第49話 魚
49 魚
着替えてテントを出ると外は快晴。
ひんやりと澄んだ空気で気持ちのいい朝だった。
着替え終わったフェルと一緒に木の枝にテントを干していく。
長めのロープを買ってくれば物干しも作れそう。
買い物リストに書いておく。
ホーンラビットの血抜きをしたロープは、洗濯にはなんか使いたくなかった。
ホットミルクで体を温めてフェルと走りに行く。フェルのペースで走ったらギルドの前あたりで僕は限界だったので、僕はそこから引き返し、フェルはいつものコースを走りに行った。
情けないけど普通はこんなものでしょう。
フェルの体力がすごいだけだ。
これからも限界まで走って少しずつ距離を伸ばしていこうと思う。
家まで頑張って自分のペースで走り切り、呼吸を整えて弓の練習をする。
今日は6回。弓を弾く姿勢はともかく集中できていたので良しとする。
昨日余ったご飯でフェルとおにぎりを作っておいたので、残ったベーコンと玉ねぎを炒め、タマゴ4個で大きめのオムレツを作る。
おにぎりは3つしか作れなかったので、オムレツでお腹を満たそうと思ってる。
フェルが戻って来たので朝食を食べた。
フェルはケチャップの味が好きみたい。オムレツも美味しそうに食べてくれた。
それぞれ1つずつおにぎりを食べ、残りの1個は半分こする。梅干しが入った方はフェルにあげた。
「こうやって分け合って食べるとなんだかより美味しく思えるな」
そうフェルが笑顔で言う。
朝ごはんも食べたし出かけよう。
サイモンさんは僕らが店に入ると大喜びで迎えてくれた。
足のサイズを細かく測って、夕方には出来上がると言っていた。ガンツから話は聞いていたそうだ。材料もちゃんと用意して待っててくれたみたい。
夕方、公衆浴場に行くついでに取りにくることを伝えると、サイモンさんはここが自宅だから、もし閉まっていたら呼び鈴を鳴らして欲しいと言った。
1人銀貨3枚。2人で合わせて銀貨6枚払って店を出た。
ちょうど約束の時間に商会の前に着く。
フェルはエリママの店に行って、僕と3男は南門の方に向かった。
まずは市場を案内してもらおうと思っている。
3男はフェルが来ないのを残念がっていたけど、エリーさんに編み物を習いに行ったことを伝えると、「きっと今ごろ母さん大喜びで教えてるよ」と笑顔で笑った。
一応ギルドに寄って銀貨10枚下ろして、3男と市場を巡る。
何が欲しいの?と聞かれて、もしも魚が売っている店があったらそこに行きたいと伝えた。
生の魚は高級食材で市場には無いらしい。
貴族向けの店や高級な宿に直接卸されるので南区の市場には並ばないそうだ。
あるのは塩漬けの魚か、乾物になるとのこと。
米など家畜の飼料を扱う店に小魚の干したものがあるらしく、まずはそこに向かう。
おそらく煮干しであろうその魚は家畜の飼料になるそうだ。食べると体が丈夫になるらしい。
店の人に断って一つ食べさせてもらう。内臓が取られてないので少し生臭かった。
お店で粉々にして、量り売りしてくれるそうだ。
とりあえず200グラム。砕かないでそのままもらう。銅貨2枚だった。
内臓を取って水洗いしてみよう。
このあたりで取れる川魚は泥臭くて、王都ではあまり人気がない。もっと上流に行けば食べられる魚はいるけれどわざわざ魔道具を使って王都まで運んで売る者はいないんだそうだ。
王都から西の方の領地に綺麗な湖があって、そこには湖で獲れた魚がその土地の名物料理として食べることができるそうだ。
「でも魚ならやっぱり領都だよー。海も近いしねー。港町なら生で魚が食べられるんだよー」
3男が言う。領都かー。いつか行ってみたいな。
川魚を扱う店には、シジミのような貝と川海老が水槽に入れられていた。
ナマズや鮒も並んでいたが、泥抜きをしていないから少しドブ臭かった。
この店では何も買わず、今度は領都から流れて来た物を主に扱う店に行った。
市場から少し外れたところにその店はあって、中にはいろいろな商品が並べられていた。
「ここにも醤油と味噌を少し卸したんだー」
3男がニコニコしながら言う。
領都で手に入るスパイスや、香草などが並び、干し椎茸もあった。
領都では東の国と盛んに貿易してるせいなのか、僕の欲しい物がけっこうありそうだ。
乾燥したワカメもあってちょっとテンションが上がる。
3男が店の人に何か言うと、奥の保冷庫から塩漬けの魚の切り身を持って来て、いくつか見せてくれる。
カツオの塩漬けとサバの干物、塩鮭と知らない白身魚の塩漬けと、小さめの魚の塩樽漬け。
とりあえず今はこれだけらしい。
冬になって寒くなって来たからこれからもう少し品数も増えるとのこと。
サバの干物のような物以外はいったん少し塩抜きしてから調理した方がいいと言われた。
カツオの塩漬けを燻製にしたら鰹節みたいになるかな?時間ができたらやってみたい。
塩鮭と干し椎茸を少し。乾燥ワカメはあまり売れなかったからたぶんもう仕入れないと言うので全部買った。海苔もあったので1束買った。全部で銀貨1枚と銅貨50枚。
端数はおまけしてくれた。
営業時間を聞くと朝は9時から。夜は午後5時までだそうだ。また今度買いにこよう。
お店の人は塩鮭を包む油紙に少し氷を入れてくれた。
3男にソースを説明したけど、3男もそういう調味料は知らないと言う。
いろいろな調味料を扱う店に連れて行ってもらって探したけどソースは見当たらなかった。
鶏がらスープの素みたいなのも探したけどイマイチいいのがなかった。
タバスコに似た調味料と、ごま油を小瓶で買って銅貨50枚。半銅貨1枚払って店を出た。
「ねー3男。どこかで時計を安く買えないかな?少し壊れててもいいんだけど。中古の物を売ってるところってない?」
そう言うと3男はちょうど良いところがあると言って僕をそこに連れて行ってくれた。
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