第4話
「それで智輝どうしたんだよ。いきなり近づいてきて」
「どこに出掛けるにも、何をするのか聞きたくてね。スポーツなら着替えが必要かと思って」
俺と智輝が出掛けるときはどちらも運動部なこともあってスポーツをしに行くことが多いから、そう聞いてきたんだろう。果林も運動は得意だしな。まぁあいつはそもそも苦手なものがないんだが。強いて言えば怖い系の物が苦手だが。だからうちに怖いものを見た後にはよくくる。あいつ幽霊は見えるくせに苦手なんだよな。俺も幽霊は見えるが、本家が陰陽師の家系だからな。関係ない話をしたな。
「スポーツはしないぞ。今回はウィンドショッピングだ」
多分果林のことだから、東京にでるだろう。あいつモデルだから、東京は庭みたいなものだしな。しかも売れっ子モデルだから、ブランド物を普通に買う。
「それならおしゃれをした方がいいね」
智輝がおしゃれをしたら、周りの女子が騒ぎ始めるんだよな。非常にめんどくさいことになるが、果林とデートをするなら、それくらいしてもらいたい。まぁかなり目立つがな。俺だったらそんなことは遠慮したいが、まぁ智輝なら慣れてるし、問題はないんだろう。
「そうだな、果林もおしゃれしてくるだろうし。俺も一応妹に選んでもらった服で行くわ」
果林は好きな人と出掛けられるから、相当気合いをいれてくるだろうな。モデルの本気がどの程度の物なのか見てみたいものだ。一応智輝の好みの服装を教えておくか。その服装で来れば、きっと気は引けるはずだ。それだけ男は服装に弱いからな。
「それがいいね、遥斗はださい服を着てくるケースがあるからね」
ださいとは失礼な、千葉県民として、I Love千葉ティシャツは素晴らしいだろうが。千葉愛が詰まっている最高の服装のはずだ。まぁセンスがないのは認めるが。よくお兄ちゃんださい、その服で隣を歩きたくないんだけどとよく言われるからな。遥に。奏には何着ても似合いますが、こっちの方がもっといいんじゃないですかと言われるな。それ結局俺の服ださいって言ってるよな。
「まぁセンスがないことは自覚している。そろそろ時間だし、行くか」
今日はソフトボールだから、俺の特技だ。俺が入っている部活は野球だし。そんな豪速球をなげるぴっちゃーはいないか投げるピッチャーはいないから、多少ピッチャーが近かろうが、問題ないだろう。
「そうだね、今日多分俺と遥斗は別のチームになると思うから、楽しみにしておくよ」
クラスで野球部は俺だけだからな。ここらで智輝から三振を取って、るなもにアピールするか。他の美少女達からは空気を読めとブーイングを浴びそうだが。
俺達は教室をでると、グラウンドに向かった。女子達はテニスコートでテニスをするみたいだ。何人かのまだ試合をしてない女子は智輝がでてきた瞬間、歓声を上げる。恐らくソフトボールで活躍することを確信したんだろう。バスケではぼこぼこにやられたからな。ソフトボールはこっちの十八番負けるわけにはいかない。
「相変わらずすごい人気だな。イケメン憎し」
「くそなんであいつはあんなにイケメンなんだ」
クラスメイトは血涙を流して、悔しがっている。まぁ気持ちは分からんでもない。その鬱憤をソフトボールで発散しようぜ。俺が智輝を抑えて見せるからな。
俺は智輝とキャッチボールをしていた。やっぱり硬球と違って、そんなに固さを感じないな。だがボールがでかい分、鷲掴みじゃないと持てない。俺の投げ方だと変化がしやすい。ナチュラルストレートみたいな感じだ。いわゆる真っスラってやつだな。
「ちょっと変化してるね。これが癖球ってやつかな。なかなか打ちづらそうだ。さすがピッチャーってことか」
「いや俺は硬球じゃ癖球はないぞ。手元で少し変化する球は投げるが。つうかよく取れるな。変化球を初見で、知ろうとは普通捕れないぞ」
それだけ変化球を捕ることは難しいのだ。それだけ運動神経がいいってことだろう。バッティングセンター行ったときもすぐに球に慣れて、打っていたし。草野球チームがスカウトするくらいな。まぁサッカー部あったから、断っていたが。
「キャッチボールは怜奈とやっていたからね。そのときに魔球と言って、変化球を投げてきたりしてたから、捕れるんだよ」
そういば四条は野球やっていたんだっけ。四条は智輝の幼馴染みだ。俺はあんまり関わる機会はないから、どんな性格をしてるかは分からないが。まぁ別にるなも以外興味はないから、どんな性格だろうと、果林の邪魔しなきゃ問題ない。
「そうか、幼馴染みとそれをできるのはなかなかだな。さすがイケメン」
「まぁそれなりにモテるけど、遥斗だってメガネとって、前髪掻き分ければイケメンになると思うよ」
そんなんでなっていたら、俺は今ごろそうしてたわ。だがおしゃれになっても変わらなかったから、なにもしてないんだよ。メガネをはずさないのは、コンタクトを目にいれるのが怖いからだ。何か異物を入れるようで、怖いんだよな。
それからキャッチボールを終えて、俺達はじゃんけんをして、メンバーを決めていった。そして試合が始まる。あ、るなもがこっち見てる、これは気合いをいれてやんなきゃな。
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