第16話やっぱり弄ばれたんだね
翌日目の下に隈を作って出勤すると、黒崎が面白いものを見つけたように寄ってくる。
「ひどい顔してるな。何かあった?」
「まあ、ありましたね」
「そっかあ。やはり俺の思った通り、妖艶な彼女に弄ばれたわけだ」
「は?」
「だって朝まで彼女と愛を語らっていたって風には見えないよ。振られたんだろ?ま、いいよ、皆まで言わなくとも」
「いや、振られてませんから」
「大抵振られた男はそう言うんだよな」
勝手に納得している。
「俺たちはまだ付き合ってもいないんで振られるとか、そういった次元の話じゃないです」
「まあ、そういうことにしといてあげるよ」
「事は黒崎さんが考えるほど呑気な状況じゃないんです!」
「まあ、そうだろうねえ。分かるよ、分かる」
何を言っても黒崎の思い込みを上書きすることはできそうにない。腹立たしいが初めから説明するのも面倒なので仕事に取り掛かろうとすると、
「皆今までごめんなさい。私今日から外回り復帰するわ!」
と宮田がやって来た。
「宮田さん、もう腰は大丈夫なんですか」
「うん。病院の先生のお墨付きよ。また迷惑かけないように慎重に動くつもり」
宮田のことだ。復帰する前に各利用者の資料などは頭に叩き入れているのだろう。
「今まで以上に利用者さんのために頑張っちゃうから!」
晴れ晴れとした笑顔に引っ張られるように耕司は今日の日程を確認した。
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