第6話

教室に入って、着替え終わると一斉に女子は智輝を慰めにいった。智輝はやはり苦笑をしてるじゃないか。いやーモテる男は大変だねぇー。一斉にしゃべりかけられるなんて、砕け散れ。俺はイケメンはやはり敵だと認識した。おっと危ない思わず闇落ちするところだった。とりあえず今はるなもにカッコよかったよと言われるのを待とう。だが思ったよりその時間は早く来た。


「遥斗くん!」


この声はるなもという天使が降臨したか!俺は後ろを振り向くと、るなもが手を振りながら、やってくる。可愛い笑顔を向けながら、思わず拝みたくなってきてしまったぜ。


「どうしたるなも?」


なにも知らないかのようなキメ顔で言った。内心は分かっているから、気を抜いたら、にやけちゃいそうだが。ここでにやけたら、キモいだけだから、我慢する。


「すごいね、あのなんでもできる智輝くんを三振に取るなんて、ソフトボールのピッチャーは始めてやったんでしょ」


「そうだな、確かに苦労したが、一週間前に練習したからな。何とかなったわ」


本当は高校入学するときに、ソフトボールをやるって言っていたから、知ったときから、練習をしていたんだが。これは言わないでおく、全然練習してないのに、三振を取ったっていう方がカッコいいだろ?


「一週間であんな球投げれるんだ。私もソフトボールは中学時代やっていたけど、あんなボール投げれる人あんまりいないよ」


まぁだろうな。俺もプロの動画を研究しまくってあそこまでいったし。むしろほぼ経験がなくあのストレートを投げれる智輝がすごすぎるが。もしサッカー部に入ってなければ、俺は野球部にスカウトしただろう。バッターとしても、経験者感がでていたし。実際に打った打球も、素人のものではなかった。


「一応野球はやっていたから、コツを掴めば習得は早いんだよ」


ピッチャーとしてのメンタルとか、配球を考えたりするのとかな。癖を読んだり、まぁ結構ソフトボールでも役立つものはある。素人ならそれは躊躇に現れる。智輝はあんまりなかったがな。まぁあいつは別格なだけだ。


「そうなんだね」


「それより、るなもは智輝の方に行かなくていいのか?」


個人的には行ってほしくないが、好きなのに行かないのは気になった。果林なら、あの群衆に入っている。周りのやつとは違って、慰めるっていうより讃えるよう見える。


「あの群衆の中に入る気はないよ」


かなり人が群がっているからな。男達は嫉妬の目で、智輝を見てるが、なにもできないから、黙っているだけだ。まぁあの群衆に入ってアピールしようとは思わないよな。排除されて終わりなだけだし。


「まぁあれは智輝も大変そうだよな」


そもそも真剣勝負してるんだから、慰めとか必要ないだろ。どんだけ智輝に好かれようとしてるんだか。サッカーでもゴールを決められなかったら、あんな感じにマネジャーが慰めるのかね。他の部員からしたら、何であいつだけってなるよな。


「まぁでも智輝くんの横にいたら、慣れるもんだよ」


まぁいっつも女子が群がっているからな。そういえば今は二人きり、デートに誘うなら今しかない。これはそんなにないチャンスだ。ここを物にできれば、付き合えるのに近づける。


「るなも、俺と一緒に秋葉に行かないか?」


「秋葉ね、私あそこ行きたいと思ってたんだ」 


まぁ行きたくても、女子一人で行くと、ナンパされる可能性があるからな。行きたいが、行けないだろう。行きたかったら、ちょうどよかった。俺のおすすめの店にでも連れていこう。


「それじゃ今週の土曜日に勉強も秋葉でして、適当に回るか」 


一応テスト週間だからな、勉強もしておいた方がいい。まぁ俺は一般入試で受けるから、そこまで力を入れて、勉強はしないが。フランス語だけ力を入れて、勉強すれば問題ないだろう。フランス語さえできれば、後の入試の勉強は楽だしな。


「そうだね、テストもあるしね」


「るなもはハーフだから、英語は得意なんだよな?」


「それなりにはできるよ。テストより会話の方が得意だけど」


それで学年トップて、会話ペラペラレベルだよな。英語と数学できるやつはマジで尊敬できる。あれ暗号にしか見えないからな。俺もフランス語なら、そこそこしゃべれるが、それでもそこそこの域はでない。まだ伸び代はありそうだがな。


「すごいな、さすが学園の才色兼備」


そんなんでもないよ。数学はそんなに得意じゃないし、英語に関しては家でしゃべるからだしね」


苦手と言っておきながら、70点以上取っていることを俺は知っている。苦手のレベルが高すぎなんだよな。俺なんて数学は赤点だぞ。中学まではそこそこできたほうだったんだが。


「それでも帰国子女に勝つんだから、充分だろ。あいつらるなもに負けないと毎回意気込んで、猛勉強してるらしいが結局るなもが勝ってるんだから、充分すごいことだぞ」


「そんな風に誉められるのは新鮮だよ。みんな当たり前だと思っているからね。だから嬉しいよ」


これで好感度上がってくれたらいいんだが、そんな簡単にいかないか。休み時間が終わり、そした6限目も終わり、俺も帰る支度をする。ちょうど果林も戦果を上げたような顔をしていて、俺を待っていた。

















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