第3話 警護任務
「ご苦労。楽にしてくれ」
集会室に集められた人員は総勢40名。新生ブレインズ警護のA班と要人警護のB班それぞれ20名。その他にも多くの人員が警備任務に駆り出されているが、ここにいる者は式典行事中に会場内で任務にあたるため、この時間まで待機が命じられていた。
京極は赤平の横に並び、前方にいる警備部長に視線を向けていた。亜麻色の艶のある髪をきつく束ねたその女性は、鼻筋の通った端正な顔立ちに鋭い目付き、整った眉と薄い唇をしており、綺麗だが近づきにくい人物という第一印象を京極に与えた。
「警備部長の任を受けた
白老は若々しい見た目をしているが、屈強な男性の多くいるこの集団の前で臆する様子もなく、監督する立場として堂々としていた。もっとも、機械の肉体を持つブレインズにとっては見た目の屈強さなどに意味はなく、自身の
そのため華奢な見た目の白老ではあるが、この集団の中では立場だけでなく、戦闘能力でも最上位にいるといって間違いないだろう。そうでなければ生誕式という国の一大イベントの警備部長など任せられない。
「A班は箱の搬入後、輸送警護のE班と交代して警護開始。ポジションは資料の通りだ。新生ブレインズは国の宝であり、未来だ。気を引き締めて護れ」
「はい!!」
A班総勢20名の声が集会室に響いた。警備の任務に選ばれた誇りと新たな命を守るという覚悟がこもった、熱く大きな声だった。
「B班は要人の到着後、護衛任務のF班と共に警護開始。ポジションは資料の通り、F班の周囲に展開。護衛対象が動く場合があるため臨機応変に対応しろ」
「はい!!」
B班も負けじと声を出し、A班への対抗意識を露わにした。普段は朗らかな赤平の表情も引き締まっているのを横目で確認した京極は少し驚いた。それだけ今回の任務は重要なのだと京極は再確認し、体の脇で固く手を握った。
「それと、もうひとつ」
解散の命を待つ集団に対し、白老が思い出したように告げる。
「どうやら最近、反政府組織の動きが活発になっているようだ。会場内外も厳重に警備しているが、侵入者には十分注意しろ。マスコミもいる。奴らに余計な記事は書かせるなよ」
「はい!!!」
息の合った良い返事だった。マスコミへの不満というのは、軍関係者の共通認識だったのだろう。共通の敵を前に、A班とB班は一致団結して会場へと歩を進めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます