第22話
喜びと安堵で溢れ出しそうだった涙が収まると、冷静な思考が戻ってきて、ふとレジリオに確認しなければいけない事柄を思い出した。連絡を取らなくてはと思ったとたん、頭の中に魔法の使い方と念話の方法が詳細に思い浮かんだ。おそらくは、転生前にレジリオにもらったこの世界の知識だろう。先程までは分からなかったのに急に分かるようになったのは、膨大な知識を一気に受け入れて体調を崩してしまわないようにという、レジリオの配慮だろう。その事に感謝しながら念話を始めた。
〘レジリオ〙
〘どうした?レイヒ〙
〘聞き忘れていたんだが、勇輝と蒼夜はもうこちらの世界に来ているのか?〙
〘いや、お前を転生させたのは勇者召喚が行われる前だ。勇者召喚は今から10年後。つまり、お前が転生する前の年齢になる年に行われる。勇者はともかく、もうひとりの幼馴染とは同じ年のほうが、以前と同じように過ごせるだろう?〙
〘そこまで考えてくれていたのか…ありがとうレジリオ…〙
〘気にするな。むしろ、すぐに会わせてやれなくて悪いな…。聞きたかったことはそれだけか?〙
〘あぁ。教えてくれてありがとうレジリオ〙
〘気になることがあったら何時でも連絡しろ。答えられることなら何でも答えてやる。またな〙
〘うん〙
レジリオとの念話を切ると、静かにこちらを見つめていたクラウスに、念話の内容を伝えた。
「今、創世神レジリオと念話で確認したが、勇者召喚が行われるのは10年後だそうだ」
そう言った私の言葉に、クラウスは心底残念そうな顔をした。どうやら、勇者暗殺を諦めてはいなかったらしい……。
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