第2話 出会いと狂気

変身メタモフォスイスッ!


そうすると、胸元に真っ黒な水のような謎の液体が現れ、ゆっくりと俺の身と頭を包んで鎧となった。


うんん……背後がなんかおかしく重そうな感覚がある。背中に何があるんだ。


その感覚に沿って意識し、その物を操ってみると。ぶんぶんと上下に風を切って振ってやや空に浮いた。


これはまさか翼ってなんてこと!


正に思わなかった。


「シリアルキラーってなんで後ろに翼を生み出す?もしかしてこの不吉そうな職業は勇者とか賢者とか同じ強いんだ?」って笑って突っ込んでやった。


もっと実験しよう。


翼に力を注いでぐっと翼を広げて空へ飛び立つ。


空に至ってからいろんな感想を漏らした。


「はははは、俺は本当に飛んでるぞ。この高さもちょうどいい。風が強く涼しく吹いてくれる。あぁぁ、気持ちいい。」


下に目を向ける。


足の下は広い大地だ。北の方向は木々が途切れずに蔓ってる。森の広さはものすごいだね。後ろに向けたら、あまり遠くない距離に砂漠との境界線はきちんと横断されて綺麗な線が引かれてる。そこに遊牧部落があるかな…


が、俺は砂漠にはあまり行きたくない。持参する水筒がないし、暑さはけっこう嫌いだし。


じゃ、選べる選択肢は一つしかない。それは北へ飛ぶのだ。


翼を振って空を飛びかけ続け、ぼちぼちと時間が経った。高速で飛んでも森にまだ通れなかった。空の色もだんだんと変わっていた。起きた時は朝だが、今の空は茜色に染まって夕べになった。


半日を通して飛んでもまだ森にいる。


「ったく。この森は広すぎない?」


今日は野宿するしかないみたいな……


仕方ない。休憩できる場所を探そう。


ちらりと下を一見と、ふいに北西の方に小さい灯火のような光が見つかった。ついに人を見出した。それになんだか甘い匂いがしてる。嬉々とした俺は加速してそちらへ飛ぶ。


途中、距離を縮めるにつれてその甘さがもっと強くと感じられる。


はぁぁ、はぁぁ。


涎、涎を止めようとしたが。口元が割れたように何度も掌で払っても垂れてる。やや困るな。


あ、方法を思い出した。注意を甘さからそのところに払おう。


さて、そこは一体だれがいるかな。


そこを見て三台の馬車がいる。馬車の前になんとなく二人が真っ白な鎧を着てる兵士みたいな人に追いかけられてるみたい。が視界はやや朦朧としてその人たちをはっきりと見られない。


瞳を細めて見ると、後追いされた二人は母と娘らしい。母はけっこう若く可愛い美人だ。純白な雪に負けない色白の肌に実った小麦のような金色のロングヘアー。小柄にほとんど透明なヴェールを着てるのは大きく膨らんでるおっぱいを強調した。淫靡な雰囲気を醸して遠くても俺は感じ取っていた。が、その華奢な首には首輪がつけられている。


彼女の手を繋いでる女の子も母と同じ美しい髪と顔立ちを持ってる。成長したら母に劣らない美女になるに決まってる。


しかし、首輪もつけられている。


二人ともの弱々しく脆い体からして逃げられるわけがない。そう思いながら彼女たちは何に障って足が絡まった。


その方は置いてけぼり、視線を移して白い鎧を纏めて兵士たちを観察する。胸当てに初見したコーティングがなんとなく懐かしいな。黄金のボールにその上で蒼い鷲が頭をあげ右の足が剣を持ちながら左の足は本を持ってる。


が。懐かしい気分は一瞬に転換した。胸に火山が勢いで噴火したような憤慨と抑えられない恨みが湧き出した。


許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん!


絶対許さん!


一人残らずにぶっ殺してやる。全て、全てをッ!


その後で行われたことが忘れてしまった。


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xxx:xxx≫呪い《過去の記憶とトラウマ》:狂気、殺戮に飢え、オーバーキル


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全部、全部が終わった。


僕とベルモンドとの夢は終わった。


過去三兄弟のひとり、ジャック・ド・フォレスティエは裏切った。魔王を殺した途端僕に統率された軍隊を攻撃した。


その反逆は全然予兆なく唐突に攻撃してやがったくせに大きい損傷が出てきた。半分以上の兵士はその卑怯な裏切りに命を無くした。


そのせいで、やつの軍勢はもう止められなかった。あいつの軍事才能に加えて数え切れない兵士と物資によって僕と の領地を攻め込んでやった。得た領地に住んでる獣人とハーフを虐殺し奴隷とされ、逃げた獣人たちは僕を統治してる都市へ行ったが。


反乱軍もとうとうここに辿り着いた。獣人とハーフの最後の砦である。


やつらは到着した後に攻城が始まった。僕は本陣で物資を分配しながら指揮する。

僕は分かってる。この都市は時間によって陥落せざるを得ない。だが抵抗することなく降参するのができない。わが軍はこいうい絶望な状況に遭ってもまだ諦めないから、ヤケになるのはまだ早いぞ!


それにしても悲報が届くのは避けられない。


「xxx様大変申し訳ございません。北の塁壁は敵の投石器による破壊されてしまってなだれ込でおり、それにわが軍の兵力が不足しておりますので、北への兵力の補充をお願いします。」


「余る兵力はもうなかった。僕はひとりで北へ支援する。ベール、指揮とここは君に頼むぞ!僕は先にいく。」ってからテントに出て北へ飛ぶ。


北にじわじわと迫ると、騒ぎも絶叫も悲鳴も聞きつけた。


ただし、それは最悪ではない。


騒ぎの音に目を向けて状況を把握してみる。この目に焼きつける映像は地獄と異なることがない。


平民は無惨に殺され、老人も婦人も子供も一人残らずに惨殺された。彼らの手足はパラパラとあっちこっちに散らばってる。こう見ると僕の心が切り裂かれてしまった。昔の僕は彼らに誓った、魔族との戦いが終わった後に獣人もハーフも人類も平和に生きられる世界を創り出すことを。あの卑劣な裏切り者と同じように僕は彼らを裏切った。


ああぁ…ああぁ…ハハ…ハハハハァァァ…


許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さん!


絶対、全部を嬲り殺ししてやるッ!


ダーク・ソードッ!


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お読みいただき、ありがとうございました!


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