第15話

俺達はそれからニュースを少し見てから、家をでた。そしてバスに乗り南柏に着き、そこから電車で新松戸駅まで行って、幸谷駅に着くと、いつもにも増して、見せつけるように腕に抱きついてくる。胸が当たっていて、剥がそうとすると、腕に力をもっといれて、もっと胸が当ててくるので、諦めた。俺は煩悩退散煩悩退散と心のなかで、唱えながら、平静を装った。奏は機嫌良さそうに鼻歌を歌っている。


周囲の人の目が痛い。特に果林を気になっている人からの視線がな。果林は誰にでも優しいが、告白は断ってばっかしだ。それなのに俺とは仲良くいるときが多いせいか、果林は俺のことを好きなんじゃないかという噂がでているから、そんなやつを奏が腕を抱きながら歩いていたら、なんで果林に好かれているのに、奏みたいな美少女にも好かれているんだと怒りを買っている。


そしてそんな視線を浴びながら、流鉄を待っていると、来たのでそれに乗った。


「お兄様どうでしたか私の胸は」


「確かにいい感触だったことは認めよう。だが男の視線が人を殺しかねないものだったから、正直冷や汗が止まらないんだが」


「ふふいい感触だったことは認めるんですね。視線は羨ましいと感じてるだけなので、気にしなくてもいいかと。その羨ましいことをしてもらえているので、もっと誇ってもいいんですよ」


いや誇るもなにも今もとなりにいるだけで、視線がものすごく集まるんだが、いくら視線集めることになれてるとはいっても、あんなに殺気のある視線は集まるのはできるだけ勘弁して欲しいんだが。


「いや誇っても刺すような視線が強くなるだけだと思うんだが。俺はそんなに死地に自ら突っ込むほどバカじゃない」


そんなことを言っていると、平和台に着いたので、降りた。ずっとこの刺すような視線を受けているんだが。マジでいつか呪われそう。素人の呪いなら、跳ね返せるが。プロは無理だぞ。うち陰陽師家系じゃないし。


そして、もう半場諦めながらも、奏と歩く。奏はすごい嬉しそうに、俺と学校であった出来事やアイドルの話をしてくる。妹だけあって、話が合うんだよな。好みも結構似てるし。まぁ寄せてる可能性もなくはないが、本当に好きなように話してるから、多分それはないだろう。


「あ、あっという間に学校に着いてしまいましたね。楽しい時間はあっという間です」


少し残念そうに奏は言った。いや家でいつでも話せると思うんだが。奏ならいつ話しかけてもいい。だからそんな残念そうな顔をするな。


「私がお兄様と同じ学年だったら、クラスも一緒になれたんですが」


そうなったらどんな女子も近づけないようにするだろ。そしてるなもと仲良くなることもなかっただろう。近づけないようにしてな。だから一学年下でよかったんだよ。


「いつも学校行くときは一緒なんだから、それで我慢してくれ」


「まぁ一緒に行けるだけよしとしますか。それじゃ私はこっちなので、それではまた」


そう言って優雅に奏はクラスに向かっていた。それじゃ俺も行くか。多分るなもは勉強してるだろうな。真面目だし。まぁここは進学校だから、テスト前は勉強してるやつが大半だが。そうじゃないとこの高校に受かることはあまりないからな。


俺はクラスに入ると、嫉妬の視線を受けるが、電車に乗る前に比べれば多くないのでそこまで気にならなかった。そして果林がいたので、挨拶をする。


「おはようございますわ。今日は遥斗の話題でいっぱいになりそうですわね。あの氷姫の奏の腕を抱いていたと」

 

「マジか面倒だな。話したこともないやつ根掘り葉掘り聞かれるんだろ。もう昼休みが終わったら、すぐに移動するわ」


この状況だと、奏もすぐに動いて、嘘を事実にするために、うちのクラスに来るだろうし。その前に移動しなくては勘違いをされる。だから俺すぐに動く。


「あ、遥斗くんおはよう」


るなもが挨拶をしてくれた誰よりも俺を先に。やべー嬉しすぎてにやけちゃいそうだわ。天使の微笑みを携えながら、余計にな。きっとここが教室じゃなかったら、にやけていただろう。そして奏がヤンデレになるまでがセットだ。


「おはようるなも。今日は智輝と一緒じゃないんだな」


「まぁいつも一緒だと他の人に恨まれるからね。友達と一緒に来ることもあるよ」


まぁ美少女の大群で、学校に来るから、めちゃくちゃ目立つし、それでもまた全員じゃないから、他の一緒に行けない女子から、恨まれる可能性はあるな。それで嫌がらせをされたら、俺が全力で守るが。一番は嫌がらせをされないように予防しておくことだ。それに一緒じゃなければるなもと一緒に話せる可能性も高まるから、俺からしてもいいことだ。るなもはモテるから、あっちから話しかけてこない限り、俺から話しかけることは難しいが。


「それもあるな。るなもは可愛いから、周りの女子から嫉妬されることもあるだろうしな」


「か、可愛い。照れちゃうなぁー」


そう言って両手を顔につけて目をつむり、頬を赤くした。照れ顔も可愛すぎる。これが天使ってやつか。誰にもるなもはやらん。例えイケメンだったとしてもな。













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