第8話 騎士団
8 騎士団
翌朝、布団を片付けて今日は僕が朝食を作る。
昨日のパンが最後だったから、パンの代わりにじゃがいもを茹でてマッシュポテトを作る。
ニワトリがタマゴを産んでくれたので3つ、目玉焼きを作った。
スープは昨日の残りを少しアレンジしてトマトベースのスープを作った。トロトロに溶けかかったキャベツが美味しい。
昨日と同じくフェルと2人で朝食を食べた。
フェルに古くなったタオルを渡して、雑巾を作って欲しいとお願いして下に降りた。
今日はパンの配給がある。
パンを入れるカゴを持って昨日の雑貨屋に向かった。
マジックバッグは持っていかない。
村長の息子に会うとめんどくさいからだ。会うとなんだかんだと粗探しされて文句を言われる。
前にマジックバッグを使ってパンを運んでいたら、「そんなきたねーカバンにみんなの食料を入れるんじゃねー」と殴られたこともある。
いいかげんそういう理不尽なのにも慣れてきたので、何の文句も言われないように無難にやり過ごすのだ。大体は無視してる。
雑貨屋の裏にはパンを焼く窯があって、みんな週に一度パンをもらうのだ。
僕以外の村人はみんな小麦を育てていてパンの材料として村に収めている。
例外なのは僕の家と雑貨屋さんで、うちは食堂の仕事をしているし、雑貨屋さんのおばさんはパンを作る係だから、この2軒だけは無償でパンをもらっている。
食堂で使う分も合わせると、一度には運べないのでいつも3往復している。
パンを受け取って家に戻ると村の入り口から馬に乗った騎士が4人やってきた。
村長の家を尋ねられたので、向こうの大きな家が村長の家だと伝えた。騎士たちは礼も言わず村長の家に向かって行った。
バレないように、慌てず普通に家に入り、家の戸に鍵をかけてからじいちゃんに報告する。
「じいちゃん、騎士たちがフェルを探しにきた。パンを運ぶの手伝って、ちょっとフェルのところに行ってくる」
そう言って2階に上がる。
フェルは早速雑巾を縫ってくれていた。
「フェル、落ち着いて聞いて。たぶん騎士団の連中が来た。フェルが言った通り偉そうな、嫌な感じのする奴らだったよ。たぶん僕はこれから騎士団を森に案内させられると思う。フェルはここで静かにしててね。絶対下に降りちゃダメだよ。窓にも近づかないでね」
「わかった。くれぐれも気をつけるのだぞ」
フェルは頷いてそう言った。
今度はじいちゃんと2人で残りのパンをもらいに行く。
雑貨屋の裏に行くと村長と騎士たちがいた。
村の人たちは厄介ごとに巻き込まれないように、パンを受け取るとさっさといなくなる。
村長が僕を呼ぶ。じいちゃんにカゴを渡して村長のところに行った。
「ケイ。お前、山には詳しいだろ。この方たちは脱走した騎士を捕えに来たのだそうだ。この村にはそんな者は来ていないと言ったのだが、山の中を捜索するので案内が欲しいとのことだ。ケイ、こちらの方について山の中を案内して差し上げろ。くれぐれも失礼のないようにな」
そう言って村長は騎士のリーダーのような男を僕に紹介する。こいつが副団長か、なんか偉そうで嫌な目つきだ。
騎士たちに、家に装備があるから取りに行く旨を伝えて、森の入り口で少し待ってて欲しいと告げた。
じいちゃんと2人でパンを持って家に帰る。
森に行く装備をして騎士団の待ち合わせ場所に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます