第12話

テラスモールをでて、俺達は駅に向かった。今日は中々楽しい日だったな。果林とは週一で出掛けているが、毎回楽しい。やっぱり幼馴染みっていうの気疲れがしないからな。本当の自分でいられるところが大きいだろう。これからはるなもと週一で出掛けたいな。


「今日も楽しかったですわ。やっぱり男の子の服を選ぶのは楽しいですわね。智輝はおしゃれすぎて私が選んでいいか迷ってしまいますの」


「まぁあいつのセンスは抜群だからな。何が苦手なのか分からないくらいな。まじで天は何物与えたんだよ。俺に少しでも分けてほしかった」


「少なくとも勉強と顔なら努力でどうにかできますわ。勉強は勉強すればどうにかなるし、顔は元々整っているので、前髪を切って、メガネをはずせばイケメンになれますわ」


前髪切るのはいいんだが、コンタクトは怖いんだよな。目になにかいれるって怖くないか?それにメガネの方が楽だし。るなもに言われたら、コンタクトにするかもしれないが。それとそこまで整ってはいない。


「イケメンは無理だと思うが、せいぜい雰囲気イケメンになるのがやっとだろ。髪は切ろうかなと思っていたが」


そろそろ前髪が邪魔になってきたからな。だけど美容室だと、あのおしゃれな感じで入りにくいんだよ。何かリア充の巣窟な感じがしてな。まぁもしかしたら偏見かもしれないが。


「それなら私の通っている美容室を紹介しますわ。あそこならそこまでリア充がいそうな雰囲気は醸し出していないので、大丈夫だと思うわ」


俺の懸念点まで予測してたのか。さすが幼馴染みだな。俺の思考を読んでくる。怖いな。まぁ別に変態的な思考は読まれてないはず。読まれてないよね?急に不安になってきた。


「そうか、それならデートの前にそこで切るか」


リア充の雰囲気がでてないなら、特に避ける理由はないからな。むしろ美容院には行きたかったまである。美人に切ってもらいたいという願望があるからな。るなもが好きとはいえ、やはり美人にきってもらいたいのは男の共通的なものだろ。


「それがいいですの。駅に着いたみたいですわ」


「そうだな、今日は色々ありがとな」


「もしそう思っているなら、私と智輝くんが付き合えるようにしっかりサポートしてもらえると嬉しいですわ」


「そうだな全力でサポートしさせてもらう。これからもよろしくな」


それから最寄駅に着いて、俺達はバスに乗って、家に着いた。


「それじゃまた明日な」


俺はそう言うと、家に入った。これからも互いに強力なライバルに勝たなければいけない。だけど果林は一緒にいた俺が魅力的だと、断言できる。一番一緒にいた俺が言うんだから、間違いないだろう。


俺が帰ってきたことが分かると、奏が目のハイライトを消しながら、近づいてきた。やっぱりヤンデレ化してるか。智輝とラインで口裏は合わせたし、ここは俺の演技次第だな。


「お兄様どこに行ってたんですか?まさかあの女狐と一緒ってことはないですよね?あんな上品な振りをしている女なんかについていかないですよね?もし出掛けているなら、それは騙されているんです。あの女の本性はもっとひどいものですから」


「決めつけがひどいぞ。それに俺なんかに構ってくれるいい女子だと思うがな。後遅くなったのは智輝と遊びに行っていたからだ」


「嘘ですね。あの女の匂いがします」


無表情でそう言った。奏は犬かなにかかよ。くっついていないのに匂いなんて、普通分からないだろ。


「あの女の匂いは特徴的ですから、覚えているんですよ。それで何で嘘をついたんですか?そんなにやましいことがあるんですか?」


「いや服を選らんてもらってただけだ。やましいことなどなにもない」


嘘はついてないからな。実際にデートで使う服を選らんでもらってただけだし。まぁ奏からしたら、それだけでもデートなんだろうがな。それでどうするかね。誤魔化せないことが分かったから、どうやって怒りを沈めるか考えなきゃな。


「それを世間ではデートっていうですよ。何であの女ばっかし優遇されているんですか。私も兄妹でなければ」


「兄妹じゃなきゃそもそも俺と奏は出会わなかっただろ。だから俺達はこの出会いが正解だったんだよ。俺は奏が妹で人生で二番目によかったぞ」


「一番が気になりますが、まぁどうせあの女のことなので、それでいいです。だけど私はお兄様の一番を目指してることに変わりはないですからね」


一番はるなもと友達になれたことだがな。これほど幸せなことはないだろう。果林と同じ高校に無理だと言われても、頑張って勉強をして入った甲斐はあった。まぁ入ってから、数学は早々に諦めたが。


「どう思うが、それは奏の自由だからなするなたは言わない。だが叶う可能性は低いとは言っておくぞ」


「ええ、分かってます。それでも無茶なことに挑戦するのが、家の流儀です」


うちの両親は無茶だと言われたことをやり、会社を経営してそれなり上手くいっているから、挑戦しろといつも口酸っぱく言われている。それが俺の高校受験で無茶をしても、両親は合いそうなな塾を探し、入れてくれた。だからその流儀は間違っていないとは思っている。俺は靴を脱ぎ、家に入った。

















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