第45話 『苦しめてごめん・・』

45


 家のダイニングテーブルにさっき買ってきた微糖缶コーヒーを前に俺

は友里に話し掛けた。


 あんなに友里を束縛していたヤツ皇紀と、ここ最近連絡が取りづらく

なっているという。



 友里には自分がいるのだから男女ともに交友関係は切れと

理不尽なことを抜かしたヤツが連絡を寄こさないなんて

どういうことなんだよ、まったく。


 俺は……ピンときた、きてしまった。



「なぁ、由里、外れてほしいけどそれってあいつあっちで女が

できたんじゃ……」



 俺の話にみるみるうちに涙目になって友里の挙動が怪しくなってきた。


 当たり……か、チッ。



「私は皇紀さんに相応しくないってメールが……知らない女性ひとからメールが届いたの。


 それで、そのこと……皇紀さんのち知りたくてメールも電話もしたんだけれどゼンゼン返事がなくて。


 私、皇紀さんとの子供だって言う通り堕ろしたのに、どうして?」





 友里は意図的に堕胎の件について嘘を言うつもりはなかったのだが

遣り取りの流れ上、話を複雑にしたくなくて自然流産のことは

付け加えなかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る