第33話 『苦しめてごめん・・』
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根米に不毛な半年を掛けてしまい、漸う手が切れて
友里に会いに帰れるようになり、その後連絡を入れるも
友里とはやはり連絡が取れない。
年を跨ぎ1月になっていた。
成す術もない為、帰る前に手紙を送る神尾。
『なかなか会社が地元へ帰してくれそうにないので辞めて
そちらで就職を探し結婚しようと思ってる』
事情があってなかなか連絡が取れなかったことへの謝罪もしたためた。
思えば半年もよくもあんな基地外な根米に付き合ったものだ。
どうせ会社を首になるのなら宥める必要もなかったのに。
とにかく根米を宥めていた頃、彼女は友里のことを悪しざまに
罵りあげつらい、神尾には毎日のように友里と別れろと言う。
そして自分こそが神尾にはお似合いなのだと言い張る。
友里が孤立無援なのは親が毒親なせいもあるが、自分が大きく
関与していることなので責任があって捨て置けないと
毎度菜々緒には言いくるめ、根米とはすぐに一緒にはなれないと
説得する……というループを何度もロールプレイのように繰り返してきた。
そんな根米は本当に頭のどこかが不具合を起こしている
人間としか思えなかった。
そうこうしている中、均衡が崩れたのはとうとう耐え切れなくなった
神尾が、いくら根米が自分のことを想ってくれても、自分は友里を
好いており結婚相手は友里しか考えられないとはっきり告げたからだった。
はっきりと自分の本当の気持ちを伝えた時、根米がかたくなな態度を崩さずセクハラで訴えてくるかもしれないということは分かっていたけれど、道理の分からないオツムの病に掛かっている根米には、はっきり言ってやらないと分からないし、どうしようもなく通じない相手だから
言わずにはいられなかった。
彼女は自分の都合のよいようにしか考えられない女で、
神尾は出口の見えないストーカー女との不毛なやりとりに疲れきっていた。
果たして……
根米菜々緒は思った以上に発狂!
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