十一話 虐殺
山崎とアモレが戦いを始めた同時刻
城門にて。
1人の黒髪の少女が歩いてきた。右手で、何かを握っている。服の所々が破れ血が付き乾いた形跡があった。
門兵は少女に近づいた。
「何があったんだい?」
「……なさい。」
少女は何かを呟いているようだが、聞こえない。門兵は優しく問いかける。
「もしかして、西区で起こってる騒動で避難しに来たのかい?」
「………。」
少女は俯き、黙っていた。その顔をちゃんと見ようと…しゃがもうとしたら何かが割れた音がして、気がついたら、視点が宙にあった。
(どうし——)
ブツンと……意識が途切れた。
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城の玉座
「あーあ。」
水晶の映像を見て、少年は絶句していた。
「やまねちゃん…切り札、使っちったか〜。」
少年は谷口の胸ぐらを掴む。
「…あれは、一体何ですか?」
「やまねちゃんだよ……どう見ても。」
「あなたの託した切り札は、瓶に入れた『少量の魔王の加護』と言ってましたよね?」
「嘘だと思ってるのかい?心外だなぁ。」
「僕が見た時と現象がまるで違います。」
意味が分かりません。と胸ぐらから手を離し、思考を巡らせる。それを見ながら、谷口は改めて、映像を見た。
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(…………………………全て、思い出した。)
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門兵を殺した後、城門を蹴りで破壊した。
何人かは圧死したかな?
そう思いながら、お城に侵入した。
お城の兵士さんが何百人かで剣や槍で私を殺そうとしてきたけど
体を使って、兵士さんの頭や首や胴体を
潰して、砕いて、割いて、貫いて、折って、
壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して壊して……………………。
気がついたら、周りは綺麗な赤や壊れた臓器でいっぱいになってたよ。これが本当の臓器林ってね。
お城の壁の上から矢がたくさん降ってきた。
………拾って返さないとっ!
落とさない様に空中でキャッチ&リリース!!
ドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッドスッ…
…………………。
いつの間にか静かになった。
……私って何するんだっけ?まあいいや。
お城を探検しよう!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……っ!?来るぞ!!戦闘配、」
前にいた兵士の首が飛び血を撒き散らした……奴が来た。まるで散歩に来たかのような軽やかさで。
「狼狽えるな!!行くぞ!!!」
「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」
兵士が迫ってくる。
槍を持った兵士が◾️◾️を貫こうして、避けられ
心臓を蹴りで貫かれ、絶命した。
剣を持った兵士が後ろから◾️◾️を斬り殺そうとした。
(貰ったーーーーーーーっ?!)
斬り殺す筈だった剣の方が砕けた。◾️◾️は振り返り、右手で腑を抉り出し殺した。
大斧を持った兵士は、◾️◾️の頭をかち割らんと大斧を振り落とす。……左手で大斧を破壊され、
顔面を潰されて即死した。
「ヒ、ヒィ!?」
弓を持った兵士は余りの恐ろしさに◾️◾️から
逃げようとした。
いつの間にか目の前に◾️◾️がいた。
首を絞められる。
「ご、が、ぴ…」
ゴキンと首がへし折れ、死んだ。
——-城内は血に染まり始めた。
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少年は思考する。この状況を打破する方法を
考える。考えて考えて考えて………。
「チェックメイトだよ。私も、君も。」
「…………。」
仮に今、転移魔法で逃げたとしても、最終的にあの◾️◾️と戦わなければならない……却下。
「いやぁ〜私が考えたとは言え、まさかここまでとは……予想外だったなぁ。」
人質は有効か?…駄目だ。万が一、逆上した場合、死ぬのは僕だ……却下。
「まあ、仮にやまねちゃんと山崎君の場所を反対にしてたとしても、結局はこうなるんだろな。」
遠距離攻撃なら、どうだ?……◾️◾️が常に動き回っている以上、この方法は使えない…却下。
「………でも、君が助かる方法はある。」
「……っ!?」
意識が現実に戻り、谷口の方を見た。
「おっ。やっと私の方を見たね。」
「……あるんですか?…方法が??」
まあね。と谷口は言った。
「ただし、君の能力開示が条件になるけど良いかい?」
「……?」
(何故今更、僕の能力を気にする?)
