015 教え子たちの成長! いざ冒険者デビュー!
イリーナがやってきて3か月、リニアがやってきて2か月が経った。
ずっと1人のスローライフだった俺の生活は大きく様変わりしたが、今となっては充実したものになったと言える。
それは2人の美少女のハダカを見放題という役得としか言えない生活のおかげだ!
もちろんちゃんとした魔法の授業なんだが、こんなエロい授業は王都の魔法学校ではお目にかかれまい!
いやホントにちゃんとしたエキスパートな修行だったんだよ。
その成果がちゃんと出ていた!
イリーナは主に土火水風を操る
少し生意気だったリニアも今ではすっかり従順になって、なんと光属性のスペシャリストになりつつある!
イリーナの
リニアのあの性格で巫女とか聖女とか無理があるだろ?
でもけっこうおとなしくなったよなリニアも。
「ジーク師匠。 今朝のお祈りは終わりましたわ」
「ああ、イリーナの朝食の支度を手伝ってやってくれ」
「はい。 お任せくださいませ師匠」
⋯⋯誰だ、お前は?
どうもリニアは壊れてしまったようだ。
ハダカで修行くらいすぐに慣れると思っていたのだったが⋯⋯読みが甘かった。
イリーナが成功したので俺もいい気になっていたようだ。
ハダカで外で過ごす精神負荷、俺という男に全てをさらけ出す羞恥心、そして囁き続ける精霊の声。
そういったもの全てがリニアの精神をすり減らせてしまったようだった。
今では完全に元の人格が壊れた人形のようになってしまった。
マジどうしよう⋯⋯ミルさんになんて言えばいいんだ?
てか普通でいられたイリーナが特別だったんだと今更になって気がつく俺だった。
これが俺への愛の力があるイリーナと無かったリニアの差なのだろう。
この教育方法はもう封印した方がいいな⋯⋯。
けっきょく魔法学校の普通の教育が正しいという結論を、俺はリニアという尊い犠牲で知ったのだった。
とはいえリニアは人格崩壊以外は良い育成結果だったと言える。
となると次のステップなんだが⋯⋯。
「そろそろイリーナとリニアには冒険者になってもらうか」
「もう卒業なんですか私は!?」
「ああ、イリーナはもう立派にやっていける中級くらいの魔術師さ」
「たとえそうでも私はここに、ジーク様の傍に居たいです!」
「もちろん構わないさ。 というか俺もイリーナが居なくなって欲しくはない。 冒険者登録はあくまでもステップアップの目標だよ」
「ステップアップ?」
「べつにイリーナはお金に困っているわけじゃないから冒険者になる必要は本当は無い。 しかし実戦からしか学べない課題も見えてくるはずだ」
「なるほど⋯⋯」
「今後は冒険者としての仕事と俺の魔法修行を交互に行いながらイリーナに適したレッスンを模索していく予定だ」
そう俺が2人の今後の教育方針を語っていると⋯⋯。
「ふ⋯⋯ふふ。 じゃあもうこのイカれた修行の日々はオサラバなんですね!」
あ⋯⋯リニアの目に光が戻った。
どうやら修業期間中だけ心を閉ざしてやり過ごす術を体得していたようだ。
「まあな。 でも基礎修行に終わりは無いぞ? 楽したいなら今後も続けた方がいい」
「ははは! 私はこのくらいの魔術師で十分っす! あんまり腕利きだと仕事に追われて全然楽な人生じゃないから!」
まあリニアは少しの間とはいえ受付嬢をしていたからな。
腕利きの魔術師をそんな風に見て来たんだろうな⋯⋯。
まああながち間違いではないのだが。
「とりあえず今後の目標は1年以内に2人ともCランク冒険者になる事だな」
Cランクというのは冒険者の中では一つの壁である。
長年中堅冒険者としてくすぶっているような者が多いのがこのCランクなのだ。
ここからBランクに上がれるのかが凡人と天才の境界と言っていい。
そこからはまあ経験の世界で歳を取るまで活動できる幸運があればだいたいAランクに上がって引退、というのが冒険者のサクセスストーリーというやつだ。
俺か? 俺のような30歳手前でSランクというのはガチの超天才なんだよなあ。
とはいえ俺も若い頃に魔法学校に入れる幸運が無ければ今頃はBランク止まりといったところだっただろうな。
「とりあえず今からギルドへ行くか」
こうして俺たち3人は街の冒険者ギルドへと向かうのだった。
なおもう2人の弟子は自分で魔女箒を乗りこなせるようになっているため、もう俺と二人乗りすることは無くなってしまったのだった。
⋯⋯あの背中に当たるおっぱいの感触よ⋯⋯サラバ!
