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まだ外の空気が冷たい。自分の体温が少し高いこの温度差がまだ心地いいと思うこの時期。今日の夜勤の相方だった魚と仕事終わりに軽くランチをした。



「なんかつまんなくなったよ。柚葉めっきり興味なくなったみたいでさ。」



例の同期のことだろう。正直、私もつまらないと思っている。やっぱり朋や悠梨亜みたいに合コンとかで男を探すしか無いのだろうか。



「そっちは彼女とどうなの?」


「俺はまあ、普通だよ。変わらずだね。面白い話なんてないよ。」


「仲良くやってる話、聞きたいよ。」


「なんも話すことなんてないよ。」



喉が渇く。ずっと喋ってるから。魚といると話が止まらない。夜勤の仕事中だって、休憩時間にずっと話しをしていたのに、まだ話すことが山ほどあって止まらない。だから、一緒にいて飽きないのだ。



「まあ、またいい人居たら話聞かせてよ。」


「いい人居たらね。」



そう言って、短いランチが終わった。電車に乗ってから、並んで席に座ると数分で眠りについてしまった。私の最寄り駅の少し前で魚が起こしてくれた。私、また魚の肩を借りて眠ってしまっていたらしい。



「ごめん、ありがとう。」


「ゆっくり休めよ。」



電車から降りて魚を見送る。この後は少し寂しいんだよな。家まで10分歩いて帰る。改札を出て、鞄からイヤホンを出した時、後ろから肩を叩かれた。振り返ると、少し楽しそうな顔をした朋がいた。朝帰りか。もう昼も過ぎてるけど。



「あの男は?」


「魚。」


「ふーん。あれが魚ね。」


「なによ。何も無いよ。」


「魚なら何もなさそうで残念。少し期待したのに。」


「そっちは?」


「今日は兎。昨日の夜からなのに、解放されたの昼過ぎだよ。有り得ない。」


「それでも行くんじゃない。」


「まあ、兎はね。相性はいいから。」


「そうですか。」


「顔も性格も相性もいい人とか、なかなかいないから仕方ないよね。ひとつでもよかったらそれ以外は妥協なのよ。」


「もう少し欲張ってもいいと思うけど。」


「そんなこと考えるなら遊びたい。」



やっぱり朋は朋だなと思う。何よりも男と遊ぶことが優先なんだもんな。



「柚葉は彼氏が欲しいの?」


「そういう訳じゃないけど、枯れそう。」


「男が欲しいなら合コン来なって。」


「嫌よ。そんなんで男選びたくないもの。」


「そんなの分からないじゃない。明後日あるけど来る?」


「仕事だからパス。」


「本当、つれないよね。」



いい人が居れば、私だってそれなりに遊びたい。やっぱりみんなが自由にやってるのは、いいなと思ってしまうから。でも、合コンとかで出会うのはあまり好きではない。そんなの結局性欲に塗れた汚い男しか居ないと思っているからだ。


ふたりで家に帰ると、玄関に悠梨亜の靴が脱ぎ捨てられていた。こっちも朝帰りだったのか。



「悠梨亜が起きてきたら話聞こうっと。」



そう言って自分の部屋に入って行った朋の背中を見送ってから、私も自分の部屋に帰った。

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