『アンデンパンダン点』 中の1


 エウロパは、木星の第二衛星である。


 その表面は、非常に滑かである。


 固い氷の、その地下には、海がある。


 生物がいるのではないか、と20世紀後半には、すでに言われはじめていたのであったが、海中には、微生物はもちろんとして、かつて栄えた『木土衛星系文明』(仮称)の巨大都市遺跡があったのである!


       🙊


 全人類が、わずか一ヶ月あまりの間に、急激に痴呆化して、ついには、ようやくの安らかな幸せを掴む、そのちょうど同じ時期に、探査AI衛星『ドフロンテイア』(略称、ドフ。)が、エウロパに接近していたのである。


 そうして、内部から、衛星探査ドロン『アメリア・キャリバー・バルジュノーム』(略称、アキバ。)が、エウロパの海中に降りていった。


 ダイヤモンドより硬く、アルミより軽い、新素材ボイチョ、が使われていた。



 『こちら、アキバ、これより、海中降下しまし。』


 『こちら、ドフ。了解。幸運を祈るぞな。』


 アキバは、エウロパの海に、静かに、沈んだのだ。


 

      ⛵


       


 


 

 


 



 

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