005 幕間『イリーナと禁断の魔導書』(イリーナ視点)
「あの! 私はイリーナと申します! その、街で噂で聞いて⋯⋯貴方の弟子にしてもらいたいのです!」
「帰れ! 迷惑だ! ここに居るのはただの隠居のおっさんなんだよ! 魔法の先生なんかじゃねえ!」
これが私とジーク様の
どうやらジーク様は私の事をまったく覚えていないらしい。
仕方ないか⋯⋯最後に会ったのはもう10年近く前の事なのだから⋯⋯。
私の本当の名前はファイリーナ・エルデヴァン、この国の王女です。
といってもほとんど王位継承権も無いに等しい末娘ですが⋯⋯。
そんな私がまだ6歳の時に馬車に乗っていると、盗賊に襲われました。
それを救ってくれたのがジーク様でした!
私にとってそれが初恋だったのです。
とりあえずジーク様の報酬はお姫さまとの結婚⋯⋯とはいかずに魔法学校への入学になりなした。
ただでさえ強いジーク様が魔法学校で学べばもっと強い最高の魔法使いになる!
そしていずれ私をお嫁さんにして貰う。
そう計画していたのですが⋯⋯。
どこで計画が狂ったのでしょうか?
ジーク様が卒業後、魔法学校の教職に就いたまではよかったのです。
でもわずか1年でクビになるなんて!
そしてその後、ジーク様は王都を出ていきました⋯⋯。
私はなんとかしてジーク様の行方を探りあてましたが、それは5年もの月日が流れてしまった後だったのです。
⋯⋯まあちょうどよかったのかもしれません。
その間に私は16歳になりましたし、これなら今すぐにでも結婚できますからね!
でもそんな私の計画はまた狂った。
それは私の結婚が決まったからです。
この国で手柄を立てた貴族、ゲイスコット伯爵に褒美として私との縁談を纏めたのです、あのクソ親父の国王は!
私は逃げ出すことも出来ずに馬車に乗せられ、そのゲイスコットの領地に行くことになりました。
しかし、途中の雨で地盤が緩み崖崩れが!
運よく私は無事でした。
そしてもっと幸運だったのは、このゲイスコット領こそがジーク様の故郷で今いる場所だったのです!
これは運命です!
私は即座に逃げました、ジーク様の元へ!
途中でみすぼらしい古着に着替えて王女らしさなど感じさせないようにカムフラージュしました。
こうして私はジーク様の住む山まで移動したのです。
⋯⋯しかし歩くとなると、こんなに時間がかかるとは思わなかった。
こうして再会したジーク様でしたが突然来た
なのでイリーナという庶民に扮して、弟子入りという理由で迫ったのがマズかったのでしょうか?
「知るか、お前の都合なんか! 帰れったら帰れ!」
「ご御免なさい!」
こうして私は追い返されたのでした⋯⋯。
私は来た道を戻る⋯⋯。
それは絶望だった。
このまま戻ってどうするの?
今度こそゲイスコットに嫁ぐ? それはヤダ。
もうお城にも戻れないし⋯⋯。
そんな雑念が注意を散漫にして気がつかなかった。
「きゃああああーっ!」
ゴブリンの集団に襲われたのだった!
剣さえあればなんとか戦えるのだが⋯⋯。
こんないきなりやって来た私が剣を持っているとジーク様が警戒するかもと思い、ここに来る途中で隠したままだった。
つまり私は丸腰の無防備だった!
これじゃあ最弱のモンスターのゴブリンにすら負ける!
そして私は犯されるんだ!
イヤだ!
ビリっ!!
私の服が引き裂かれる音が響いた!
もう駄目だ⋯⋯⋯⋯。
ごめんなさいジーク様⋯⋯。
「シャドウ・バレット!」
その時です!
私の危機に駆けつけてくれたのは
やっぱりジーク様が私の王子様なんだ!
「あ⋯⋯ああ、ありがと⋯⋯⋯⋯」
そんなジーク様の前で私は⋯⋯粗相をしてしまった。
恥ずかしい⋯⋯。
でも見て見ぬフリをするジーク様は紳士だった。
「危ないところだったな。 立てるか?」
「⋯⋯はい」
こうして私はジーク様にまた救われたのでした。
「きゃあ──っ! 見ないでください!」
「おう⋯⋯すまない」
胸を見られた!
ジーク様の為に大きく育てた私の胸を!
⋯⋯もうこれで私、ジーク様のモノになるしかないじゃないですか♡
そのあと私はジーク様の家でお風呂に入りました。
このお風呂に私は驚いた!
小さいけど設備も快適さも、お城より立派だったのです!
とくにこのボディーソープの泡立ちが素晴らしい⋯⋯。
こんなの王宮にも無かった!
