18. 日替わりダンジョンでまずは1泊
そういやここ、ボス部屋ないんよな。10階層までやし。めっちゃ浅い。最下階やけえって安全なわけでもないけど、まあここで1泊でええか。
「ポイズンラプターはなし。っちゅーわけでキャンプするでー」
〝日替わりダンジョンで?〟
〝大丈夫。さーっと景色変わってくだけだから〟
〝ゲームや小説、マンガみたいに変遷に巻き込まれて云々はないよ〟
〝開けたとこは開けたとこのままなの優しい〟
〝火山から雪山に変わった時はさすがに○○かなって思った〟
〝寒暖差ぁ…〟
〝太陽的な恒星がない銀河系の日替わりダンジョンってどうなってんの?〟
〝月的な星が重なった時?だったかな〟
〝条件って場所によって違うよね〟
〝どっかのが満潮干潮に合わせて変わってた〟
〝へえ〟
〝初知り〟
結界張ってー、テント出してー、広げてー、ペグ打ってー、ターフも張ってー、今回は焚き火台にしとくか。
焚き火台の下にスペースあるし、スパークレックスのもも肉でグラタン焼こー。マカロニは持ってきとったはず……お、あったあった。レトルトのホワイトソースもある。サラダ用に玉ねぎスライスしたのもあるし、器は………スキレットでええか。おっけーおっけー。
〝そういやイレギュラーの魔石、確保できたよー〟
〝血抜き用スライムできたぜ!〟
〝おめー〟
〝おめでとー〟
「おめでとさーん。やっぱAランクは魔石がネックやったか」
〝運良く変異種アルミラージから取れたやつが羨ましかった〟
〝嬲り殺してたね…〟
〝執念なのか怨恨なのか…〟
〝どっちもじゃね?〟
〝あー、10連敗通り越して52連敗してたやつ〟
〝草〟
〝52はなかなかない数字〟
〝超された…!〟
〝52とはいかずとも連敗しすぎてるやついたわ〟
〝ノームラットが伏兵すぎた〟
〝あー…〟
〝餌を見えないようにするやつ…〟
〝いるとこにはいるよな…〟
〝場所によっちゃ気配消してっからな、あいつら〟
〝それ以外は無害っちゃ無害なだけにね…〟
〝お、グラタンか〟
〝荒野エリアだし、ダンジョンの外でキャンプしてるように見える〟
〝ダンジョンの中だけど、外と景色変わんないな?〟
〝おみくじダンジョンあるある。入口と同じ光景のエリアが必ず出てくる〟
〝あるある〟
〝言われてみれば〟
まずはスパークレックスのもも肉を一口サイズに切ってーボウルに入れてー、酒と塩胡椒振って揉んでちょい置いとく。
その間に焚き火台の上に火ぃつけた木ぃ置いてー、さらにスキレット置けるように木足して組んでー、スキレットを熱して油しいてー、もも肉どーん。肉の表面全体に火ぃ通ったら玉ねぎとマカロニ入れてー、ボトルの水を縁ぎりぎりまで入れてー、マカロニ茹で上がるまで水足しつつーのじっくり火入れー。茹で上がったら水気を飛ばしー、レトルトのホワイトソースどーん。ソースが沸々するまで放置!
