第19話

「頼むわ。数学はどうしてもできるようにならなくてな。何でこんなに使わないものを必修にしてるんだろうな」


確かに数学が全てを作り出しているっていうのは頭では理解しているが、数学でなにかを作り出している人間なんて一部だろう。ほとんどの人間は足し算とかけ算と割り算さえできれば、問題ない。なにかを作り出すのは一部の人間任せて、一般庶民は教養を深めて、知識を使っていろんなことに利用する方がいいんじゃないだろうか?


「数学ができるといろんなことが証明できるから、結構面白いよ」


「るなもがそう言っても、俺には理解ができないわ。やっぱり根本的に数学は俺にはあっていないんだろうな」


まぁ今はとりあえず赤点を回避することだ。毎回ギリギリで回避してるが。勉強時間を結構数学で使ってこの成績だが、今回はるなもに教えてもらえるから、少しは時間短縮ができるだろう。


「コツさえ掴めば簡単だよ。これはこうだからこうやってやるんだよ」


そう言ってノートに途中式書いて、解説してくれた。数学の先生よりも分かりやすい。やっぱり頭いい人間は教えるのも上手いんだな。秀才は色々省いて説明すると思っていたが、それは一部の天才だけのようだ。ちゃんと理解してるから、教え方順序だっている。


「分かりやすいな。さすが学年でもトップクラスの秀才だ。これで数学の赤点は回避できそうだ」


その分フランス語に時間を使って過去最高の点数を出すことを目標としよう。めざせ満点近くだ。フランス語なら学年一位も取れるはず。


「それならよかったよ。それじゃ私は古文を教えてもらおうかな?」


「古文か、るなもの唯一の六十点代だよな。古文なら俺はそれなりに点数が取れてるから、教えられるな」


元々日本史が好きだから、古文書とかを読んでいたら、自然に身に付いたんだよな。読み方がな。平安時代のものとか歌とか非常に興味深いものばかりだ。日本史に興味を持てば自然と、古文はどうにでもなる。


それから古文を教えて、改めて古文の美しさを感じた。るなもは理解をするのが早かった。さすが学年トップクラスの学力を持っているだけはあった。


「それにしても遥斗くんは文系科目なら成績上位ですごいよね」


「理系科目ができるるなもの方がすごいと思うが、理系科目とか俺にはさっぱりだしな。それにるなもは英語ができるだろ?英語さえできれば大体の大学は行けるだろ」


フランス語で受けられるところは大学が限られるからな。しかも難関大学しかないし。フランス語を利用してそもそも受ける受験生が少ないんだろう。


「まぁ私ハーフだからね。英語は家で使っているから、できて当たり前だよ。語学は慣れだと思うしね」


俺もゲームでフランス人の知り合いができてから、フランス語力が格段に上がったから、その意見には同意できる。結局話す相手がいるかいないかで結構変わってくる。まぁなまりとか話している相手の影響を受けるってこともあるが。


それから俺たちは勉強を一時間ほどして、互いに満足をしたので、俺達は図書館をでることにした。他の高校生もでて話しかけようとしていたので、俺は霊圧を加えて、話しかけてこないようにした。


「結構有意義な時間だったよ」


「俺も楽しかったぞ。明日も一緒にいれると思うと楽しみすぎて、寝れなそうだ」


「一緒にいて寝ちゃうのはもったいないから、ちゃんと寝てね。眠気がない状態で、一緒に過ごしたいからね」


それならよく眠れる方法試すか。数学を寝る前に勉強すれば眠くなるだろうし、復習にもなる。数学は魔術のように感じて、よく眠たくなるからな。


「そうだな、ゆっくり寝るわ」


「うん、ちゃんと寝てね」


それにしても制服姿で一緒に帰っていると、付き合ってるように感じるな。周りからはどう見えるんだろうか?俺とるなもじゃ釣り合ってるように見えないから、友達みたいな感じかね。実際に距離感もそんな感じだし。


そして駅まで着くと、るなもは止まった。


「私こっちだからじゃあね」


本当はるなもを家まで送ってやりたいが、俺みたいなやつに家を知られるのは嫌だろうから、ここで別れることにする。


「それじゃまた明日」


「うん、また明日ね」 


俺達は松戸駅で別れた。今日は奏の夜ごはんだから、食べないとあらぬ疑いをかけられかねないから、早く帰ることにする。まぁ20時には帰れるだろう。それくらいなら、疑いをかけられることもない。図書館で勉強していたと言えばいいし。


俺は改札を通り、電車に乗った後、バスに乗り、家に着いた。ここまでくると、日常の終わりを感じる。


「ただいまー」


「お兄様お帰りなさい。お風呂にしますか?夕食にしますか?それとも私ですか?」


「お風呂で」


勉強してきて疲れてるからな。すぐに湯船に入って、ゆっくりしたい。あの奏の発言をスルーしていいのかって?まぁいつも通りだから、問題ないだろ。私を選んだら、間違いなく襲われる。俺が襲うのではなく。不動金縛りを使って、動けなくしてな。


「もう連れないですね。お風呂は今沸いたばっかしなので、暖かいですよ。、、、、ウフフお兄様の残り湯は私が楽しむとしましょう」


なんか良からぬことを考えてそうだが、スルーだ。いちいち気にしていたら、キリがない。俺はそんなことを考えながら、靴を脱ぎ、二階に上がり、パジャマを持ってきて服を脱ぎ、風呂に入った。
















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