そのボディーソープで私は身体の汚れを落とします。
ここに来るまでにだいぶ汚れていたから⋯⋯。
もしも今晩、私はジーク様と⋯⋯♡
そう思うとしっかり洗っておかないと!
湯船に浸かりようやくリラックスする⋯⋯。
どうもここまででわかった事は、どうやらジーク様は
ならいっそこのままファイリーナ姫としてではなく、イリーナという普通の女の子としてジーク様の元に居ればいいのでは?
たぶん大丈夫、だってジーク様⋯⋯。
私の胸をしっかり見ていたし!
きっと私のこの成長した身体をお気に召すはずです。
となるとやはり最初は弟子入りという理由がいいでしょうか?
いきなり関係を迫るはしたない女だと思われたら引かれるかもしれないし。
こうしていろいろ考えてから私はお風呂を出たのでした。
するとそこには⋯⋯。
極上の布製のワンピースが!
なんという肌触り!
こんな服は王宮でも無かった!
着てみるとまるで何も身に着けていないような開放感です。
⋯⋯下着を着けていないせいかもしれませんが。
これはこれでいいかな?
もしかすると好都合でジーク様の趣味かもしれないし。
殿方の中にはちょっとだけ変わった趣味の持ち主も居るらしいし⋯⋯。
私はジーク様の事ならなんでも受け入れますから!
こうして私はジーク様に会いに行ったのです。
「⋯⋯さっきは危ないところだったな」
「はい助けていただき、ありがとうございます魔法使い様」
「ジークだ。 俺の名はジーク、そう呼ぶがいい」
「ジーク様ですか。 私の名前はイリーナです。 その初めまして⋯⋯」
やはり私の事がわからないようだ、まあいいけど。
なので予定通り私はジーク様の弟子入りを目指します。
「ほう⋯⋯この賢者ジーク様の弟子に⋯⋯」
「その私⋯⋯お支払い出来るお金がありません! でも⋯⋯なんでもしますから、お願いします! ⋯⋯お望みとあれば、毎晩でもお相手しますから!」
なんで大胆な私!
⋯⋯でもジーク様はそれをスルー!?
あれ~? 私、魅力ないのかな~?
と思ったけど、すぐに私をテストしてくれることになった。
どうやらジーク様は本気で私を弟子にしてくれるらしい。
弟子とか言ったけど私⋯⋯魔法使いになれるのかな?
王族だから魔力の資質はあるはずだけど⋯⋯。
今まで私は何故か父から魔法の修行をするのを禁止されていた。
だから剣くらいしかまともに身に付けてません。
でもジーク様を失望させないように頑張らないと!
『まったくこんなことも出来ないのか? 取柄はそのイヤラシイ身体だけなのか?』
ゾクッ⋯⋯♡
そんな風にジーク様に言われちゃったら私は、どうしましょう♡
そんな雑念を振り払い私はジーク様のテストに挑みます。
外に出ると突然の風が!
服がめくれ上がり私がノーパンなのがしっかりとジーク様に見られてしまいました!
これはもうジーク様に、せ・き・に・ん・取ってもらうしかないですね♡
「あの⋯⋯テストって何をすれば?」
「そうだな⋯⋯」
テストの内容は空を飛ぶ道具を使う事でした!
⋯⋯信じられません!
この魔法の箒は王都でも研究中のハズ。
それがまさかジーク様の手によってすでに実用化されていたなんて!
でもこれでジーク様と一緒に空を飛べたら素敵でしょうね!
そう妄想しながら私はこのテストに挑みました。
⋯⋯途中でジーク様が居なくなっているのに気がつかないで。
「──箒よ、我が手に!」
何度目の挑戦だったのだろうか?
突然成功しました!
私の手に箒が吸い付くように浮かんだのです!
それを握ったとたん私の体は──!?
「きゃああああー!?」
大空を舞っていました!
「きゃっ! ジーク様!!?」
「イリーナ! 手を離すな!」
そんな危険な状態の私をジーク様は救ってくれました。
何度私はジーク様に救われればいいのでしょうか?
どうすればこの恩を返せるのでしょうか?
「あの⋯⋯ところでテストの結果は?」
「もちろん合格さ」
⋯⋯やった!
「今日のところはもう遅いし、修行は明日からだ」
「はい、わかりました!」
こうして私はここに弟子として残れることになったのでした。
そして夕飯は私が作る事に⋯⋯。
魔法は全然だったけどお料理だけは練習していたから自信がある!
「弟子としてお世話になるのですから、このくらいさせてください!」
「ああ頼む」
ああ⋯⋯なんという幸せなんだろう。
しかしまた驚かされます、この家のキッチンに!
なにこの設備!? お城でもこんなに快適じゃないよ!
やっぱりジーク様はすごい魔法使いです!
