第17話

「そう言えばお弁当って誰が作っているの」


俺は唐揚げを食べて、ごはんにハートマークあるのもいつものことだなと思いながら、食べていると、そのハートマークをみてるなもが質問をしてきた。まぁ今は慣れたとはいえ、ハートマークがついていれば、彼女が作ったと誤認してもおかしくない。ここはちゃんと妹が作ったことを言わなきゃな。勘違いされて、るなもの恋愛対象から、外れたくない。


「これは奏が作ったんだよ。まぁ毎日ではなく日によって、誰がごはんを担当するのか違うんだが。俺とか遥が担当の時は弁当は作らないから、大体購買で買ったものだ」


「愛されてるねー。ハートマークなんて普通兄妹につけないよ」


「まぁブラコンだからな。氷姫なんて呼ばれて、他の男の告白を躊躇なく断るのはどうなんだと思うが」


「奏ちゃん可愛いからねー。でもなんでそんなにブラコンになったの?」


「それが分からないだよなぁー。普通に接してきたはずなんだか。襲われそうなところを助けてから、ああなったな」


でも妹が襲われそうになったら助けるのは普通だろう。大事な家族なんだから。周りの人は無視していたが。確かに相手はヤクザぽかったが、古武術を習っていた俺にはあの程度ならどうもなかったから、助けた。武闘派の幹部とか来たら、やばかったが。


「それが原因だと思うよ。絶望している中で、まるで白馬の王子さまのように、助けるんだから」


「妹が襲われていて、助けない兄はいないと思うが」


「遥斗くんのことだから、相手は普通の人じゃないでしょ。だから普通なら、兄妹でも助けないよ」


まぁ勝てる自信があったから、助けたというのもある。もしなにも習ってなかったら、どうなんだろうか?いやなにもやってなくてもボロボロになってでも助ける。兄とは妹を守るためにいるんだから。


「まぁヤクザだったが、そんなのは関係なく妹を助けるのが兄の役目だからな」


「予想の上をだよ。よくヤクザで大丈夫だったね」


「まぁこれでも鍛えるからな。そこら辺のヤクザには負けんよ」


負けそうな相手でも奏を逃がすことぐらいならできると思うが。まぁ相手が幹部じゃなくて助かったわ。もしくは10人以上だったらさすがにやばかっただろうな。あのヤクザは刑務所に入ったらしいが、別件でな。いつあのヤクザの所属している組織がお礼参りに来るのかが怖いが。もしかしたら、俺の好きなるなもにも被害がいくかもしれない。もしそうなったら、俺はどうなろうと助ける。


「強いんだね。きっと大切な人のためなら命もはれるんだろうね。ちょっと奏ちゃんが羨ましいなぁー」


「るなもだってピンチになったら助けるぞ。俺にとってるなもも大切な友達だからな」


恋人にしたいくらい好きだが。今ここで言っても振られるだけだから、好きなことは言わないが。俺にとっては誰よりも大切な存在がるなもなのだ。


「ありがとう。何かあったら、頼らせてもらうね」


るなもの信頼をゲットだ。信頼関係は重要だからな。俺たちは残りの弁当を食べた。そして俺は立ち上がり、フェンスのところまできて、下をみながら、自主練をしている、野球部のメンバーを見る。きっとあの部員達は野球が大好きなんだろうな。俺みたいに何となくそのまんま野球高校で続けて、甲子園に出れたらいいな程度ではなく、本気で目指しているんだろう。


るなもも俺の隣に来た。そして野球部の練習を眺めて、一言頑張っているねと言った。


「ここって進学校だけど、みんな部活には本気だよね。まぁそんな文武両道なところに牽かれたから、この学校に通いたいと思ったんだけど。まぁもちろん智輝くんがここを選んだっていうのもでかいけどね」


るなもはサッカーのマネージャをやっている。智輝がいるからな。だけど他のマネージャーが智輝にだけ特別扱いをしているなかで、るなもだけはサッカー部員みんなに尽くしている。頑張っている人が好きなんだろう。それと公私混同を部活でしないようにしてるんだろうな。だから勘違いする部員も出てくるんだが。


「そうか、俺はるなもがいなければここの高校を選んでいたか分からなかったな。学力もオープンキャンパスのときは低かったし、るなもに会って、どうしてもこの学校に行きたいと思ったんだよ」


「そうなんだ。私は遥斗くんに出会えてよかったから、ここにきてくれて嬉しいよ」


そう言って目を細くして、微笑んだ。天使の笑みだな。この笑顔を俺は何があろうと守っていく。るなもは美少女で、智輝の側にいるなにか厄介後とに巻き込まれる可能性は高いだろう。モテるやつの側っていうのは何かしらに巻き込まれやすいからな。


「それならよかった。それじゃそろそろ時間だし、教室に戻るか」


この時間帯なら、クラスメイトから、探られることはないだろ。そして放課後になったら、すぐに帰る。そうすればいつか今日のことは忘れるはずだ。俺と果林が今まで通りに過ごしていれば、皆あれは一方的なんだと思うはずだ。


「そうだね、はぁーそれにしても向井くんに話しかけられると、他の女子からの嫉妬の視線がすごいんだよね」


「まぁイケメンだからな。でも何かあったら俺が守ってやるから、安心していいぞ」


向井が何かを仕掛けてくる可能性はなくはない。そのときるなもが傷つくことがあるなら、俺は許さない。例えそれがどんなに人気者だろうがな。




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