第11話

ユニゾンエアーをしながら待っていると、呼び出しベルが鳴った。幼馴染みといると、自分の好きなことを気にしないで、できるからいいよな。これが他の人だと、何とかして話さなきゃと思っちゃうし。会話が続かないと、気まずくなるしな。まぁそんなに話せる人は多くないが。


俺達はどっちも鳴ったので、つけ麺を取りに行く。そしてそれを受けとると、さすが全部乗せという感じのボリュームで来た。俺達は席に座った。

 

「すごい多いですの。まぁこのくらい多いほうが食べ応えはありますわ」


まぁ果林は大食いだしな。何なら俺より食べるし。このくらいなら、余裕だろう。智輝の前ではそんなに食べてないが。女子なら大食いよりも品があった方がいいですのと言っていた。まぁ智輝なら気にしないと思うがな。周りに女子かいなくてもどこから噂になるか分からないから、そんなに食べてないらしい。俺の前では幼馴染みだから、普通に多く食べるがな。


「それじゃいただきます」


「いただきます」


麺をスープに浸けて食べると、魚介の味が口一杯に広がり美味しい。俺の好きな濃いめの魚介スープだ。麺もこしがあって美味しい。さすが冨田系列なだけはある。果林も笑顔になりながら、食べている。どうやら、舌に合ったようだ。冨田を知っているってことは、食べたことはあるからだろう。


やがて麺を集中して啜り、食べ終わると、果林は満足げな顔をしていた。


「美味しかったですの。やはり遥斗の選ぶラーメンは外れがないですわ。さすが週3でラーメンを食べてるだけはありますの。その人に合いそうな味をピックアップできる知識がすごいですわ」


「まぁかなり食べているし、果林の好みは長いこと一緒にいるから、分かるしな。後それができるのは妹くらいだな」


それだけ色々知ってないと、好みを把握するのは難しいのだ。まぁるなものはデート行く前に聞いておいて把握し、デートのときにそこに行けばいいか。


「るなもの好みを把握できるといいですの。好きな料理を知って、それをデートに組み込めば好感度は上がりますわ」


「そうか、やっぱりデート前にそれとなく聞くのがいいか。綺麗な夜景が見えるところも調べておくか」


告白はまだだが、綺麗な夜景が見えるところはポイントが高いだろう。それだけ女子っていうのはロマンチックなところを好む。まぁ綺麗な夜景の見える店で、食べることは無理だが。だがいづれはそれをできるようにしたいから、投資で稼ぐつもりだ。


「そうですわね。好きなものなら、こんなことも覚えてくれたんだ!と嬉しくなるものですわ」


地味に物まね似てるな。親戚に物まね芸人がいるだけはある。それは置いといて、どうやってそれとなく聞こうか。こいうのは相手に気づかれず聞くのがポイントだ。気づかれたら、意識していることがばれる。それがばれると好きなことが知られて、振られる可能性が高まるのだ。


「そうか、るなもに感づかれることなく、聞いておくわ」


「そうですわね。それじゃ食器を片付けますの」


俺達は食器を指定の場所に置き、この後は帰るだけになった。やっぱり果林といると気が楽に感じるな。幼馴染みはやはり特別ってことだろう。主人公と違って、別に好意を向けられていないが。それでも普通の俺とこうして、出掛けてくれるだけでもありがたい。こうやって恋愛にも協力してくれるんだから。


「ありがとな、色々選んでもらって」


「いいんですのよ。遥斗が選ばれれば、倍率下がるから、私のためにもなるんですのよ」


だが俺は知っている。本当に俺に果林は幸せになってほしいっと思っていることを。そのくらいなら、幼馴染みである俺には分かる。だからその報いに答えて見せる。それが果林のためでもあるしな。勿論一番は俺がるなもと付き合いたいからだが。


「そうだな、それじゃ帰るか」


「それで今さらなんですけど、奏には食べてくるって言ったんですの?」


「やべー忘れてた。これヤンデレになるよな。間違いなくめんどくさいことになる」


「はぁー私の名前を出すともっとめんどくさくなりますわよ。どうするんですの?」   


「まぁ適当に誤魔化すわ。智輝と口裏を合わせておくか」


るなもとのデートで使うやつだから、そっちの方に気が向いてた。ヤンデレが発動したら、とりあえず大切だってことを伝えるか。まだるなもが好きなことがばれてないから、そのために服を選んだことは分からないだろう。


「あまり智輝に迷惑をかけないでくださいですの」


「それは分かっているよ。そんなことしたら、果林が怒るからな。るなもの好感度も下がりかねないし」


るなもの好感度が下がるのだけは防がなくてはならない。るなもに嫌われたら、生きていけない。それくらいるなものことは好きなんだ。誰にも渡したくないくらい。だから、奏には果林が好きで、るなもの存在を知らしてないんだから。


「それならいいですの。でもあのヤンデレをどうにかしないといづれ、るなもともぶつかることになりかねないですわ」


「その時はその時だ。その時は真っ正面からぶつかる。俺がどんだけるなもが好きかを伝えて、納得してもらう」


真摯に話せばきっと分かってくれるはずだ。奏も本当に好きなやつがいればきっと引いてくれるはずだ。












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