第37話 休日の過ごし方
37 休日の過ごし方
朝起きて、フェルは走り込みに行った。
3男の勧めでこないだ買った、冒険者用のカバンを背負って、嬉しそうな顔をして走って行った。気に入ってくれたようでよかったな。
僕は市場に食材を買いに出かける。
牛乳屋を見つけたので多めに買った。バターも少し多めに買う。今日はクリームシチューにしてみよう。
その店でタマゴも見つけたので購入した。まだ温かかったので、「もしかして産みたてですか?」と聞くと、その通りで、今日中なら生でも食べれると教えてくれた。
牛乳屋さんは牛乳が悪くなるお昼前には帰ってしまうんだそうだ。僕が殺菌の仕方を教えたら、家に戻ったら試してみると喜んでいた。
ニワトリはそんなに多く飼育していないから、タマゴは早い時間でないと売り切れてしまうみたい。また朝早く来よう。
ゴードンさんのところで野菜を買って、こないだよりは少ないけどクズ野菜ももらった。このあと何日かは別の仕事をするから、クズ野菜はしばらく必要が無くなることを伝えて、今日から5日後の午前中にゴードンさんの家に狩りに行ってもいいかと聞いてみた。勝手に決めちゃったけど、フェルもたぶん賛成してくれると思う。
お米や肉など他にもいろいろ買って、家?まあ場所が決まったし家でいいよね。テントだけど。
急いで家に帰った。
ご飯を炊いて、味噌汁を作る。フェルはもう戻って来ていて、素振りをしている。
お昼はどうしようかな?ここで食べて出かけようかな?
今日はゼランドさんに教えてもらった鍛治師のところに行くつもりだ。
午前中はゆっくりしようかな。ポーションとか作りたいし。買い物リストも作らなくちゃ。
お金が入ったとはいえ、優先順位をつけて計画的に使いたい。
ご飯が炊けたので、フェルを呼ぶ。今日は卵かけご飯にするのだ。
嫌がるフェルを説得して、騙されたと思って一口食べて見てとお願いする。
フェルは恐る恐る口にする。食べた瞬間、目をまんまるにして見開き、タマゴかけご飯をかき込み始める。
僕も自分のタマゴを溶いた。
あんまり醤油を入れすぎると、タマゴの風味が損なわれるけど、僕は少し濃いめの味付けが好きだ。ご飯にかけようとしたら、フェルがおかわりを要求する。
フェルの好きな味付けってなんだろう。
聞いてみるとさっきより少し濃いめの味付けがいいという。どうやら味の好みは僕と似てるみたいだ。
「食べすぎると体に悪いからおかわりはこれでおしまいね」
そう言うとフェルはゆっくり味わって食べ始めた。
ご飯にタマゴをかけて一口食べる。あー、これだなぁ、やっぱり美味しいなあ。
カリカリに焼いたベーコンと一緒に食べて、僕もおかわりをした。
食べた後は洗い物をするのだが、水場がない。
水はどこかで樽に汲んでくればいいが、洗い物をするたびに遠くまで行くのは面倒だ。
下水は流れているので、流し台を作ればいけるかな。木材を買ってきて自分達で作ればお金も安くすみそう。
とりあえず今日は下水道の上で洗い物をした。
残ったご飯をフェルと2人でおにぎりにする。
作り方の見本を見せて、2人で梅干し入りのおにぎりを作る。
フェルがはじめに作ったのはけっこう大きめで、不恰好なものになった。それを見て笑ったら、「はじめて作ったのだから仕方ないではないか」とフェルがすねる。
ごめんごめんと謝るとフェルは機嫌を直し、2個目はきれいに三角のおにぎりを作って得意気な顔をした。
今度市場に行ったら海苔を探してみよう。南区の市場ってけっこう広いんだよね。まだ全部は見れてない。魚はまだ見つけていなかった。
僕は大鍋でポーションを作って、フェルは麦茶を作る。フェルが自分でやってみたいと言ったのだ。
麦茶の作り方はそんなに難しくない。金属製の網でできた容器に炒った麦を入れて、やかんで煮出すだけだ。煮詰めすぎなければ、煮出しの時間もそんなにシビアじゃない。
出来上がったポーションを瓶に入れようとするけど、ポーションの瓶がない。ギルドで買えるかな?とりあえず大鍋のままマジックバッグに入れた。
出来上がった麦茶にお砂糖を2人で入れて、それを飲みながら買い物リストを作る。椅子をくっつけていろいろ話し合いながらリストを作っていく。
なんかいいな、こういう時間。
休日の過ごし方としては最高だ。
買い物リストには
ポーションの瓶
冬物の衣類
外套
冒険者用の服
大きめの布団
麦茶用の大麦
フェルの装備
僕の装備
僕の武器
精米器
これは今日行く鍛冶屋で作れるか聞いてみるのだ。
ランタンのような魔道具
保存瓶をもう少し
お弁当箱
食器類
マグカップ
刺繍の道具と布
と書いた。
休日に刺繍をしてみたいとフェルが言ったのでそれも書いておいた。
最後に流し台の材料と釘と書いた。
フェルにポーションの瓶を買いにギルドに行ってもらって、僕は昼食の支度をする。
フェルが握ったおにぎりは僕が食べるつもりだ。
フェルが戻ってきたところで昼食にする。
おにぎりと味噌汁、野菜炒めだけのシンプルな食事だったけど、フェルの作った大きなおにぎりの取り合いをしたり、それを食べてフェルに美味しいと言ったら、フェルが顔を赤くして照れたり、楽しくお昼ご飯を食べた。
そのあとフェルが買ってきたポーション瓶にポーションを詰めて、フェルのカバンに3本、腰のポーチに2本入れた。
後片付けしていろいろマジックバッグにしまったら、鍛治職人に会いに行くことにする。
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