028 それからも、これからも、おっぱいに挟まれる賢者なスローライフ

 あれからの話をしよう。

 俺はイリーナとついでにリニアとも結婚が決まり、さらに貴族になる事が内定していた。

 まあ王都の貴族どもはなんだかんだと文句つけて邪魔しようとしたらしいが、それは王様が一喝して黙れせてくれたらしい。


 それも俺の作る魔道具の性能が認められたからだった。


 例えば『魔力弾を撃ちだす杖』がある。

 この杖は誰が使っても効果を発揮するのだ。

 そう、魔法の修行とかしなくてもいいのだ。

 そりゃこんなのが普及したら魔法で身を立てている貴族からしたらたまったもんではないな⋯⋯。


 しかし、ある程度の調整をしてこの杖は量産される事になった。

 俺たちが住むこの辺境の魔の樹海付近は魔素の濃さが王都の数倍はある。

 それを吸収してこの杖は発動する仕組みにした。

 つまりここ以外の場所では役立たずのたんなる杖になるという事だ。


 もちろん作ろうと思えば魔力を充填して魔素の薄い地域でも使える杖を開発は可能だったが⋯⋯まあこの辺が落としどころだろう。


 まあそんな感じに俺が今後作っていく魔道具は王様やルドルフの監修で許可が下りた物のみ作っていく事になったんだが⋯⋯。

 ⋯⋯それでも多すぎるわ!

 杖だけでも100本以上!

 他にも有用な魔道具はいくらでもあるから毎日俺は工房で作業に没頭していた。


 こんな生活、今までスローライフを満喫していた俺に耐えられるはずもない⋯⋯しかし!


「イリ~ナ! 疲れたよ~!」

「はいジーク様♡ おっぱいですよ~♡」


 俺は体を傾けてイリーナの最高級おっぱいまくらに顔を埋めて癒される⋯⋯。


 ⋯⋯最高だな。


 俺の魔道具工房は完全な俺の個人経営である。

 その従業員は俺の嫁のイリーナとリニアしか居ない。

 つまりいつでも従業員にセクハラし放題というわけだ!


 ちなみに今リニアは裸エプロンで料理を作っている。

 どうやらリニアは俺という初恋と再会して乙女心に火が付いた⋯⋯らしい。

 信じられないがすごくしおらしい女になった、あのリニアが!

 ⋯⋯人前だと以前のように生意気に振る舞うけどな。


 それでイリーナから料理の仕方を教えてもらい頑張っているところだ。

 まあ最初は酷いもんだったが⋯⋯。

 最近はソコソコまともな料理になってきて一安心だ。


 しょ~じき俺の為に美少女が裸エプロンで作ってくれるのなら、ただのおにぎりでもごちそうなのだ!


「ジークさん! お昼ごはん出来ましたよ!」


 そう裸エプロンで料理を持ってきたリニアだった。


「そうか! じゃあ一緒に食べようか」


 こうして俺たちは一緒に食卓に着く。

 そしてその今回の料理を見たのだが⋯⋯。


「オムライスか? 多少崩れているが⋯⋯」


 まあ多少である、食ってしまえば一緒だこんなもの。


「ごめんなさい⋯⋯。 まだイリーナさんほど上手く作れなくて⋯⋯」

「いやリニアは頑張っているよ!」


 そう俺はフォローするのだった。


「それではジーク様のオムライスにケチャップをかけさせていただきますね♡」


 そうイリーナがケチャップをかけてくれた。


 にゃ~ん?

 今日のアートは猫のようだった⋯⋯たぶん。


 イリーナは絵がクッソ下手くそだった。

 正直なところイリーナが料理してリニアが絵を描けば完璧なんだが⋯⋯まあいいか、これも愛嬌だ。


「それではジーク様。 最後におまじないしますね。 ⋯⋯ほら、リニアもいっしょに」

「これ毎回やるんですか~」


 ほんといつまでやるんだろうな、この儀式は⋯⋯。


「「それでは! おいしくな~れ! おいしくな~れ! きゅんきゅん♡」」


 そう言いながらイリーナもリニアもおっぱいを揺らしながら謎モーションからのおまじないを終えた。


「⋯⋯それじゃ頂きます」


 すでに胸焼けしそうなくらい胸がいっぱいおっぱいであるが──。


「──美味い!」


 てーれってれー!


 形が崩れていようが絵がへたっぴだろうがそんな事はどうでもいい。

 この俺を愛するおっぱい美少女が居るだけで毎日の食事が美味くてたまらないのだ。


 まあ仕事は大変になったがそれでも十分勝ち組の人生だろう!

 この生活に不満があればバチが当たるわ!