マカロニ茹で上がるまでかかるけん、ちょい加速しよ。
〝屋外でグラタンもありか〟
〝レトルトさまさまよ〟
〝パスタもいいぞー〟
〝亜空間ポーチなかったらやる気起きないけどね…〟
〝ハンターならともかく探索者は戦闘が激しくなりやすいからなぁ…ハンターなら問題ない荷物も、探索者だと邪魔になる…〟
〝荷物置いとくと持ってかれるからな…〟
〝モンスターに持っていかれたり、戦闘中に吹っ飛んだり…〟
〝インベントリの呪文で片付くゲームのようにはいかんのよな〟
〝ステータスオープンもないな〟
〝現実だぞ?インベントリはともかくステータスは怖くね?〟
〝数値化って難しいよ。むかーし探索者の能力の数値化を試みた企業がいたけど、基準を誰にするかってので揉めて結局やめちゃった〟
〝あー、基準…そうか。剣聖基準だと俺ら雑魚になっちまう〟
〝かといって探索者なりたてのやつを基準にしたら、バケモンが溢れてることになる。俺らでさえバケモン扱いになるかもしれんぞ〟
〝う、うーん〟
〝Cランクの平均取るって言ってもなぁ〟
〝やべえやつはCでもやべえよ〟
〝実績こつこつ積んで、さくっとAまで来るやーつ〟
〝失敗しないわけじゃないけど、リカバリーが上手いやつもAまで来やすい気がする〟
〝わかる〟
〝失敗はしゃーない。イレギュラーとかイレギュラーとかイレギュラーとか〟
〝パーティで揉めないのも大事〟
〝それな〟
〝あと責任の押し付けがないこと〟
〝いるよな。依頼失敗を他人のせいにするやつ〟
〝そいつが単独行動してやらかしただけなのにな〟
〝あるあるー〟
〝そういうやつに限って、無駄に自信満々〟
〝あー…〟
〝確かに〟
〝ゲームで培ってきた戦闘技術なんて当てになんないからな?ソースは俺〟
〝元プロゲーマーが言うと説得力が違うな〟
〝ゆーて疾風っち、足の速さやべえじゃん?〟
〝身体強化してるにしても速いよな〟
〝昔「俺は風になるんだ!」ってやってた影響かなー〟
〝笑った〟
〝やるやる〟
〝アイキャンフライ!もやった。パラシュートなしで〟
〝それはただのアホでは?〟
〝草ァ!いやまあでも、索敵能力はゲームで培われたけど、実際敵を相手にすると殺気やべえよ。ゲームみたいにはいかねえよ。逃げるので精一杯〟
〝それな〟
〝サバゲーやってても、戦争でマジもんの殺気ってのを知ってちびったよね〟
〝ゲームはさ、ステータス強化あんじゃん。スキルとかの動作のシステムサポートもあんじゃん。でも現実にはねーじゃん〟
〝ないねえ〟
〝同じようにはいかないのはそりゃそうよって感じ〟
「おったなぁ。ゲームと現実の区別がつかんことなって、無茶やってPTSDなったやつ」
上の命令無視した挙句のやったけえな。自業自得とはいえ、あんときほど民間徴兵がクソやと思ったことはないわ。
ぶっちゃけ疾風が当たりも当たり、大当たりすぎる。
〝気づけば具材が煮えてた〟
〝色合い地味ね?〟
〝スパークレックスの肉って白身だからなぁ〟
〝にんじんほしいかも〟
「にんじんは植えたばっかやなぁ」
〝そっかー〟
〝エビは?〟
〝冷凍シーフード、時間停止の亜空間ポーチがあれば持ち歩くんだけどなぁ〟
「それな。じゃあ保冷バッグをっちゅーても、持ち歩くポーチ多いんは動きにくぅなってなぁ」
〝武器用ポーチに素材用ポーチ、その他用ポーチでかつかつ〟
〝ポーチ小さすぎるのも使い勝手悪いしな〟
〝だからってひとまとめにするのはねぇ…〟
〝何入れたか忘れて出せなくなるよね〟
〝亜空間ポーチに亜空間ポーチを入れるってできないんだよねぇ…〟
〝分けててもそれなるからメモ機能付き使ってる〟
〝容量そんなないやつじゃん…〟
〝何かを得るためには、何かを失わなければならない…〟
〝世の中の真理〟
煮え具合ヨシ!水気ヨシ!ソースどーん!まーぜまーぜして焚き火の上にセーット!
沸々してきたらチーズ乗っけて焚き火台の下に置いて焼く!
※烏が使ってる焚き火台は四角い金属フレーム(分解可能)に布を張ったようなやつ。コンパクトでお気に入り。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます