第4.10話 エピローグとウンチク

コツコツと練習を続けるエマのトレーニングは徐々に上達していった。デッドリフトのフォームは、初めてそれを行ったときよりも格段に美しくなりつつあった。


そして、日々繰り返したことにより、デッドリフトでチャレンジできる重さも徐々に上昇していった。以前よりも発揮できるパワーが上昇していることは明らかであった。


そして、当初は実現不能であったノルディックハムストリングを、やっと実行できるようになってきた。


そういった変化とともに、日が経つにつれて徐々にエマの走る速度も上昇していく。1ヶ月が経過する頃には、エマは他のパーティメンバーに大きく遅れることなくダンジョン9Fを駆け抜けられるようになっていた。


フジカルは、パーティメンバーに復帰して走るエマの晴れ姿を忍者の格好をしながらこっそりと岩陰から見守っていた。エマが無事に9Fを駆け抜けたことを確認してからひとり冒険者ギルドに帰って行った。


冒険者ギルドに到着したフジカルに気がつき、エリカが寄って来た。


「フジカルさん、この前の話で説明していた方向転換の評価に使うCMASについて教えて欲しいのですが、今度、どこかでお話をしませんか?」


するとフジカルはCMASの論文[DosSantos2019cmas]が印刷された紙を召喚した。


「この世界の言葉で書かれたCMASの論文だ!これを読んで楽しんでくれ!きっと面白いぞ!hahahahahahaha」


そういって論文を渡して去っていった。


「そういうことじゃないんですけどぉぉぉぉーーー」


思わず叫ぶエリカだった。


====

ウンチク

====


今回のストーリーでは、スプリントにおいてありがちなエラーである、ハムストリングの伸展位における固定力の弱さという事例にフォーカスしています。実際には、その他のエラーを抱えている事例もありますし、ここで紹介しているスプリントの練習方法以外にも色々な練習があります。別のエラー事例や練習方法は、また別のストーリーとして書くつもりです!



======

参考文献

======


[DosSantos2019cmas]

Dos’Santos, T., McBurnie, A., Donelon, T., Thomas, C., Comfort, P., & Jones, P. A. (2019). A qualitative screening tool to identify athletes with ‘high-risk’ movement mechanics during cutting: The cutting movement assessment score (CMAS). In Physical Therapy in Sport (Vol. 38, pp. 152–161). Elsevier BV. https://doi.org/10.1016/j.ptsp.2019.05.004

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る