 まあそんなこんなで楽しい日々はあっという間に過ぎて行った。




 ⋯⋯それから1年ほど経った。




 俺は正式に爵位をもらい晴れて貴族の仲間入りした。

 とはいえ他の貴族と関わることの少ない辺境の隅っこが俺の領地だけどな。

 まあそれはそれで気楽でいい。

 面倒ごとは全部ルドルフに任せているし、気楽に俺は魔の樹海の開拓に集中できている。


 まあその進捗は微々たるもんだけどな⋯⋯。

 魔の樹海のモンスターがそれだけ強いのが原因なのだが、それに対抗する手段も俺は用意している。


 俺の作った魔法ロッドとかを配備した傭兵団を作ってまあなんとかやっている。

 そんな傭兵団には生傷が絶えないんだがリニアが治療にあたっている。

 団員たちからまるで女神のように崇められるリニアを見て去年までコイツがニートの無駄飯食らいだったと誰が思うだろうか?


 領地経営に関してはイリーナにほとんど丸投げである。

 彼女はそういった教育を徹底的に王宮で叩き込まれているスペシャリストだから頼りになる。


 ちなみに傭兵団の隊長は元俺の教え子だったロザリアが就任した。

 結局あの後、彼女は王宮の騎士団を辞めたらしい。

 クビではなく辞任だったらしいが⋯⋯まあファイリーナ姫を死なせた事になっているから肩身が狭かったんだろう。

 そして実家からも勘当となり行く当てもなく俺の所にやって来たというわけだ。

 俺よりもイリーナが率先してロザリアを雇うという話になりその後、彼女に傭兵団を纏めてもらう事になった。


 まあこんなところが俺の今の生活だった。


 ところでルドルフとミルさんの事だが⋯⋯。

 あの後、半年ほどの交際期間を経て結婚が決まったらしい。

 リニアがやや複雑そうだったが⋯⋯。


「⋯⋯まあ父さんが死んで3年も経ったし、いいんじゃない?」


 との事だった。

 そんなミルさんからは俺に、


「ジーク君が次のギルドマスターになる気はない?」


 と打診を受けたが、さすがに辞退した。


 そもそも俺は貴族になったし民間組織のギルマスはできん。

 たとえ出来たとしてもそれだとイリーナとリニアのおっぱいに癒される時間が減るから嫌だった。


 そんなミルさんとルドルフの結婚は1年後くらいの予定だった。

 予定だったのだ。


 しかしその予定は早まり、すぐに結婚式を行う事になったのである。

 その理由をルドルフは⋯⋯。


「ははは。 ミルナリアのお腹が大きくなる前に式を挙げたかったからね!」


 ⋯⋯まあそういう理由である。


 ⋯⋯ヤッたのか、ルドルフ──!?

 俺が我慢して我慢しているのに貴様は⋯⋯ミルさんとヤッたんだな!

 この裏切り者め!


「はえ~、この中に私の弟か妹が居るのか⋯⋯なんか複雑っすね⋯⋯」

「おめでとうございますミルナリア様」

「ありがとうリニアにイリーナさん」


 俺とルドルフが険悪に睨み合っているが、女性陣は和やかに談笑しているのが対照的だった。


「ああ⋯⋯私も早くジーク様との子供を♡」

「まあそれならそれでいっか。 私の子供に年下の叔父か叔母ができるよりは⋯⋯」


 イリーナは俺との子供を早く作りたくって仕方ないようだ。

 しかし結婚前の行為は駄目だというお姫様的倫理観で現在おあずけ中だった。


 ⋯⋯最初俺の所に来た時はあれだけ誘ってきていたのにな!


 もともとイリーナは家を捨てて俺に弟子入りしたのでいつでもバッチ来い!

 ⋯⋯だったのだが。

 王様から正式に結婚を認められお姫様としての自覚を取り戻し、結婚前にそういう事はしないと決めてしまったのだ。


 まあもっとも俺とイリーナとの関係だが⋯⋯子作り以外はだいたい全部ヤッたというのが真相であるのは秘密だ。


 そして嫁2号であるリニアはそんなイリーナに遠慮してこっちもキスしたりおっぱいを自由に揉んだりするくらいで留めている。

 そもそもリニアは自分が子供を作るのは多少後が良いと思っていたらしい。

 自分が母になるのはなんか怖いとかで。

 まあ子育てに自信が無いんだろうなきっと。


 まあどっちともいずれは子供を作るだろうな俺も。

 だってふたりとも俺にゾッコンのラブラブ関係だし!


