28. ミルクチョコとトリュフできたよ!
「でーきたー!」
4種のチョコ!完!成!
いやー、固めるの魔法使わんかったらまだ時間かかっとったやろうなぁ…カカオニブゴリゴリするのも結構かかったし。もう夕方やで。地球時間やと夕方通り越して夜入った頃やけど。
トリュフはどうやろなー?紅茶リキュール使って風味づけしたけど。ラム酒あったらそれにしたんやけど、手持ち切らしとってん。
〝おめー〟
〝おつー〟
〝おつかれー〟
〝魔法を使えば、カカオの実から手作りチョコレートがこんなに簡単に作れます!〟
〝おつかれ〟
〝誰もやらなさそう〟
〝せめて豆から…〟
「少なくとも実から作るもんやないなって思った」
いやほんま。手作りキット系の店売りも、売りよるのは実のまんまやのうて発酵済みの豆やしな。
〝それはそう〟
〝そりゃそうよ〟
〝発酵からやるとはな…〟
〝あるならやりたくなる。その気持ちはわかる〟
〝でもカカオの実からチョコ作りはいいや…〟
〝魔法使わなかったら発酵だけで一週間くらい潰れるじゃん…〟
それな。
〝でも、できあがったチョコは店売りと遜色ないね〟
〝浅煎りのほうが色薄いね?〟
〝カカオマスの時点で色違ったしなぁ〟
〝深煎りのが濃かった〟
〝味も濃そう〟
「それはわからんけん、実食!」
〝わくわく〟
まずは浅煎りのミルクチョコ!
…うん?なんかパッションフルーツ系のフルーティな感じするな?どことなく酸味もあって、ミルクチョコレート特有のまったりした甘さがさっぱりしとって食べやすい。思っとったより苦味は控えめ。
水で口ん中リセットして…
深煎りのミルクチョコは…うん、苦め。やけど香ばしさのある苦味やけん、ミルクチョコやのに結構ビター。体感カカオ60パーくらい。まあ、実際40パーやけんな。そうもなるんかもしれん。これはコーヒーに合いそうや。
口当たりはどっちもなめらか。ゴリゴリした甲斐はあったわ。
〝どう?どう?〟
「浅煎りは酸味があってフルーティ。甘ささっぱりでミルクチョコ苦手って人でも食えるかもしれん。深煎りはコーヒーに合いそうな香ばしいビターテイスト」
〝ミルクなのにビター…?〟
〝ほほう〟
〝そういえば魔素は?〟
「ぶっちゃけ果肉つきの時点で魔素やばかったけど、触ってもなんもならんかった。ちと心配はしとってん。んで魔法使って発酵したけえか、魔素完全に抜けたわ」
〝まあ、見た瞬間やべえってなる魔素とは言えないまでも、なんかアレな感じだったしなぁ〟
〝よくよく見ればって感じだったな〟
〝そんなに気になんなかったね〟
〝いや、結構ヤバめだったろ、あれ〟
〝生身かアンドロイドかで意見違うね?〟
〝たしかに〟
〝アンドロイドは危機感感じなかったのか、あれ〟
「せやな?」
あれか?生身やとヤバい感じやったんか、アレ。
魔素もようわからん
まあええわ。次はトリュフー。
…お?浅煎りのほうは紅茶リキュールの風味とフルーティな風味がよぉ合うわ。甘味強め。これはこれでコーヒーに合いそう。ミルクチョコ同様、甘ささっぱりでぱくぱくいけるわ。苦味はかなりマイルド。
水飲んで…っと。
深煎りは…あー、紅茶リキュールの風味が深煎りの香ばしさに完全に隠されとる。よぉく探しゃあ見つかるかなって感じ。味自体はビターテイスト。カカオの風味マシマシ感あって、これはこれでコーヒーに合うやろうけど…なんか思っとったんと違って、うーんってなる。ミルクチョコよっか苦味はマイルドやけど、体感カカオ50パーくらいな感じ。
〝深煎りトリュフ微妙?〟
「思っとったんと違う」
〝なるほど〟
「美味いは美味い。けど、リキュールの風味がほぼないに近い」
〝カカオの風味強め?〟
「うん。香ばしさはええんやけどな。それに隠れとって見つかりにくい」
〝組み合わせとバランスが違った感じか〟
「それ」
〝浅煎りは?〟
「紅茶リキュールと相性ばっちし!フルーティな風味が紅茶の風味とよぉ合っとったわ。ミルクチョコよりは甘く感じたんは、たぶん生クリームの影響やろうなぁ」
〝あー、あのしれっと魔法で分離させた生クリーム…〟
〝ミルクも魔法で乾燥させて粉末にしてましたね…〟
〝魔素水ないのに錬金術使ってるように見えた〟
〝魔法ってすごいね。使えれば〟
〝それな〟
〝ほんとそれ〟
慣れや。慣れ。
とりあえず、浅煎り深煎りどっちがええ、ってのは一概には言えん感じになったな。浅煎りはフルーティ、深煎りはビターテイスト。
これを発酵の仕方変えたり、焙煎の仕方変えたりしたら、また変わるんやろなぁ…
あ、1回発酵した豆のまんま齧ってみようと思っとったんに忘れとったわ。…まあ次でええか。
〝ココアバター取ってホワイトチョコとかやります?〟
「次やってみるわ。圧搾は魔法でやる」
〝そうか、ホワイトチョコってココアバターから作るんだっけ〟
〝残ったやつがココアパウダーになるんだっけ〟
「正確にはカカオマスからココアバターを取ったココアケーキを粉砕したら、らしいで」
〝カカオバターってあったりココアバターってあったり、割と表記ブレしてんね〟
〝ココアってつくのは製菓材料として分離した物って定義、なんかなかったっけ?〟
〝現場がそういうふうにしてるってだけじゃなかったっけ?なんかそんな感じの記事見た覚えがあるよ〟
〝呼び方違うだけで同じものなんだなぁ〟
「ココア手作り…ついでにやってみるかぁ」
〝ココアパウダー、お菓子にも、飲むココアにも使えていいよね〟
〝カカオの汎用性が高い〟
ほんまそれな。
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