第6話 浩二と温泉①

 今日は浩二と温泉に入る日♡ この日をどれだけ待ちわびたか…。ムダ毛処理は完璧にしたから、どこを見られても問題なし♡



 銭湯『千夏と千春』の店内に入ってから受付に向かう私と浩二。受付にいたのはこの間の人だ。名前は“千夏さん”だっけ。私のこと覚えてくれてると良いけど…。


「あの…、貸し切り温泉を使いたいんですが」


「あっ、この間の! …そっちが弟君ね。可愛い顔してるじゃない」


「でしょ? 私自慢の弟ですから!」


…浩二は照れ臭そうだ。抱きしめたいけど、ここでと可哀想だから止めとこ。


「そういえばこの間聴き忘れたんですけど、脱衣所はどうなってるんですか?」


「男女兼用よ」


それを聴いた浩二の顔色が一瞬悪くなった。


「弟君は兼用が嫌っぽいね。一緒に着替えたくない?」


「…そうですね。姉さんに裸を見られるのは恥ずかしいです」


「代わりになるかわからないけど、これを渡しておくわ」


千夏さんは私にアイマスクを渡した。


「どっちが付けるかは相談しなさい」


「浩二。これで大丈夫そう?」

もし無理なら諦めるしかないけど…。


「僕がアイマスクを付けて、その間に姉さんが湯着に着替えれば問題なさそうだね。姉さんが温泉に入ってる間に僕が着替えるって事で」


…待って、逆のほうが良くない? アイマスクを付けてるとはいえ、私の目の前で浩二が着替えるって事でしょ? 妄想が膨らむじゃん!


「浩二、私がアイマスク付けるよ。どれだけ視界が遮断されるか気になるし」


「わかった…」


「2人は湯着希望ね。すぐ持ってくるから待ってなさい!」


…千夏さんは本当にすぐ戻って来て、私達に湯着を手渡す。


「アンタは『薄』にしといたわよ」

耳打ちで教えてくれる千夏さん。


そこまでちゃんと覚えてるんだ。サービス精神凄いな~。


「貸し切り温泉の場所に案内するから付いて来て」


千夏さんは男女の暖簾前を通り過ぎて、廊下端の扉の前で止まる。


「ここよ」


カギを開けて入って行ったので、私と浩二も続く。


脱衣所は左右の壁棚と洗面台があるシンプルな空間だね。こりゃアイマスクがないと丸見えになっちゃう。


「カギはアンタに渡しておくよ。…ごゆっくり~」


千夏さんは脱衣所を後にした。



 左右に分かれて壁棚を使う私と浩二。さて、そろそろアイマスクを付けよう。付けた後に半回転して、壁棚にもたれながら彼がいるであろう方向を観る。


「浩二、私は見ての通りアイマスクを付けたよ。気にせず着替えてね」


「そうさせてもらうね」


…何も見えないと、音がいつも以上に気になるな~。服が擦れる音がするたびに、今の浩二の姿を想像しちゃう♡


タイミングはわからないけど、絶対お〇ん〇んを出すからたまらないよね♡



 「姉さん、着替え終わったから外して良いよ」


浩二の言葉通り外すと、湯着姿の浩二がいた。観た事がない姿に萌える~♡


「それじゃ、僕は温泉に入ってるからね」


「わかった。浩二、女の着替えは長いから、時間がかかっても脱衣所を覗いちゃダメだよ」


「そんな事しないから」


浩二は浴室に通じる扉を開けて入って行った。



 私は素早く着替えた後、浩二の着替えがある棚にこっそり移動する。…下着が1番上に置いてあるね。私を誘ってるのかな?


早速手を付けずにクンカクンカしないと♡ 本当は持ちたいけど、戻した後の位置ズレでバレるかもしれないからね。辛いけど何とか我慢してる…。


ふぅ、栄養補給できた♡ これ以上待たせると浩二に悪いし、私も浴室に行こう。

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