 早く子供を作るためにも結婚したいと思うのだが、俺たちの結婚式はもうちょっと先の事になりそうだった。

 こればっかりは気楽な平民と違う貴族のしがらみってやつだった。


 ⋯⋯うーん、やっぱ平民の方が良かったかもしれん。

 でも貴族の重婚も捨てがたいし⋯⋯。

 ままならんな人生ってやつは。




 そして1月後──。




 今日はルドルフとミルナリアさんとの結婚式だった。

 空は晴れ渡り雲ひとつ無い、いい天気だ。

 この街の教会でふたりは式を挙げることになった。


 俺の結婚式はたぶん王都ですることになるだろう、これも俺という新興貴族のお披露目の為だったりする。

 しかしルドルフのようなすでに大貴族の場合は、よその貴族を呼び寄せる対場という事だからこうして地元で結婚式を行うのだ。


 羨ましいな⋯⋯気楽で。


 俺の結婚式には普段めったに会わない俺の両親も王都まで呼ばないといけないし⋯⋯めんどくさい。

 俺の親は根っからの田舎者だからな⋯⋯。

 そんな自分の結婚式を考えながら俺はルドルフたちの結婚式を祝福したのだった。


「⋯⋯しかし誓いのキスってほんとに人前でするのか⋯⋯恥ずかしいな」

「そうですか? 私は『この人のものになったのですよ』と、周りに見せつけれて嬉しいと思いますが?」

「家の中ではしょっちゅう私たちにキスしてくるくせに⋯⋯」


 まあ誓いのキスだけでも俺たちの感覚はだいぶ違うが、それでもうまくやっていけそうだと俺は思っている。


 カラ──ン、カラ──ン。


 と⋯⋯祝福の鐘が鳴り、今日新たな夫婦が生まれた。

 俺は呑気にそれを眺めていたのだが⋯⋯。


「行きますよ、リニア!」

「ハイっす、イリーナさん!」


 ⋯⋯なんかふたりがあわただしい?


「どうした?」

「ブーケトスですよ!」

「私たちがゲットしないと!」


「お前たちに要るのか? もう俺との結婚は決まっているのに?」


「「要るんです!」」


「おう⋯⋯」


 わからんな⋯⋯。

 もう俺との結婚が決まっているのに他の女どもを押しのけてまでこのブーケトスにかけるふたりの執念が⋯⋯。

 まあそれだけ俺が愛されていると思っておこう、それがたぶん一番いいのだ。


 そして俺とイリーナとリニアがベストポジションを確保した時にミルさんからのブーケが──。

 ──投げられた!


 まあミルさんも俺たちに気をつかってくれたんだろう。

 そのブーケは俺たちの方へと飛んできたのだから。


 しかし俺たち以外にも周りに女はいっぱい居た。

 その女性たちにもチャンスはあると言わんばかりにそのブーケに飛びつく!


 だが誰よりも高く! 早く! そのブーケに飛び上がってキャッチに向かったのは──。


 イリーナとリニアだった。

 ⋯⋯てかお前らで争うなよな!


「このブーケは私の物です!」

「イリーナさんにもコレは譲れないっす!」


 ブーケはほぼ俺の真上に来た。

 男の俺が取るわけにはいかないし⋯⋯。


 そんな事を考えてボ~としていたら左右からイリーナとリニアに挟まれてしまった!?

 しかもふたりは胸の開いたドレス姿なのに大ジャンプで空中でブーケを奪い合う大接近中である。

 だからこれは当然の出来事だった⋯⋯。


 むにゅ!

 むにゅ!


 俺の顔が! 頭が! 左右からイリーナのおっぱいとリニアのおっぱいに挟まれる!

 そのふたりのおっぱいの弾力は、宙を飛ぶふたりをはじき飛ばそうとする──!

 おっぱいに弾かれてイリーナとリニアの体勢が崩れた!


 マズイ! このままだとふたりが!

 俺はとっさにふたりの腰あたりを掴んで抱き寄せる!

 当然ふたりのおっぱいはさらに強く俺に密着した!


 結局バランスを崩したふたりと俺はそのまま倒れてしまったが、どうやら誰も怪我などしなかったらしい。

 俺は⋯⋯うん、柔らかいモノに包まれて幸せいっぱいおっぱいだった。


 ところでイリーナとリニアが取りそこなったブーケはというと──。


 ぽ~ん⋯⋯と、弾かれて少し遠くにいたロザリアの胸の谷間にスポっと収まっていた!?

 なんというロザリアのおっぱい吸引力⋯⋯!?


「見てはいけませんジーク様!」

「そうっす! ジークさんはこれからも私たちのおっぱいだけ見ているといいのです!」


 いや、すまない。

 でもそこにおっぱいがあればつい見てしまうのは悲しき男の習性なんだ。


 ⋯⋯でも。


「俺にはこのイリーナとリニアのおっぱいだけで十分さ!」


 それが俺の出した結論である。

 ⋯⋯そう思っていたんだけどな。




 半年後の俺の結婚式では、イリーナとリニアと⋯⋯そしてあのロザリアとも結婚することになってしまったのだ。

 どうしてそうなったのか俺にもよくわからん。


 でも⋯⋯。


 イリーナのお姫様おっぱいと。

 リニアのナマイキおっぱいと。

 ロザリアの元教え子の背徳おっぱい。


 たくさんのおっぱいに囲まれた俺の人生はこれからも──。


 あたたかで、やわらかい。

 そんな温もりに満ちたものになるのだろう。

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