第七話 張り込み
張り込み当日、はたして彼女は家から出てきた。上はジージャンに白Tシャツ、下はミニスカートだ。若いころにしかできないファッションである!!!すかさず、隠れながら、できるだけ正面に近い状態の写真を撮る。まるで私は芸能人のゴシップを取り扱う週刊誌の記者だ。
彼女の家は、よくある古びたマンションであり、マンションの前には車が数台停まっていた。おそらく住居者のものであろう。
彼女は家の前の車に乗り込もうとした、そのとき、夫がとことこ歩いてきて手を振っていた。今日は月曜日、普段なら彼は仕事のはずだ。有休を使っているというのか???あいつは???ちなみに、私は今日、バスを使って病院の婦人科に行ったことになっているので、夫にとっては絶好の浮気日和だ。
私は顔を伏せた。レンタカーを借りてきたが、家の斜め前に変に停まっているので、なにか勘付かれても仕方がない状況だからだ。
伏せた直後…
トントン
運転席のドアを叩く音がした。
まさか…
恐る恐る顔をあげて、運転席の窓から外を眺めると、お爺さんが怒った顔で立っていた。何か言いたげそうなので、すぐに、窓を開ける。
「ちょっと、奥さん困ります!!こんなところに停車しゃーたら。僕の家の前なんや。自分の車出せへんし…」
「すいません!!」
その後、私はお爺さんに向かって平謝りし続け、お爺さんは怒りながらも
すると、伊香萌の車は、彼女の家の前からすでに消えていた。
私は車から出て、辺りを三百六十度見渡した…すると…
北側に、信号待ちをしている彼女の車の後ろ姿が見えた。まだ、ギリギリ追いつけそうだ。私はすぐさま、アクセルをベタ踏みし、車をその後ろにつけた。
今の姿のままでは、バックミラーを見られたら気づかれるので、私は前もって用意したマスクと眼鏡を付けすぐに変装した。
彼女の車は国道を通って、北側に向かってどんどんと進んだ。
私はとある予感がした。
いやまさか…
片道約二十分後…やはり…
車はあの湖の
私はその様子を眺めて、あのメッセージアプリのやりとりの後、彼女と一緒に夫が湖を探索しようということになったのだろう。そう思ったが、事態は違った。
彼女たちは後部座席に移ったかと思うと、そこから全く車から出ようとする気配がなく…やがて、車が激しく上下に揺れ始めたのだった。
…まさか…
私はゆっくりと足跡を立てずに車に近づいた。
そのまさかだった。
そこには後部座席で裸で交わっている二人の姿があった。
車に戻った後、私は号泣した。
夫があんな男だったなんて…
真面目だと思っていた私がバカだった。
私が見ていた夫は、優しいウサギの皮を被った
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