『アンデンパンダン点』

やましん(テンパー)

『アンデンパンダン点』 上


 アンデンパンダン点は、木星の衛星エウロパに設定された、謎のポイントである。


 地球人類が、なんらかの目的のために、かつて設定したのだが、なにがあるのか、なんのためなのか、誰がそれを行ったのか、もはやなにも分からないのである。


 


 タヌキのポンタロは、もちろん、茶釜に化けたり、妖怪になったり、また、食料を得るため以外で、他の生き物を騙したりはしないのだ。


 それは、かつて人間の造り上げた捏造である。


 それどころか、人間は、さまざまな手段を用いては、生き物を騙して食糧や、飾り物などにしてきたのであった。


 どちらが、化物かといえば、そいつは、明らかに人間に違いないのである。


 とはいえ、急激に人類の種としての老朽化が進み、全体的に重度の認知症に陥ってしまったのだ。


 なので、ほとんどの文明やテクニックのことは、忘れてしまった。


 かつて、彼らが誇った科学技術は、ごき族が中心に、受け継いでいたのである。


 しかし、そのごき族はまた、あまりに人類に依存しすぎていたのである。


 そこで、人類の老朽化に従って、ごき族も、その衰えが甚だしかった。


       🐛ゴキチャウ!



ごき大将


 『おい、原子炉はダイジョブかごき?』



シポク科学技術ごき


 『いやあ。ここだけの話ですが、担当ごきの認知症がかなり進んでごき。原子炉と、焼却炉と鍋の区別がつかないのでごきな。しかし、なかなか、替えがいないごきでごき。おいきみ、なに、運んでる?』



原子炉担当ごき


 『原子炉が、スープを欲しがってるだごき。いっちょ、燃料にまぜるごき。』



シポク科学技術担当ごき

 

 『いや、原子炉はスープを飲まないごき。それは、夕食用だごき。』



原子炉担当ごき


 『にゃにごき〰️〰️。きさま、反対勢力ごきごきなあ❗ よーし。みてろ、仕返しだあ。バック・キック〰️〰️✨』



シポク科学技術担当ごき


 『わあ。ごき! ぐごき。』



ごき大将


 『おーい、こやつ、医務室つれてごき〰️〰️😅』



シポク科学技術担当ごき


 『はあ………いててて、まあ、大概は、一時間くらいしたら、もとに戻るごきらが、だんだんひどくなるごきでごき。』



ごき大将


 『まだらごきぼけか。』



シポク科学技術担当ごき


 『ごき。薬の開発もしまごきが、なかなか、根本的には良くならないごきな。もはや、時間の問題かとごき。』



ごき大将


 『やはり、木星探査宇宙船に、起死回生ごきを託すしかないごきらな。』



シポク科学技術担当ごき


 『うんにゃ。アンデンパンダン点に期待を掛けてますごき。あの、古文書が正しければ、そこには、人類最後の知恵が隠されているごき。ついに、実現されなかった知恵ごきら。『宇宙船ゴキトラス』の、ハダカデバネズミや、たぬき、たちの活躍次第ごき。』



ごき大将


 『まあ、あまり過大に期待しない方がよいごきなあ。木星に向かった方が先で、古文書が見つかったのがあとごきぞな。』



シポク科学技術担当ごき


 『期待は、生き甲斐ごき。我々ごきより、ハダカデバたちは、宇宙にはるかな適性があるごき。地下にも強いごき。タヌキは、未知の能力者の存在ごき。テレパシーが強いごき。かならずや、なにか見つけるごき。しかし、人類の末裔が、いつ、いたずらして、核ミサイルを発射するか、わからないごき。生き残ってるAIが監視しているらしいごきが、連中も、かなり怪しいごき。メンテナンスしてないAIは、怪物に等しいごきらな。』



ごき大将


 『それは、わかってごきな。やたら頑丈な砦にあるため、いまだに、我々は、入れないでいる。しかし、核兵器の発射場は、まだ、確かに生きてるごき。知能を失った人類が潜伏している。また、核融合潜水艦も、まだ、動いてると、くじら族から報告が来てごき。最後が近くなったら、祝砲みたいに打ち上げるかもごき。』



シポク科学技術担当ごき


 『まさに、崖っぷちごき。』



     🐭🐭🐭🐭🐭



ハダカデバネズミ船長(以下ハネ船長)


 『女王さまのごきげんは?』



ハダカデバネズミ侍従長(以下ハロ侍従長)


 『まずまずち。』



ハネ船長


 『地球を離れて、はや、1年半、ついに、木星に近づいたち。予定を変更して、エウロパの、アンデンパンダン点を、まずは、探査するち。』



ハロ侍従長


 『なにが、あるのかち?』



ハネ船長


 『さあち。分からないち。そういう、指示が来たち。まあ、ぼちぼち、ハロ宇宙飛行士たちを、起こすち。』



ハロ侍従長


 『わかっち。』



 たぬき族のポンタロたちは、冬眠状態にあった。


 サイズが小さく、しかも根性があり、不思議な能力を発揮する。


 さらに、ハダカデバネズミと共に、今のところ、認知症を発症していない。



 なぜ、人類が劣化し、他の生き物の知能が急激に高まったのか?


 木星探検隊は、その謎に、いまや、迫ろうとしていたのである。


 

      🌏️

 




      🐺チガウ  




 





 

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