第4話 癖のある教師陣


…と、刹那。大広間にピリッとした空気が流れる。


「おーい。ストップストップストップ!そんな魔法無駄遣いしちゃあ勿体ないよー!


どうせなら私と闘ろうよー!」


後ろからケセラに似た風貌の女性がスキップしながらやってくると、私らの間に入る。


「あ、姉貴」


「ということは寮長ですね」


後ろからウィリアム先生ら教師陣もぞろぞろとやって来る。

……一人は何故かビッグサイズのポップコーンとホットドッグを抱えている。


「君達!決闘はー…モグモグ…寮わけのムグ…ごくん。えー、パクッ…後ですよ!モグ、まずは整列して…モグモグ」


「サザン校長、食べながら話すのは辞めて頂きたい。」


呆れ顔の男性がポップコーンを頬張る女性をそう呼ぶ。彼女は校長先生のようだ。


「はっはっは、校長先生は毎度の事ながら腹ペコなんですなあ!ベリアン教頭もご苦労な事です!はっはっは」


「ウィリアム先生。俺の一番の悩みの種は貴方の能天気さです。」

「そうですかあ?うーん、俺馬鹿だからよくわかりません。まああまり怒らないで下さい」


「はあーーー…」


ベリアン先生と呼ばれたその男性は眉間に皺を寄せ盛大なため息をつく。なかなか苦労人なようだ。


教頭先生はポップコーンボックスを垂直に傾け残りを全て流し込むと、ケセラのお姉さんに向かって声をかける。


「ルシアさん、貴方の大好きな決闘です。取り敢えずやっちゃって下さーい」


「新入生の皆さんは前方に集まって下さい。二年以上は寮ごとの席へ。もうお昼ですしお腹も空いていることでしょう」


ベリアン先生に言われ私達新入生は前に並ぶと、先輩方はそれぞれ六つの大机に座る。何人かは新入生を差し置き先に食事を始めている。勝手に始めんな



暴れるウサギの獣人…ウサギくんとでも呼ぼう。ウサギくんとケセラのお姉さんールシア先輩の周りが開ける。


「お前が寮長だな。手合わせ願おうか」


「勿論そのつもりさ。」


これからいったいどんな強烈な闘いが行われるんだ…ピリピリとした空気に思わず固唾を飲む。


ウサギくんが先手を取ると、勢いよく雷を放つ。雷は豪速球で数メートル先のルシア先輩へ…でなく、ウサギくんに直撃した。

ウサギくんの身体が浮かび上がり勢いよく雷を追い、雷がルシア先輩に直撃するより早くぶつかったのだ。そのまま顔から床にめりこむ。勝負は呆気なくついた。

感電しピクピクと痙攣するウサギくんにルシア先輩が声をかける。


「君。雷属性の攻撃魔法は強力だけど、防衛術はからっきしでしょ。操術に受け身すらとれないなんて。今度はもっと楽しませてね!」


床に突っ伏したウサギくんを尻目にルシア先輩は大きく背伸びをし一番左の大机へ向かう。


ルシア先輩が席に着いたのを見計らいベリアン先生は大きな地図のようなものを広げる。


「えー、皆さん今から寮わけを行います。順番に名前を呼ぶので、呼ばれた人から前に出てきて下さい。」


ウサギ君の呆気なさに少しガッカリもしつつ、問題なく済んで安心した。ルシア先輩の魔法には圧巻されたな。

そして、いよいよ寮わけだ。














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