頃によく昼ごはんとして食べていたので作るのに時間はほとんど掛からない。僕はチャーハンさっさと作って父さんの元に出来たを出した、僕は少なめに持って買ってきた惣菜を食べている。
「そういえばさ、その再婚相手ってどんな人なの?」
「黄緑色の髪で、良くも悪くも頼もしい女性だ。数年間警察として働いていて、今は学校で先生をしてるらしい」
警察から先生になるって珍しくない? だいたい警察って辞めることなく続けるイメージがあるけど、まぁ警察をやめたことにもなにか理由があるのだろう。
「昼も食べ終わったし俺はちょっと出掛けてくる。集合時間の30分ぐらい前に戻って来るからそれまでゆっくりしてていいぞ」
「もしかしてその人と話でもしに行くの?」
「ノーコメントだ」
(絶対そうじゃん……)
ご飯を食べ終わって片付けをしていると既に父さんは出かけて行った。ほぼ確実にその再婚相手の人に会いに行ってるんだろうけど、今日集まるまで子どものこともその相手のことも知らない方がいいだろう。
︎︎その方が今日会う時が楽しみになるし、父さんとその人の時間を邪魔したくない。
まぁ僕はその相手の人よりその人の子どもがどんな人なのか気になってるんだけどね。
「仲良くなれるといいなぁ」
誰もいないリビングで僕はそう呟いた。
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