12
あまり睡眠時間が取れなかった。桃とのランチの時間がなんとなくダラダラとしてしまったせいで家に帰るのがいつもよりも遅くなってしまったからだ。悠梨亜に起こされた時に時計を見ると、まだ3時間しか眠れていなかったにも関わらず、引っ張って連れて行かれてしまった。
だからこうして今、この間と同じように一番端の席で眠そうに少しづつお酒を飲んでいるのもおかしくは無い状況だと思うのだ。
この間とは違うメンツだ。熊は友達が沢山いるんだな、とぼんやり考えていた。3人はまたターゲットをすぐに決めて、もうカップリングが出来上がってる感じ。
そういうことだから、また余り物の私と熊。
「また来るなんて思わなかったよ。」
「私だって望んでの事じゃない。」
「また無理やり?」
「そうに決まってるでしょ。悠梨亜って怖いのよ。」
「ああ、なんか分かるよ。」
結局、熊とふたりでちびちびお酒を飲みながらなんでもない飲み会をまた過ごしてしまっていた。こんなことを繰り返していても私に男が出来るのなんて何年先になることやら、という話だった。そもそも、私を合コンに連れて行った3人が熊以外の誰かを取ってしまうんだから、私に出会いなんて訪れないのだ。
「今日もいなかった?」
「そうね。」
「篠原のタイプ難しいわ。あの奥の男とかいいかなと思ったんだけど。」
「麗奈の隣の?」
「そう。」
「だって、麗奈のこと好きそうじゃん。」
「そういうこと?だからいかないの?」
「そういうもんじゃない?私に興味の無い人なんて、こっちからもお断りね。」
「なんか、朋ちゃんみたいなところあるんだな。」
「流石にそれは初めて言われた。」
奥の男。確かに顔はいいかもしれない。中性的で少し細身で、笑うと目が無くなるタイプ。いいとは思うけど、明らかに私に興味なんて無さそうだもんな。もう麗奈にしか目線を向けてない。なんなら、体ごと麗奈の方に向いている。分かり易過ぎる男だな。麗奈のタイプかと言えば、そうじゃないかもしれないけどこの後はあるんだろうな。
「今度は篠原と結ばれそうな男連れて来るから、また来てよ。」
「そんな適当なこと言わないでよね。」
「適当とかじゃないし。俺こう見えて、篠原のこと考えてるんだよ。金澤から篠原も連れて行くから、って言われて、結構ちゃんと考えて人選してるんだから。」
「それは申し訳ないわね。」
「なんだよ、可愛くないな。 」
なんだかんだ言い合いながらも、ずっと隣で話してくれる熊。私、今日も何も収穫無しでこの男に送って貰うだけ送って貰って、それで終わりなんだろうな。
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