美少女の幼馴染みがいるけど、互いに好きじゃないので相手の恋を応援します

第5話

俺はもちろんソフトボールは経験してないが、現役野球部ってことでピッチャーになった。と智輝の方のチームは恐らく智輝がピッチャーだろう。そんくらい運動神経がいいからな。それに女子達もそれを望んでるから、暗黙の了解ってやつだろう。

俺達は後攻になった。るなもが見てる間にカッコいいところを見せてやる。体育の先生が審判となり、試合が始まる。

一番から、智輝がでてきた。一番打席を回すと言った作戦だろう。それは理にかなっているが、俺の前では無意味だ。俺は一球目スライダーを投げた。すると智輝がビックリしたような顔をした。

｢ストライク｣

俺はこのときのために変化球を練習してきたからな。そう簡単に打たれんよ。

｢ナイスボール｣

キャッチャーは俺にボールを返した。ちなみにキャッチャーは野球部でないが、経験者だ。じゃないと俺変化球は捕れないからな。

俺は次も同じボールを投げる。すると目が慣れたのか、三塁線ギリギリに打ってきた。あれファールじゃなきゃ抜けていたな。

｢同じボールじゃ俺を抑えることは無理だよ｣

｢みたいだな。なら俺の出せる全力を出してやるよ｣

俺はストレートを思いっきり投げた。ずばんと早いボールがいく。それを智輝は見逃した。すると先生はボールと判断した。これで決まれば楽だったんだがなと思った。女子達はその判定を聞いて、歓声を上げた。さすが智輝とでも思っているんだろう。俺なんか、智輝を引き立てる脇役くらいにしか思ってないんだろう。まぁるなもの気さえ引ければ他の女子はどうでもいいんだが。べ、別にモテたいとか思ってないんだからね。俺のツンデレとか誰得だよ。

俺は何を投げるか悩んだ。一球で仕留めなければいづれ対応されかねない。俺もソフトボールに関しては、野球をやってるとはいえ、素人だ。そこまで変化球もキレがあるわけではない。だがさっきのストレートはそこそこ球速がでていた。それならチェンジアップを投げればタイミングを外せるんじゃないだろうか。

俺はその考えに納得をして、鷲掴みして、チェンジアップを投げた。すると早いボールが来ると智輝は思ったのか、体制を崩して、空振りをした。

｢よっしゃー！｣

すると女子の方からは、ブーイングが起きる。空気を読めない男みたいな感じで。まぁ女子達は智輝のカッコいいところが見たかったんだろうな。だが他の女子など気にしない。るなもにさえ高評価してくれればそれでいい。

それからの二人を打ち取り、三者凡退で切り抜けた。俺は四番だから、バックネット裏から、智輝のボールをよく見てから、対戦することができる。だから癖などボールのキレなどをバックネット裏から、観察した。

素人とは思えないほどの伸びたボールを投げてくるな。だが変化球は素人だからか、そこまで多くないし、キレもない。見た感じ出し惜しみをしてるわけでもなさそうだ。

だがストレートで押されて、三者凡退で終わった。智輝は俺のことを見ると、この球打てるかみたいな顔をした。ストレートに関しては一打席だけで、見切るのは難しいだろう。だが変化球なら、打てる。ストレートはカットして、変化球に絞ろう。

それから次の打者を見て、野球経験者だったが、抑えて、三者凡退で終わった。これなら投手戦になりそうだな。次は俺の打席だ。何がなんでも打って、るなもにカッコいいところを見せてやるよ。他の女子なんて群衆にしか過ぎない。

俺が打席に立つと、智輝が、ニヤッと笑った。俺と対戦できることが嬉しいんだろうな。俺もニヤッと返す。まぁまずはストレートで来るだろうから、とりあえず一球は見逃すか。すると予想通り伸びのあるストレートが来た。これを打つの骨がおれそうだな。やっぱり変化球を狙っていくか。

すると次もストレートが来たので、打てると思わせるように、でかいファールボールを打った。

素人ならこれで打てるんだと勘違いをするだろ。甲子園にでるようなチームの経験豊富なピッチャーでもない限り、このはったりはよく効く。

智輝は打球を目で追い、渋い表情をする。どうやら効いているようだ。このまんま変化球を投げくれるなら、助かるんだが。すると智輝はスライダーを投げてきた。俺は待ってましたと、ニヤッとして、そのボールを飛ばした。すると左中間に飛んでいき、ボールは延々と転がりそのまんまランニングホームランになった。

智輝は打たれた瞬間狙っていたのかという顔をした。やはりスポーツで一流な分やられた後はすぐにそれに気づくんだな。じゃし立ちはそれを見てブーイングを言ってるが。そんなの織り込み済みだ。俺はそれら聞き流す。

そしてそれからはストレート中心で他の打者は抑えられ、結局時間的に三回で試合は終了して、二回目の打席はどちらも回ってくることはなかった。そして俺達は健闘を称えあった。

｢まさかはったりをかましてくるんなんて、体育でやってくるとは思わなかったよ｣

｢こんくらいやんなきゃ打てるとは思ってなかったからな｣

俺の本職バッターではなくピッチャーだしな。打つのはピッチャーにしては打つが、基本呼び込んで、打ってることが多いから、技術はそこまでない。心理戦が得意ってだけだ。

俺達はそれから道具を返して、一緒に教室に向かった。