第4話 女の涙は武器になる(物理的に)
最近どうにも体調がおかしいと思ったら、
今朝の天気予報でお天気お姉さんが言っていた。
「今週は花粉の飛散量が多くなる模様です。」
どうりで鼻がむずむずするし、目もかゆいわけだ。
私は生まれてこのかた花粉の被害に遭い続けている。
だからこんなことになったところでどうというわけでもないが
「マスク着けて行こう。」
こうでもしないと余計にひどくなることも知っている。
電車に揺られる中では少しマシになる。
物理的に花粉を締め出してしまえば症状が出ることもない。
(人間様の知恵の前に天下の花粉も破れたり)
1人毒づいてみた。
◇◇◇
あの、ホントにすみませんでした。
二度とあんなこと言いませんのでどうか許してください。
花粉をしのぎ切った(と勝手に思い込み)
悠々と地上に出たが一巻の終わり。
今、私は花粉の猛攻撃をくらっています。
なんでだろう、家を出た時よりも症状がひどくなってる気がするんだけど…
あれだけ人間様の知恵だとか、破れたりだとか言ってた自分が情けない。
あれってフラグだったのかぁ。
これからはきちんと考えて物事やらないといけないなぁと思わされた。
やっと会社に着いた。
もちろん会社に入れば花粉はマシになる。
だけどもう二度とあんなこと言わない。
心に決めている。
しかしマシになるとは言っても
それは追加で花粉が来なくなるだけの話。
いかんせんここに来るまでにくらった花粉が花粉なため
私は今、絶賛目から涙が止まりません!!
花粉症の人には
この辛さ分かっていただけるだろうか?
目から涙が止まらない、
鼻のむずむず止まらない、
そこからのクシャミ地獄なんて耐えれたものじゃない。
それでも仕事は無慈悲にやってくる。
…頑張ろ
◇◇◇
やっと昼休憩、
少しお手洗いへ。
涙まみれになった顔も
顔洗えば少しはマシになるでしょ。
蛇口をひねって水を出す。
そういえば今日は確認してなかったと耳に手を伸ばすと
今日も今日でやっぱりとんがってた。
「そう簡単にはどうにかならないかぁ。」
いや分かってたんだけどね。
最近はこの耳にも
あとは「魔法?」にも少しずつ慣れてきている。
慣れちゃいけないんだろうけど…
なんだか自分がどんどん違う存在になってしまいそうに思えてしまう。
(この晴れない気持ちも顔を洗っておさらばだ)
なんて思った時だった。
「ハァックションッ!!」
私の感傷的な気分をぶち壊すかのように飛び出したのはクシャミ。
あのさ、ちょっとは空気読もうよ。
なんて思っていた矢先
水色の魔法陣が空中に描かれる。
目に溜まった涙がまるでレーザーのように飛び出した。
発射された涙は鏡に直撃、
けたたましい音を立てて鏡が割れた。
残ったのは手洗い場に落ちた
鏡であったものと呆然と立ち尽くす私。
(やっちゃったぁぁぁぁぁぁ)
ついに実害が出てしまった。
でも私が直接壊したわけじゃないし、触ってもないし…
バレないんじゃない?
その日以降、私の会社で不思議なうわさが立つようになった。
どうにも
誰も知らぬ間に鏡が割れる怪現象が起こるとか起こらないとか。
◇◇◇
お昼を食べると眠くなるもので
そんな時にぴったりのものと言えば
そう、コーヒーだ。
今、私は猛烈な眠気に襲われながらも
なんとか意識を保って正常に仕事ができている。
しれも全て、私の横で湯気を立てるコーヒーのお陰だ。
これを飲んでなんとか頑張っている。
というのも
これは山下さんが淹れてくれたもの。
ホントに気が利くいい子、山下さん。
誰かもらったげなよ。
コーヒーを飲んでも眠気はすぐには収まらないもので
舟をこぎ始めてしまった。
今考えたら、これが全ての元凶だったんだ。
皆さん、お分かりいただけるだろうか?
舟をこぐ→バランス崩す→頭ぶつける
私の身にこれが起こってしまった。
「ゴッチィィィィィィン!!」
痛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇー
水色の魔法陣が空中に浮かび上がる。
まさか、いや、でもね。
ここに水はないしさ、ここに魔法も破れたり。
なんて思ったのが馬鹿だった。
私のデスクの上、カップに入ったコーヒーがレーザーのように飛び出した。
発射されたコーヒーは
窓をぶち破り、空のはるか彼方へ…
まるで「いっきまぁーす!!」とも言いたげに勢いよく飛んで行ってしまった。
◇◇◇
「花森ちゃん、お給料から引いとくね。」
「はい。」
魔法なんてロクなもんじゃない。
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「面白かった」、「続きが気になる」など感じていただければ
評価、感想、レビューもよろしくお願いします。
第5話は、12月13日(水)に更新します。
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