第46話 『苦しめてごめん・・』

46



「ちょっ……ちょっと待ていーっ。


 えっ? 


 言う通りって……堕ろせって皇紀が言ったのか?」



 泣きながらコクリト頷く友里。



 頼むぜ、オマイラ二人とも殺人者じゃんか。

 参ったねー。



 皇紀というヤツは束縛するほど友里を好きだったはずなのに

何がどうなったら自分たちの可愛い子を殺さにゃならんのだ。



 俺には理解不能だわ。

 それを受け入れる友里にも。



 だけど親は毒親で頼れず、また皇紀の要望で親しい友人たちとは疎遠、

おまけにそんな環境にした超本人が子供堕ろせって言い出すとか、

マジ皇紀はキチ……だな。


「それっていつのことだ。中絶したのって」


「3日前。予後がよくなくて」


「今も辛かったら寝てろよ。横になってても話できるだろ? 

 ソファで横になってろよ」



「うん、そうさせてもらうね」



「友里、明日から仕事終わりに様子、見に来るわ。


 慶子や康代にも声掛けとく。

『由里の様子気に掛けてやって』って。


 いいよな?」




「うん、ありがと。

 みんな来てくれるかな。

 私ったら酷いことしたのに」




「酷いのは皇紀だよ。

 いくら友里が好きだからってやり過ぎだよな。

 女友達まで排除するなんてな」



「私、まさかこんなことになるなんて」



「友だちは大事だな。


 恋人が大事なのも分かるけど、恋人っていう奴は恋心が失くなったら

さよならが待ってるからなー。


 しかしまぁ、その謎の女からのメールはあっても皇紀が

何も言ってこないってのも変だよなー。


 皇紀、悪いのにひっかかったのかもな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る