008 イリーナは寝相が悪くて困る

 俺は大金を稼いで服屋に戻った。

 時間がかかったし⋯⋯待たせているだろうか?

 そう思ったのだが⋯⋯。


「まだ、選び終わってないのか?」


 絶賛イリーナのファッションショー状態だった。


「ジーク様! 申し訳ありません、こんなに時間がかかって」

「申し訳ありませんお客様。 こちらのお嬢様は、ご洋服映えするので選び甲斐があったもので、普段着からフォーマルドレスまで一式選んでおりました」


「⋯⋯そうか」


 まあいいか、イリーナが美しく着飾るのならそれでいい。

 予想以上の収入もあったし予算の10倍でも構わんからな。


 しかし俺はその後⋯⋯3時間ほど待たされたのだった。

 女の買い物⋯⋯長い。




「お買い上げありがとうございました!」

「⋯⋯また来る」


 そうぐったり言い残す俺と、ニコニコ顔のイリーナは店を出た。


 その時見送りの女店員はイリーナに親指を立てて⋯⋯良い笑顔で見送る?

 それを見たイリーナは恥ずかしそうに俯いた。


 ⋯⋯? なんだ今のやり取りは?

 でも長い時間買い物につき合ったんだしイリーナと店員が仲良くなるのも当然か?


「いい服を選んだのか?」

「ええまあ⋯⋯今夜にもお見せいたしますわ」


 今夜? なぜ夜に? 寝間着なのかな?


 その後の俺たちは食料品や生活雑貨などを購入して帰宅するのだった。

 もちろん帰りもイリーナのおっぱいが背中に当たる感触を楽しませてもらった。


 こんどはノーパンではなくなったので、姿を見せたイリーナとの箒の2人乗りを見せつけてやるぜ!

 みんなに注目されて気分が良かったぜ!

 こんな美人のイリーナに人前で抱きつかれる優越感⋯⋯たまらんな。




 家に帰るとすぐにイリーナは着替える。

 ⋯⋯やっぱり俺の作った服はイマイチだったんだろう。


 そんなイリーナは今買ってきたエプロン姿で料理をしている。


「⋯⋯なぜ、裸エプロンなんだ!?」

「あら、これが作法だと習ったのですが⋯⋯もしかして間違っていますか?」


 そう上目遣いでイリーナは俺に迫る!?

 ⋯⋯どう答えるのが正解なのか?


 1 間違っていると答える。

 するとこの奇跡の裸エプロンはもう二度と見れないだろう。


 2 正しいと答える。

 いつかバレた時には信頼を失うだろうが⋯⋯それまではこの至福を味わえる。


 ⋯⋯どっちだ?


「⋯⋯イリーナ、俺の前以外ではするなよ」

「もちろんです! この姿でお料理するのはここで、ジーク様のための料理をする時だけですから!」


 ⋯⋯よし!

 これならイリーナの誤解が解けることはあるまい!

 これぞまさに最適解というやつだな。

 まったく自分の判断が怖くなる。


 ⋯⋯バレた時がもっと怖いけどな。


 正直なところ俺は、このイリーナがいつまでも俺の所に居るとは考えていない。

 ⋯⋯せいぜい1月も居れば十分だろう、という予想だ。

 適当に俺から魔法を習ったらすぐに出ていくだろうと俺は思っている。


 ⋯⋯ならその時までは少しでもイリーナのエロい姿を堪能したいという俺を誰も責められまい!

 こんな俺を責める資格があるのは出ていくときのイリーナだけだよ。


 こうして俺は今後のイリーナの魔法授業のプランを考える。


「イリーナ、答えられる範囲でいい」

「何でしょうかジーク様? 何でもお答えしますが?」


 料理をしながら俺に綺麗で大きなお尻を見せながらイリーナは答える。


「イリーナには何か強くならなければいけない理由があるのか?」


 イリーナのようなおそらく庶民とは思えない教育の行き届いたお嬢様が、こんな所の俺に弟子入りとか⋯⋯普通ではない。


 男と女⋯⋯こんな山奥で二人っきり!

 ナニがあっても文句は言えないのだ!

 つまりイリーナには俺に「ナニをされても構わないという覚悟がある!」という事にならない⋯⋯かな?


 もちろん俺はイリーナのエロい姿は見たい!

 ⋯⋯だが修行にかこつけて弱みに付け込むような非道な真似はしたくないのだ。


 イリーナに気づかれないように着替えや入浴を覗いたりは今後も行うが、それをイリーナに悟らせる気はない!