しかしこの設備だと私の腕の見せどころが⋯⋯こんなの誰でも簡単に作れてしまうじゃない。
そうやって作った夕飯をジーク様は美味しそうに食べてくれました。
「じゃあそろそろ寝るか」
「⋯⋯は、はい」
そしてついにこの時が来たのです!
そう⋯⋯私自信をお召し上がりになる時がついに!
「あ⋯⋯ベッドがひとつしかない」
なんという好都合!
こうして私はついに同じベッドでジーク様と寝るのです!
お父様お母様、ファイリーナはついに大人になります⋯⋯。
ベッドに入り、明かりが⋯⋯消えました。
あれ? 明かり消すの?
まあ最初は恥ずかしいし、その方がいいのかも?
でも⋯⋯いくら待っていてもジーク様は何もしてきません!
⋯⋯こちらからいった方が良いのでしょうか?
しかし私の淑女教育ではこのようなときは『殿方に全てを委ねるのです』としか教わっていません。
もしかするとジーク様は庶民だから、私たち王侯貴族とは作法が違う可能性も⋯⋯。
そんな事を考えていたらジーク様の寝息が聞こえてきた。
⋯⋯どうやら今夜はなにも無いようです。
私⋯⋯魅力ないのでしょうか?
すっかり自信を無くして私は寝てしまいました。
⋯⋯ジーク様の、イ・ク・ジ・ナ・シ。
窓から差し込む朝日で私は目覚めました。
⋯⋯身体をチェックしてみますが、どうやら本当に何もされていないようです。
これが私の初夜⋯⋯なんてことでしょう⋯⋯。
ジーク様はまだ起きません。
昨日はお疲れだったのでしょう、このまま起こさないようにしましょう。
そして私は1人ベッドを出る。
すると昨夜はいっぱいいっぱいで気づかなかった物が見えます。
「これがジーク様の本棚⋯⋯」
本棚を見るとその人のすべてがわかると言われています。
そこにあるのは王都でも珍しいような魔導書がいっぱいありました。
「こんなにたくさんお勉強を⋯⋯」
こういう陰の努力が今のジーク様を作ったのでしょう。
私も頑張らないと!
そう思っていると今度は床に置いてある箱が目に入りました。
「⋯⋯なんでしょうこれは? 魔術封印テープ?」
その箱は明らかに最近ここに置かれた感じです、埃ひとつ付いていませんから。
しかしこの封印テープ、ちゃんと封がしていません大丈夫なのかな?
まあ大丈夫なのでしょう、でも気になる。
この箱の中身が⋯⋯。
私はつい好奇心でその箱を⋯⋯。
禁断の扉を開いてしまったのでした。
そこにあったのは──!
『禁呪の魔導書♡ 魔術師子弟の淫らな奥義伝承♡』
何でしょうこれは?
見たところ魔法使いの教導マニュアルのようですが⋯⋯?
つい私はそれを開いて中を読んだすると──!?
『お師匠様~♡ もっと私にお師匠様の、ま・りょ・く・注いでクダサ~イ♡』
『フフフ欲張りだな我が弟子よ! さあ受け取るがよい我が魔力の全てを!』
『アハ~ン♡ いっぱい注がれちゃった♡』
『まだだ! 我が弟子よ! このくらいが俺の魔力の全てだと思ったのか?』
『おもってましぇ~ん♡ だってまだ師匠様、コ・ン・ナ・ニ・激しいままなんだもん♡』
『そうだとも! 我が修行はキビシイこんなものではない! ついてこられるかな?』
『もっと、オ・シ・エ・テ~♡ お師匠様~♡』
⋯⋯パタン!
私は本を閉じた⋯⋯。
その内容は明らかに男女の営み、子作りでした。
しかしそれが魔法の修行だという内容だったのです!
この時私は理解しました!
そう、父や母が私に魔法を覚えることを禁じていた理由を!
こんな事出来るわけがない!
愛するジーク様以外と!
もしも私がここに来るまでに魔法を習得していたらこの身体は⋯⋯汚されていたのです、ジーク様以外に!
つまり清い身体のままジーク様にここで魔法を教えてもらう⋯⋯それが私の運命だったのです!
「⋯⋯とりあえず、この本は見なかったことに」
こうして隠そうとしているという事は、このエッチな教育はもっと先のことなんでしょう。
今は知らないフリをして来るべき時を待ちます。
でも⋯⋯必ず私は、ジーク様に手籠めにされるんだ~♡
私を弟子にしたという事は、
そんな妄想と期待いっぱいで私は、ジーク様の朝食の準備を始めるのだった。
「ジーク様、おはようございます」
「⋯⋯イリーナ! 居たのか?」
「もちろんです。 ⋯⋯ジーク様は昨夜はお疲れだったみたいで、朝食の準備が出来てます食べてください」
「⋯⋯ああ、そうする」
そう今から始まるのです、私とジーク様のエッチな魔法の授業が⋯⋯。
今から期待で待ちきれません♡
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