第5話 勧誘~真榮 能善(しんえい のうぜん)の場合
パチリと火の粉を爆ぜさせて焚火が闇を照らす。ステンレスのマグにポットからコーヒーを注ぎ一口啜るとほうっと息を
月どころか星明りすら照らさぬ暗夜。独り山中でキャンプしながら想いに耽る。
懐から取り出した一枚の写真。色褪せたそれは自分を含む多くの男女が映るある発掘探検隊の集合写真。全員を覚えている。名前に交わした言葉の数々…
だが自分がその探検隊に属していた記録はない。
意図しなかったとはいえ世界に『
ルルイエと呼ばれた海底都市を発見するものの海底地震とそれに伴う大津波、辛うじて逃げ出せた者も脱出した航空機の成層圏での爆発事故により
記録にない記憶…そも19年前ならば自分は小学生だ、しかし有り得ないが確かに在る記憶。
ズキリと首周りに付いた斬首か絞首跡の様にも見える傷跡が思い出すのを拒むかのように疼く。
昨年、千葉の海岸で漂着していた際に所持していたこの写真。
探検隊の記憶は有るのに漂着の際の記憶はない。
そして…手の内に空気中の水分から瞬時に生み出した
19年前の事件以降世界中にばら撒かれた『
「
視線の先、闇照らす焚火の向こう闇奧より這い出る影。
「
山に入る前に立ち寄った雑貨店の店主が言っていた『
のそりと二足で立ち上がったKUMA、威嚇するように大きく広げた
咆哮を上げ迫る巨躯、次々と振り下ろされる爪撃の嵐を
構えた氷刃を冷気と振動で満たす。澄んだ高音を上げた氷刃を瞬時に
スローモーションのようにゆっくりとKUMAの頸がズレ落ちる。
闇夜を裂き投光器のライトが次々と自分とKUMAだったモノを照らしだす。
「
両手を上げ氷刃を霧散させる。光の輪の中次々と大型銃器を構えた威圧的な外見の
拘束帯を付けられ所持品を検められる。
「
その後、
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