 バレなきゃなにも無かったのと同じだからな。


 でももしも⋯⋯イリーナが何かの理由でナニがあっても俺から戦闘技術を学ばなければいかん⋯⋯という理由があるのなら話が変わってくるのだ。


 俺が考えた最高の修行方法は⋯⋯ちょっとエッチなのだ。

 まあそんなわけで学校の教師時代は非難された訳なんだが⋯⋯。


「私が強くなる理由ですか? とくに無いですよ? でもまあ自衛くらいは出来た方がいいのは確かですね」


 この時俺は少し違和感を持った。

 イリーナは俺の弟子になるのが目的だったはず。

 でも今は特に強くなる理由が無いと言う。

 これは矛盾である、つまりなにか嘘があるのだ。


 イリーナが俺を騙そうとしている? そう考えたが⋯⋯。


 着替えや風呂を覗いたり、おっぱいを揉んだりパフパフまでした⋯⋯。

 たとえ騙されたとしても、もう十分元は取れているのではないだろうか?


 もしも仮にイリーナが俺の家財道具を全部盗んだとしても俺は賢者だ。

 この身ひとつでいくらでも稼いで出直せる。


 そんなつまらん事よりも⋯⋯このイリーナとの生活の方が重要だろう!

 俺は腹をくくってこのイリーナの教師をする事にした。


「いや、イリーナの教育方針なんだが⋯⋯普通と俺独自の理論⋯⋯どっちがいいかな⋯⋯と?」


 この時イリーナはピクッと反応した!


「ぜ⋯⋯是非! ジーク様のスペシャルコースでお願いします!」


「お、おう⋯⋯。 でもそっちは辛いぞ、絶対に嫌がると思うし」

「ジーク様の教えならこのイリーナ、どんな行為でも⋯⋯バッチ来い! ですわ!」


 ⋯⋯なんか興奮しているなイリーナ? まあ裸エプロンという恥辱のせいかもしれんが?


「なら明日からのレッスンはとりあえず俺独自のカリキュラムで行うが⋯⋯嫌なら普通にするし、出ていってもいいからな?」


「私がジーク様の元を出ていくなど、ありえませんわ!」

「⋯⋯そうか」


 一体何がここまでイリーナを掻き立てるのか俺にはわからん。

 でも一応言質は取ったし明日からはエロい授業をイリーナにするか。


 そう考えながら俺はイリーナの料理を食うのだった。

 この夕飯も最高だった。




 そして夜──!


「イ、イリーナ!? その姿は!!?」

「あらジーク様? なにかおかしいかしら?」


 イリーナの姿は下着姿だった!?

 しかも普通の下着ではない! なんかスケスケの⋯⋯チ・ク・ビ! までうっすら見えるようで見えないハレンチ下着である!


「どうしてそんな格好なんだ?」

「なぜって? 私が寝るときはこれが、フ・ツ・ウ・なのですわ」


 そうか普通なのか⋯⋯なら仕方ないな。

 そんなエロいふつうな姿のイリーナと同じベッドで添い寝する俺だった。


 幸せだったが怖い⋯⋯。

 もしも寝ているときのイリーナに触れてしまったら!


 ⋯⋯事故だよな? 事故に決まっている!

 誰も俺を責めはしないはずに違いない!


 こうして俺はベッドの中でカチコチに固まって眠るのだった。

 そう寝てしまえば何も考えないで済むからな!


 でもいつか堂々とイリーナのハダカを見れる男に俺はなりたい。

 そんな夢を俺は見ながら眠るのだった。




 ⋯⋯翌朝!

 俺は固まっていた⋯⋯。


 どうやらイリーナの寝相は悪いらしいな、ハハハ仕方ないコヤツめ!

 イリーナの寝間着代わりのスケスケ下着は何故かベッドの下に落ちていて⋯⋯全裸で寝ていたのだった。


 あー、わかるわー。

 俺も裸で寝る方が気持ちいい時あるし、イリーナもそういう開放感が無意識に発揮されたんだろう。

 そんな全裸の寝相悪いイリーナが俺を抱き枕にして、まだ寝ているのだ!


 う・ご・け・ん⋯⋯。


 でも生おっぱいの柔かい感触がああああ!!?

 無理やり引き離せばその時にイリーナは起きてしまうかもしれない。

 でもほっといてこのおっぱいを味わい続けても、いずれはイリーナは寝ざめてバレるだろう⋯⋯。


 この絶体絶命の危機! 俺は!


 ⋯⋯寝たフリを続けて、このおっぱいの感触を楽しみ続けるのだった。


 イリーナの方が先に起きれば、ワンチャン生き残りの道がある!

 そう俺は希望を賭けたのだった!


 なお今日のイリーナはやけに寝坊助さんで、なかなか起きようとはしなかったのである。

 俺の至福という生地獄は、太陽が完全にのぼるまで続くのだった。


 ははは! 困ったものである!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る