第5話 浩二を温泉に誘うぞ~♡

 銭湯『千夏と千春』には、透ける湯着と透けない湯着があるみたい。私は透ける湯着を着て、浩二には透けない湯着を着てもらうつもり。


透けた湯着から見える私の裸に興奮してもらうのが狙いなんだけど、問題があるんだよね~。それは…、どうやって浩二を温泉に誘おう?


家に帰ってからもずっと考えてるけど、良いアイディアが出ないよ~。



 銭湯の下見をしてから数日後の祝日、ようやく1コ思い付いたから実行するよ。


「浩二。なんか困ったことない?」

私はリビングでおやつを食べている彼に訊いてみる。


「別にないけど?」


「本当に? 何でも頼って良いから!」


私が浩二の困りごとを解決した見返りに、温泉に誘うってプラン。姉らしいところを見せられるし手助けも出来る。我ながら完璧だよ。


「じゃあ…、数学の宿題を手伝ってもらおうかな」


「ごめん! 数学は無理!」

いつも赤点ギリギリなんだよね…。


「そう…」


浩二が呆れた顔をしちゃった。姉の面目丸つぶれだよ~。そして…、彼はお菓子を食べ切ったので、片付けた後にリビングを出ようとする。


その状況を見た私は、何も考えずに浩二の腕にしがみ付いた。



 「浩二、私と一緒に温泉に行こ。お願いお願いお願~い!」

バカな私があれこれ考えても無駄。正直に言ったほうが良いよね。


「姉さん、子供のように駄々こねないでよ…」


「だってこうしないと、自分の部屋に戻っちゃうでしょ?」


「戻らないから。ちゃんと話を聴くから、しがみ付くの止めて」


私はしぶしぶ浩二の腕から離れる。やっぱり腕回りも昔と違ったな~。


「温泉って、どこか旅行に行きたいって事?」


「違う違う。近所に『千夏と千春』って銭湯があるじゃん? あそこの事」


「そうなんだ。けど僕、知らない人の前で裸になりたくないんだけど…」


「その心配は無用だよ。貸し切りにできるみたいだから、私と浩二の2人きり」


「ふ~ん」


浩二の表情は悪くなさそうに見える。


「温泉は貸し切りでも、脱衣所は男女別だよね?」


「あっ…。そこの確認してない」

ちゃんと下見すれば良かったな~。


「だったら、家出る前に水着着ようかな。そこは水着OKなの?」


「湯着貸してもらえるらしいから、いらないでしょ?」


「それだと脱衣所が同じだった場合困るよね? 」


思わず“何が困るの?”と言いそうになっちゃった。私は裸を見られても良いけど、浩二は嫌がるか…。


「お互い水着着て入るのが無難だと思うけど…」


それだと透けて裸を見てもらえないから却下。水着から遠ざけないと。


「浩二。せっかく温泉入るんだから、湯着のほうが雰囲気に合うよ。もし脱衣所が同じでも、店員さんが何とかしてくれると思うから」


古賀さんに迷惑かけちゃうけど、割増料金で許してもらおう。


「…わかったよ。話だけ聴くつもりだったけど、姉さんが本気だから付き合ってあげる」


「ホントに? ありがと~、浩二♡」

嬉しさのあまりハグしちゃった♡


「ちょっと、姉さん…」


浩二は困ってる感じだけど、私を引き離そうとしない。私の胸の感触に惚れたかな?



 こうして、浩二と一緒に温泉に入ることになった私。入るまでにムダ毛処理をちゃんとしないと。これから忙しくなるぞ~!

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