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休みの日はベッドの上で過ごすことがほとんどで、動き始める頃にはもう日が落ちかけているのが恒例になっていた。
今日は飲み会が入っている。最近職場での交流が活発になって、私もなるべく参加するようにしている。歳の近い人が多いし、やっぱり職場での人付き合いを大切にしたいと思うから。
いつも4人。後輩くんと、後輩ちゃんと、それから同い年の男がひとり。他に先輩が来たり、同期が来たりするけど、一番楽で楽しく飲めるメンツはこのメンバーかなと思う。
「柚葉は?」
「へ?」
急に斜め向かいから話を振られてあほ面で変な声が出てしまった。全然話聞いてなかった。
「何その声。どしたの。」
「ごめん聞いてなかった。なに?」
通称、魚。釣りが趣味だって言ってたから。この男は、仕事上私が一番信頼していて、なんでも頼ってしまう男。同い年フィルターがかかってることに加えてめちゃくちゃ話しやすいから、無駄に甘えまくってしまっている節はある。
「最近どうよって。」
「ああ。何も無いの知ってる癖にそんなこと聞くのね。」
「分かんないじゃんそんなの。ねえ、」
ニヤニヤしながら言う魚を、私は睨んでやった。
実はこの間まで職場の同期といい感じだったのだが、ふたりでご飯に行った時に、私が今流行りの蛙化をしてしまったのだ。
具体的に、なんて思い出したくないのだけれど。自分の話ばかりするところとか、上から目線の言葉遣いとか、そんなところがなんとなく嫌だったのだ。
一緒に仕事をしている時にはそんなこと感じなかったから、やっぱりプライベートで繋がるって大事なことなんだなと思った、そんないい機会だったな、と思うことにしている。
「柚葉は顔がいいからな。そう思うっしょ?」
魚は目の前にいる後輩くんに向かって言った。
「篠原さん、可愛いっすよ。」
「やだ、信じらんない。」
「いや、本当に。可愛いと思いますよ。」
後輩くんが私に向かって何度も可愛いと連呼してくるから、さすがに私も照れる。やめて、と言いながら、隣の後輩ちゃん、通称、向日葵に抱きつく。顔が可愛いはさすがに照れるよな。言われ慣れて無いし。
結局今日も終電で、みんなのことを改札で送り届けてから帰った。いつも自分でも酔ってるのかなんなのかよく分からないまま飲み会が終わって、帰ってからどっと疲れと酔いが来る。まだ外でボロを出したことはないと思っている。
家に帰って、玄関にそのまま座り込んでいると、面倒見のいい悠梨亜の声が聞こえて、私の腕を引っ張っていってくれているようだった。
朝起きると布団の中にいたから、悠梨亜にお礼を言わないと、と思った。
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