22
今日はテーブルの上にいっぱいのお寿司が並んでいた。悠梨亜が嬉しそうにサーモンを食べながら話をしていた。
「いい感じなんだよ。こんな人久々だよ。」
「誰?」
「青。」
「どうして青?」
「青い服ばっかり着てるから。」
「なんだそいつ。」
「変な人とかじゃないよ。」
「分かってるけど。」
悠梨亜はこの間の熊がセッティングしてくれた合コンで良い相手が出来たらしく、その話をしていた。彼氏、とは別で、良い人、ということらしい。
「相性?」
「それもそうだし、顔も良い。」
「それはいいね。」
「いいよね。性格はまあ、妥協の部分もあるけど。」
「そういう相手としてはいいんじゃない。」
「そうなんだよね。まだ2回しか会ってないんだけどさ。」
「2回も会ってれば上等だよ。」
「そうかな。」
「悠梨亜の話もいいんだけどさ、私熊の方が気になるんだけど。」
朋が急に話を変えた。
「熊って、なんで柚葉に手出さないんだろ。」
「は?私?」
「それ以外にある?合コンの時、絶対柚葉の隣にいるじゃん。一緒に帰ってるじゃん。どうして?」
「それはめっちゃ分かる。今度聞こうかな。」
「だからあれなんだよ。熊って正統派なんだよ。」
「体だけの関係は嫌、みたいな?それで合コン行きまくってるのどうなの?」
「合コン行きまくってる訳じゃないみたいよ。この間、同僚に合コン誘われて断ってるの見たし。」
「え?じゃあ、自分が主催してるやつしか来てないの?」
「そういうことなのかな。」
「完全に柚葉狙いじゃん。」
「この間柚葉居なかった時の熊の機嫌、明らかにいつもと違ったもんね。」
「柚葉は本当にどうも思ってないの?」
これだけの話を目の前でされた後に、私に話を振ってくる麗奈は中々の性格の悪さだと思った。
「どうも思ってないよ。」
そうやって返す以外に無いし、それ以上でもそれ以下でも無いのが事実だ。
「ワンチャン、くらいなら?」
「無いよ。」
「ワンチャンも無いの?」
「無いよ。」
「熊、良い奴だよ?」
「それは前も聞いたし、知ってるよ。毎回家の前まで送ってくれて、何もしないなんて、なんて健全な男なのって。私が1番身を持って知ってるから。」
私が3人に言い返すと、面を食らったような顔をした後に、これはダメだ、と3人で呆れていた。
「熊が悪いな。今度ガツンと言ってみるわ。」
「ちょっと。余計なことしないで。これ以上なんて望んでないから。」
「嘘つけ。」
「その言い方を嘘だよね。」
「柚葉って本当に素直じゃないの。」
こうなったらもう止められないのを私は知っていた。女って本当に怖いんだから。
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