第23話

「アニメイトって一人で行くと、ナンパされる可能性が高いって、友達が言っていたから、なかなか来れなかったんだよね。好きなものを見てるときに知らない人に話しかけられるのが嫌だし」


るなもほどの美少女なら、アニメイト行ったら、話しかけてくるのはひっきりなしだろうな。だから一人でアニメイトに行かないのはあっているだろう。同じアニメオタクなら、ワンちゃんあるんじゃないかと、オタクは考えるからな。


「まぁ実際に話しかけてくるやつはいるだろうな。俺も好きな人がいなかったら、そうしていたかもしれないし」


「やっぱり遥斗くんは果林ちゃんが好きなの?」


「いや別な人だな。よく一緒にいるから、学校の奴らはそう勘違いされてるが。まぁ好きな人が誰かは言えないが」


本人を前にるなもが好きだと言ったら、告白みたいなものだし。そして振られるだろうしね。まだ告白は成功する見込みがでてからした方がいい。


「そうなんだ、てっきり果林ちゃんが好きかと思ったよ。でもその別な好きな人に私と一緒にいられるのを見られて勘違いされないの?」


「その辺は大丈夫だ。この辺には来ないだろうしな」


本人が一緒にいるのに、勘違いされることなどないだろう。面倒ごとが起こるとしたら、奏がいたらだが。滅多に奏も秋葉には来ない。好きなアニメのグッツがでてすぐに売りきれるかもしれないっていうときぐらいだ。今日はそんな予定はなかったから、大丈夫なはずだ。


「それなら大丈夫だね。あ、アニメイト着いたみたいだよ。へーでかいね」


「秋葉はアニメの本拠地だからな。入ったら、もっと視線がすごいだろうが、我慢してくれ」


「分かったよ。それじゃ入ろっか」


俺達はアニメイトの中に入った。するとるなもを見た瞬間周囲の人は凝視してくる。だがとなりに俺がいることで話しかけてくるやつはいない。るなもは二次元の美少女と言っても過言じゃない。それくらい他の美少女よりも上をいっている。だからヒロインがでてきた感じで、ついつい見ちゃうのだろう。


「いろんなアニメのグッツがあるんだね」


「まぁな、それでなんのアニメが好きなんだ?」


「青春ラブコメは間違っているだよ」


まさかのバリバリの深夜アニメだな。てっきり鬼滅かと思ったんだが。もしかしてラノベも読む感じかね。だったら趣味が合いそうだ。果林はアニメをそんなに見ないから、語れる人が少ないんだよな。それをるなもと語れるとか最高すぎるわ。


「それなら上の特設コーナだな」


「エレベータかな?」


「そうだな、あそこなら結構グッツ置いてあるぞ。完結したばっかだから、余計にな」


「楽しみだなぁー。アニメイトは始めていくから、いろいろ見て回りたいなぁー」


俺も気になるアニメはいくつかあるから、それをチェックしていくか。マイナーなラノベも興味があるものなら、買いたいし。東京レイヴンズのグッツも秋葉くらいしか置いてないしな。ラノベ自体は結構色んな所に置いてあるんだが。


「俺も見たいのあるしグッツを買った後、いろいろ回るか」


「そうだね、特設コーナって何回?」


「1番上だな」


俺達はエレベーターが来たので、それに乗り上に行った。るなもはエレベーターのなかでも視線を向けられている。一人だったらめちゃくちゃナンパされていただろうな。たまにオタクを狙ったナンパ師もいたりするから、外に出たときに警戒はしておくか。


そして上の回に着くと、俺達は降りた。るなもはスゴーいと言いながら、青春ラブコメのコーナに向かった。


「見てこんなにいっぱい八幡グッツがあるよ」


八幡ファンなのね。まぁ女子なら巣気になる気持ちは分かるが。今まで見てきたアニメの中でもトップクラスに優しいし。それに声もいいしな。顔も悪くない。


「結構人気の主人公だからな。ひねくれててめんどくさい部分もあるが。それも魅力のひとつなんだろうが」


「そうだね、あんなに優しい人見たことないよ。現実にいたら、好きになるだろうね」


目指すべきは八幡ってことが分かった。それは大きな収穫だろう。八幡のように何がなんでもるなものことは守ろう。この命にかけても。誰にもるなもは傷つかせはしない。


「そうか、それじゃ好きなだけ買うか。カンバッチはランダムだから、俺も何個か買ってほしいのが互いにでたら、交換でもするか」


「それがいいね。それじゃクリアファイルも買おうと。八幡の制服のをね。それとアクエリルバンとキーホルダーも買おうと」


生き生きしてるな。それだけアニメイトに行きたかったってことだろう。行く相手に俺を選んでくれたことが嬉しい。智輝に次ぐ好感度だと嬉しい。いつか智輝の好感度も越えていく。俺はるなもが楽しそうにグッツを選んでいくのを見ていた。


「ふぅーこんなもんかな。それじゃこのコーナを見ていこう」


るなもはかごに好きなだけグッツをいれた。そさてそれを持ちながら移動をしようとした。


「それは俺が持つぞ。少し重いだろ」


デートならものを女子に持たせるなという遥の教えでもある。まさか役に立つ日が来るとはな。まぁ果林のは毎回俺が持っているんだが。あいつ自然に渡してくるんだよな。お礼は言われるから、別にいいんだが。かごを持ちながら、特設コーナを回ることにした。




















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