でもイリーナにはお風呂で背中を生おっぱいで洗ってくれるようになったから、まあいいか!
そして冒険者ギルドに着いた俺たちだった。
「ただいまー! クソババア!」
「戻って来たのか! この穀潰しめ!」
ミルさんのパンチラが拝める神速の踵落としがリニアに炸裂した!
しかしそれをダブルアームクロスディフェンスで防いだリニアだった!?
「私の蹴りを防いだ⋯⋯だと!?」
「くくく⋯⋯もうアンタの時代は終わったんだよ、母さん」
しかしガシっとリニアを抱きしめるミルさん!
そしてそのままフロントスープレックスに入った!?
「オラァ!」
「はにゃ~~!?」
グシャ!
「調子に乗るからだぞ⋯⋯」
「あの方、お強いのですね⋯⋯」
そらそうだ、ミルさんの現役時代はそのフィジカルだけでAランク冒険者だったんだからな⋯⋯『エルフの格闘王ミルナリア』の名は俺の世代でも伝説として語り継がれているのだよ。
ちょっとくらい魔力を高めた程度のリニアが勝てるわけがない!
「ジーク君。 リニアの面倒を見てくれてありがとうね、まさかここまで強くなっているとは思わなかったわ」
「どうも⋯⋯。 でもリニアの本領は回復術師なんで」
「あらやっぱりそうなのね! 夫と一緒ね!」
ミルさんの亡くなった旦那さんはBランク相当の神官職だったらしいからな。
「一応魔力を鍛えて格闘の基本も叩き込みました、今後は実戦の中で格闘術なんかを磨かせてモンク僧あたりがリニアの天職かな? と思ってます」
「なるほど⋯⋯じゃあ今日は登録に来たのね?」
「ええ。 リニアともう一人⋯⋯」
「イリーナと申します。 ジーク様の一番弟子で⋯⋯恋人の♡」
「⋯⋯そっか、ジーク君の弟子って女の子だったんだ。 ⋯⋯ごめんなさいね、ウチのダメ娘がお邪魔して」
「いえ、そうでも無いですよ」
実際そうだった。
もっとイリーナとリニアは険悪な関係になるかと思っていたのだったが⋯⋯俺とイリーナが正式に恋人になったことが良かったらしい。
今では体育会系部活動の先輩後輩のような序列関係になって、それなりに仲良くやっている。
「では登録をしますね」
こうして2人の弟子はそれぞれ登録用紙に記入して冒険者の登録を終えた。
イリーナは魔法剣士として。
リニアはモンク僧としてだ。
イリーナは意外にも剣の心得が元からあったので、それを活かした魔法剣士に育てた。
一方リニアは⋯⋯いろいろ武器を試させたが適性が見つからず、むしろ素手の方が戦いやすいという結論に至ったのだ。
イリーナにはミスリル製のレイピアを持たせて、リニアにもミスリル製の手甲を装備させている。
どちらもこの街の一流の職人に作らせた俺からの卒業祝いだった。
「見てくださいジーク様! 私の冒険者カードです!」
「ああよかったな、イリーナ」
嬉しくもあり寂しくもある。
教え子が巣立つというのはこういう気持ちなのか。
「これからガンガン稼いで、いい男見つけて寿引退狙うぞー!」
リニアはまあいいや。
「じゃあミルさん、2人になにか依頼を見繕ってくれませんか?」
「うーん、そうねえ⋯⋯」
こうして弟子たちの冒険者生活が始まったのだった。
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