そんな考えはすぐに霧散霧消した。
「だってさ、気になっちゃって。本当にそれだけだよ。冥土の土産に教えて欲しいな☆」
「……分かりました。」
軽く咳払いをして語る。
「では、手短に。僕の能力は大きく分けて2つです。」
「1つは、「転移魔法」です。…それは魔法じゃないか…ですか?普通は人を転移するのが通例ですが僕は、生物よりも『物体』を転移させる方が得意なんですよ。あなたも見たでしょう?町で…ロンさんでしたっけ?を爆散させた時や君の友達にやったのもまさにそれです。まあ、座標を確定した後は取り消しが出来ないのが難点ですかねぇ。ロンさんの場合は『風船』を転移させてましたね。本来なら、絶賛暴れているあの◾️◾️に当てる筈だったのですが。ん?友達は貫かれていた…ですか?それは単純な理屈ですよ。その時転移したものは『投げた尖った小石』でしたから。動く物体を転移した場合、動いた状態で転移しますからね。面白いでしょう?」
「もう一つは、まあ、言ってしまえば『透過能力』ですよ。これは僕固有の能力で、コードネームの由来になったといっても過言ではありませんねぇ。…話を戻しますと、この状態になると、透明になり、壁や結界といった障害は全て無視できます。その力があっても、魔王城に侵入して、中にいる魔王や魔物達も飛ばす為に、高純度の魔石を9つ配置して外に出てから転移を発動させるのは……中々にしんどかったですが。
一見、万能に見えるかも知れませんが、この状態だと、攻撃も魔法も使えないし出来なくなるといったデメリットもあります。そして少しでも傷ついたらこの能力は使えなくなるという点もあります。まあ、観察や偵察メインの能力ですね。他にも欠点はありますが…とりあえず、こんな感じでしょうか。」
「………手短にとは言いましたが、随分と長話になりましたねぇ?」
「ありがとう。これで色々と謎が解けたよ。」
「では約束通り、方法を教えて下さい。」
少年は手を銃の形にして、谷口に向ける。
「ちょ!?脅すなよな。ほら、コレだ。」
あっさりと谷口は一枚の札を渡す。
「これは………?」
「…転移の札。その6枚目さ。」
谷口は続ける。
「私の切り札だよ。これは特殊でね。これを使えば、とある場所に行ける……そこに最終兵器があるんだ。」
ゴクリと唾を飲み込んだ。
「まあ、君の能力を教えてくれた事と私への待遇の礼だと思ってくれていい。」
「……あなたはどうするのです?」
谷口は即答した。
「やまねちゃんを説得するさ。責任を持ってね。」
「…そうですか。まあ精々、成功する事を祈っていますよ。」
そう言って、札を見る。
「…ちなみに、どう使うんです?」
「これに書いてあるからそれを言えば発動するよ。」
谷口は何処からか分厚い本を取り出して渡す。
軽く本をめくった。
「………これ、全部読むんですか?」
「うん。何せ私の切り札だからね。」
げんなりしながら少年は詠唱をする。
「世界とは即ち虚構で満ち満ちている。正しさなんて何処にもなく、あるのは偽善のみである。生きとし生けるものは狂うがよい。それを私が許し、救ってやろう。だか、それすらも嘘かも知れない。それを理解できない者には断罪をくれてやる!劇とは文字通り、演じることである。自身を偽る事が出来る者、人生に快楽や悦楽を求める者、狂気に近い執念に身を宿す者
は集うが良い。さすれば汝らの生に意味をくれてやろう。この世界を統括する花形羅佳奈の名にかけて!!歓迎する事を誓おう!!演劇部部員募集中!!!」
少年の姿が消えた。
「…行ったか。」
それとほぼ同時に、玉座の扉が蹴破られた。
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どうやらここがゴールのようです。
………?誰かが座っていますね??
ここの王様でしょうか?
「やあ、やまねちゃん。」
……やまねちゃん?私の事でしょうか?
「ごめんね。ここまで追い込むつもりは無かったんだよ?」
追い込む?何を言っているのでしょう??
王様は立ち上がりました。
「勝負しようぜ。……君と私の一騎打ちさ。」
そう、言い放ちました。
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