第21話

「それじゃ俺はちょっと、勉強してくるわ。今日の復習がしたいからな」


「ええ頑張ってくださいお兄様」


「私たちも勉強するよ奏」


まぁ遥達も同じ学校だから、テストはあるからな。まぁ遥達は成績がよくて、苦手な科目もそれなりに点数はとれているから、俺みたいに赤点ギリギリじゃない。だが努力家だから、遥達はよく勉強をする。そして苦手な科目は互いの得意科目だったりするから、この二人で教えあっている。


「そうですね、今度こそ私が遥よりも上の順位にいきます。そしてお兄様に誉めてもらうんです」


どっちも頭はいいが、僅差で、遥の方が成績がいつもいい。どっちもトップ10には入っているがな。俺は文系科目だけなら、トップ40以内には入っているが。遥達の場合は全科目での順位だから、俺よりかなり頭がいい。この学校に入るのもたいして、苦労はしてなかったし。入試の成績も上位だった。


「上にいけたら、出掛けるか?」


「デートですか、それなら絶対に負けられません。そいうことなんで、本気で勉強させていただくので、私は自分の部屋に戻ります」


そう言ってやる気に満ち溢れた目で部屋に行った。あれであそこまでやる気ってでるものか?


「あーめちゃくちゃ本気になっているね。さすがお兄ちゃん、一言でその気にさせるなんて」


「いやあそこまで本気になると思って言ってないんだが、そんなに嬉しいものか?別にとなりにいてもばえるわけじゃないと思うんだが」


「好きな人に言われるだけで違うものだよ」


「そいうものか。まぁ好かれるのは嬉しいが、あいつも別のもっと魅力のあるイケメンとかいると思うんだが」


俺なんておしゃれしてもせいぜい雰囲気イケメンになる程度だ。そんな男より頭がよくイケメンでお金持ちの男でも、奏なら落とすことは可能だろう。それだけの美少女だしね。


「お兄ちゃんは自分の魅力に気づいていないみたいだね。お兄ちゃんほど優しい人はいないよ。だからお兄ちゃんと、果林さんはお似合いだと思うけどなぁー」


遥なら言っても言いか、俺がるなもを好きなことを。きっと応援してくれるだろう。まぁ俺が果林が好きではなくるなもを好きなことを知ったら、驚くだろうが。まぁ果林と一緒にいることが多かったから、勘違いするのは無理ないが。


「あれだ俺の好きな人は果林じゃなくて、るなもなんだよ。これ奏には言うなよ。何をしてくるか分からんからな」


「え?お兄ちゃん果林さん好きじゃなかったの?るなもさんって学校でも有名な美少女だよね。まさか果林さんを好きじゃなくて、るなもさんを好きだとはね。驚いたよ。でも納得だね。お兄ちゃんああいうタイプの顔が好きだもんね」


「あのパッチりとした目にボブの髪型が理想だと言っていたし」


「まぁ顔もそうだが、笑顔もかわいいんだよな。頭もいいし、優しいし、好きにならないのがおかしい」


るなもほど魅力的な女子は櫻坂のるんくらいだな。あの顔も俺の理想である。るなもがアイドルをやったら、間違いなく売れるだろう。まぁでも恋愛禁止になるから、るなもはアイドルをやるか分からないが。


「べた惚れだね。なんとか奏にはばれないようにしないとね。ばれたら何かを仕掛けてくるだろうし」


奏さえばれなければ、段々上手くいってる気がするから、ワンちゃんあるかもしれない。だがら何がなんでも奏にはばれないようにする。明日るなもとのデートも悟られないようにさなくては。まぁ勉強に本気を出した奏が俺の予定に勘づけるほど余裕はないと思うが。


「そうだな、明日デートだから、ご飯はいらない」


「了解、それじゃ明日は楽しんでねー。私も奏にただではやられないから、勉強するね」


「頑張れよ」


本気になった奏はものすごい集中力があるから、多分今回は奏が勝つだろう。それなりのものをプレゼントできるようにしておくかね。俺は自分の部屋に入ると、机を開きその前に座り、数学の参考書を広げて、勉強をし始めた。

いつもよりストレスなく解けている。るなもの教えはちゃんと俺にインプットされていたようだ。それから集中して、勉強していると、一時間経って、眠くなってきたので、寝ることにした。明日が楽しみだ。


俺はけたましく鳴るアラームの音で起きた。やっぱり起きなきゃいけないときはアラームに限るな。俺はそう思いながら、伸びをして、ベットから降りた。優花が選んでくれた服を着て、歯磨きと顔を洗って、俺は忘れ物がないか、最終確認をして、奏にばれないように家を出た。


集合場所は松戸駅だよな。あそこ前ナンパしてる人がいたから、るなもを待たせるのは不味い。るなものアイドル級の可愛さなら、男は相手がいないだけでナンパしてくるに違いないからだ。俺でも男がいれば男避けにはなるだろう。


南柏駅にバスで向かった。バスに乗っている最中俺はにやけていた。お陰でとなり座っていた女子は俺にキモいなという視線を向けながら、隣からはなれてバスの前の方で立つことを選んでいた。どんだけキモかったんだよ。まぁそれでも気にならないくらい俺はるなもとのデートを楽しみだったから、ずっとにやけていたが。だから俺はダメージを受けない。いつもだったら周囲の目を気にするがね。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る