ダンジョン潜るってさ
第144話 ダンジョンへの意識調査
貴族がダンジョンに潜るのは一般的なことではない。
もし潜るとすればそれは、自領の視察などもかねてのことになる。
俺の感覚からすると、貴族には魔法が得意なものも多いからダンジョンにチャレンジするのも悪いことじゃないと思うんだよな。
だからウォーレン王が軍を連れてダンジョンに潜ってることには、俺は賛成なんだよな。ついでにそれ専用の兵士みたいなのも雇うようにして、完全に公共事業になれば、住民全体の生活の質も上がる。
問題は教育が大変なことと、アウトローな奴らが生きていく幅が狭まることだな。
まぁ、だからってのもあって
ダンジョンの魔物だけ警戒していて、後ろから
特に今のダンジョンを豊かなお貴族様がお遊びで荒らしたりしてたら、生活が懸かっている
まぁ、俺の場合はダンジョンでのあがりの多くを、
良かったよな? 貴族だからご機嫌伺いされてただけじゃないよな?
ま、そうじゃなくても【
理由があって襲ってくるような奴らはいたけど。
これに関しては話しても余計に心配させるだけだから黙っておこう。
さて、話題を逸らすか。
「ところで皆さんは、ダンジョン入りを目指すんですか?」
マリヴェルは無言で首を横に振り、イレインが目を逸らす。
イレイン、お前はダンジョン入ったことあるだろうが。
「私は挑戦するつもりだ。王太子として手を抜くわけにはいかないだろう」
「では私も入りますわ」
殿下が挑戦すると言ってるのに、ローズが当然のように入れる気でいるのが面白い。どんな手を使っても入ってきそうだけど、普通に危ないからやめたほうがいいような気もする。
「ローズってそんなに強かったですか?」
「強いとか弱いとかではないんですの」
「いえ、強いとか弱いとかの問題です」
「……さてはルーサー、そうやって殿下を私から奪うつもりですのね」
さてはじゃねぇんだよ。
どうしてローズは殿下のことになると途端に頭が悪くなるの?
「適材適所でしょう。普段はローズに全て任せているんですから、たまには僕のことを信じてくれてもいいのでは?」
「信じていないわけではありませんわ」
「では無理はしないようにしてください」
「……分かってますわよ」
本当かなぁ?
めちゃくちゃ拗ねた返事してるけどなぁ?
「実力で入ればいいのでしょう?」
「……まぁ、そうですけど」
裏口みたいな手を使わなきゃ俺も文句言わないけどね。
もしこのメンバーの誰かが一緒にダンジョンに潜ることになるのなら、俺は本気で護衛にまわるつもりだ。それまでに絶対自分の剣は用意しておかなければならないな。
「ヒューズはどうなんだ?」
「俺も入るつもりだぜ。そのために今ルーサーから剣の稽古受けてるし」
「そうか、じゃあお互いに頑張らねばな」
「カートよりは俺の方が魔法がうまいからな。うかうかしてるとカートだって落ちるぞ」
クルーブに限って言えば殿下に気を遣うことがまずないだろうから、それに関してはマジで心配なんだよなぁ。
そういえば殿下って今どれくらい強いんだろう。
この間の訓練の時ちゃんと確認してなかったな。
まぁ、昔から運動神経は良かったし何とかなってるか。
「イレインはどうだ?」
殿下の質問に、イレインは僅かに嫌そうな表情を見せながら渋々答える。
こいつはこいつで態度でかいんだよなぁ。
でもよく考えるとイレインって隣の国の王女様だから、多少殿下に失礼でも許されるような気はする。
「選ばれたら仕方がないので行くつもりです」
イレインはこれでいてダンジョンの厳しさというか、えぐさのような側面も知っている。
ダンジョンというのはただ生活に役立つものが手に入るだけではない。あからさまに人への殺意を隠さない魔物たちと対峙することになるのだ。その上魔物の死体はそれなりにグロい。
行かなくていいのなら行きたくないなぁという気持ちが駄々洩れの返事だった。
そうなるとマリヴェル以外の全員がダンジョンへ入るのを目指すことになる。
マリヴェルとはきょろきょりと俺たちのことを見てから、ぎゅっと拳を握って小さな声で言った。
「やっぱり……、私も入りたい……、かも」
魔法はそれなりに使えるし、運動神経も悪いわけではない。
ただ、マリヴェルがダンジョンへ入ってばっさばっさと魔物をなぎ倒している姿は想像ができない。
あるとすれば完全に魔法使いとしての運用だろうか。
でもなぁ、できれば護身術の一つや二つ学んでいるといいんだけど……。
とはいえ、やると言っていることを邪魔する気にはならない。
子供はやりたいことをのびのびとやらせてやるべきだ。
挑戦大事。
「そうですか、では一緒に潜れるといいですね」
「……うん!」
ま、いざとなったら守ってやればそれでいいだろう。
流石のクルーブも、しょっぱなから一人で戦えとか言いださないと思うし。
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