第4.8話 ストレートレッグバウンドとギャロップ走(1)

少し休憩を挟んだあとに、


「最後に、少し走る動作に寄せたトレーニングもやっておこう」

「次は、ストレートレッグバウンドだ!」


そういって、フジカルがストレートレッグバウンドを実演した。ストレートレッグバウンドは陸上競技などでも良く使われるトレーニング方法だ。


足を伸ばした状態でピョンピョン跳ねながら走るフジカルの様子を不思議そうに見ながらエリカが聞いた。


「これは何をしているのですか?」


「この練習は、短距離スプリント、短い距離をできるだけ速く走るための競争のための練習としても良く使われている内容だ。」


「ハムストリングの固定力が弱く、骨盤コントロールに影響が出てしまっている場合に、このエキササイズを行うと改善できる場合がある」


ハムストリングの固定力が弱い、まさにエマの抱えている課題だ。


「さらに、これはプライオメトリクスによるトレーニングの一種だ」


プライオメトリクスは、走る速さを上昇させる目的で非常に良く使われるトレーニング手法だ。


「2012年の論文[Saez2012]では、プライオメトリクスは短距離スプリントの能力向上にとって効果的なトレーニングであるとしている」


短距離スプリントの練習では、いろいろなパターンの飛んだり跳ねたりが行われる。プライオメトリクストレーニングが効果的だからこそ、短い距離を速く一気に走りたいという目的でのトレーニングで多用されるのだろう。


「また、別の2012年の論文[Lockie2012]では、ウェイトトレーニングとプライオメトリクスの両方を行った方が、ウェイトだけを行うよりも5-10mの距離での加速度の改善は大きかったとしている」


ウェイトトレーニングだけよりも、両方を行った方が短距離の加速度は改善するというのは大事なポイントだ。どちらかだけのトレーニングに偏ってしまうのは、わりとありがちなので注意したい。


「組み合わせることも大事なんだ!」


またしても知らない単語が出てきたので、エリカが質問した。


「プライオメトリクスって何ですか?」



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参考文献

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[Saez2012]

Sáez de Villarreal, E., Requena, B., & Cronin, J. B. (2012). The Effects of Plyometric Training on Sprint Performance: A Meta-Analysis. In Journal of Strength and Conditioning Research (Vol. 26, Issue 2, pp. 575–584). Ovid Technologies (Wolters Kluwer Health). https://doi.org/10.1519/jsc.0b013e318220fd03


[Lockie2012]

Lockie, R. G., Murphy, A. J., Schultz, A. B., Knight, T. J., & Janse de Jonge, X. A. K. (2012). The Effects of Different Speed Training Protocols on Sprint Acceleration Kinematics and Muscle Strength and Power in Field Sport Athletes. In Journal of Strength and Conditioning Research (Vol. 26, Issue 6, pp. 1539–1550). Ovid Technologies (Wolters Kluwer Health). https://doi.org/10.1519/jsc.0b013e318234e8a0

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