第2話 蛍光ペン


「まあ、いいや。お前はなんか行きたいとこあるのか?」


赤木が俺にきいてきたけど。


ー?


べつにないに、決まってる。


だから、声にだしていないだろ?


ー?


なんで、わざわざ問いかけて、くるんだ?


俺は不思議に思って、赤木を見つめていたら、赤木は、なぜか舌打ちをした。


というか、赤木の反応は、いろんなヒトに、よくされる。


ーいちばんするのは、俺のアニキかなあ?


けど、赤木は、アニキと違う存在のような?


いや、違わないような?


だって、


「ちっ!なんで、こんなヤツと組むんだよ?せっかくの修学旅行なのに」


ほら?イライラしてるぞ。


ー俺、に。


それでも、なんで、俺にイライラしてるか、わからないから、黙ってたら、黄原が横から言った。


「仕方ないだろ?赤井たちは3人で、俺たちは2人。班は5人。なら、先生だって、あまってるやつをくっつけて、5人にするだろ?」


ーすげーな?黄原。


相変わらず、すげーな。黄原は、赤木みたいに目立つタイプじゃない。


というか、俺には赤木が目立つもわからないけど、黄原が言うなら、目立つヤツらしい、


ー?


黄原は、幼い頃から、面倒見がよくて、俺のまわりに、なんとなくいるから、顔を覚えてるけど。


ー?


俺は、赤木をみて、不思議に思う。


ー黄原とは、違う顔。


で、


ー俺は、顔を覚えれるかなあ?


名前はいま、信号機で覚えたけど。


街どころか、教室を一歩でたら、忘れそうな顔だよなあ?


ー?


「まあ、いいじゃない赤木?村上は、とくに反対はないみたいだし?黙ってるなら、放っておいた方がはやいよ?」


赤木の隣に座った、例の青い芝生が言った。


俺は、風がめくってくれた、修学旅行の名簿欄に目をやる。


ー風って、わりと、いや、かなり不思議なことをしてくれる。


偏西風、貿易流、北大西洋海流、地球の自転、ありとあらゆる事が重なって、


「ー歴史的発見に、つながっていく?」


考えていたことを言い当てられて、俺はびっくりして、声の主をみた。


まわりは、キョトンとしていた。


「いきなり、なんの話だ?真央?」


「なんでもないよ?ただ、社会で習った地球儀を思い出しただけだよ?」


意味深に笑った異世界人が、俺をみる。


ーなんだこいつ?


俺は不思議に、思って、青緑ー。


すかさず声が訂正する。


「そっちの「シバ」じゃないし?」


そういえばー。


「隣の芝生は、青いけど、ーそっちでもないよ?」


ー?


じゃあ?


「刈らなくていいから。たしかに柴犬は、芝生が枯れた色に似てるけど。そしたら、すべての枯れ草や枯れ木に、なるよ?」


ーたしかに。


だけど?


「柴犬の被毛構造は、ダブルコートだよ?」


自分のしおりの裏にいきなり、なんか育毛剤の箱に書いてある絵みたいなのを、かきだした。


なんか、やっぱり、芝生と雑草じゃないのか?


皮膚から伸びるダブルコートの毛の図。


ー俺には育毛剤の箱にみえる図。


「でね?換毛期は下に生えているアンダーコートが抜けるんだよ?」


きれいな長い指が、そのアンダーコートを指差す。


アンダーコートって、いうのか?


うちの犬は、だけど、フワモコな雑種だぞ?


親父がMIX犬を祖父母にもつ子犬を、職場から、一匹もらってきたけど、


ーなに犬だ?そもそも、MIXと雑種の違いって、なんだ?


「MIX犬は、親がはっきりしてる純血種同士をかけあわせてる犬だよ?ペットショップにいる子たちは、親が血統書つきの子たちだけど、例えば、その子供が、産んだ子たちは、雑種になるんだよ?」


…じゃあ、ペットショップで買うメリットは?


「可愛いし?血統がはっきりしてるし?」


ーいろんな世界の人間みたいたな?いや時代か?


というかー。


机を指でトントンと叩いて、その音に俺のぐるぐるまわる思考が、またそっちにいく。


さっきの育毛剤の箱みたいな図。


「でね、オーバーコートは、皮膚を守る毛で、アンダーコートは、体温調節をおこなうための毛なんだ。こっちのやつね?」


いつのまにか赤ペンを取り出して、丸をつける。


赤かあ。なんで、赤いペンをつかうんだ?


「とくに決まりはないよ?たぶん、黒や紺色との比較みたいだよ?赤や朱色が目立つから。が、いちばん多い理由みたいだよ?まあ、いまは、たくさんの色があるし?こだわらない人もいるんじゃない?」 


そういいながら、赤ペンで、またトントンと机を軽くたたく。


「でね?季節の変わり目は、ふわふわで、保温性に優れたアンダーコートが抜けて、生え変わるんだよ?だから、換毛器用のブラッシング用のクシがあるんだよ?で、私は、芝生じゃないから、刈らなくていいからね?」


ご丁寧に、今度は、茶色のペンで。


ーこれは、犬の毛。


緑のペンで、


ーこれは、芝生。


って、草の絵をかいて、


ー私は、柴原真央、だよ?


って、ふつうに、黒のポールペンで、


ー柴原、が、名前をかいた。


俺は柴原をみると、柴原は、ただ、笑ってた。


俺は、はじめて、


ー俺以上に、変なヤツを、見つけた。


って、思ってた。


ちなみに赤井や黄原、柴原と一緒にきていた異世界人(またの名前を女子)は、戸惑ったように、俺たちをみていた。


そんな目をよそに柴原は、


「で、これが、明日菜だよ?」


って、自分のしおりじゃなくて、俺のしおりに、


「何色がすき?」


ああ、これは、答えるヤツだな?


「空色」


声にちゃんと出したら、


ー神城明日菜。


に、空色の蛍光ペンでマークされた。


ー蛍光ペンで、


ー俺の好きな空で、


ー神城明日菜。


って、


「あの時は、明日菜をありがとう」


マークした、柴原が言ったんだ。


おれの白と黒ばかりのしおりに、


ー空色の、


蛍光ペンが、蛍光していた、


ー蛍ならさあ?


「点滅しないから?そもそも蛍は.日本人だと50種類以上いて、ほとんどが光らない種類だよ?日本にいる14種類は光るけど。世界的には光らないよ?」


…やっぱり変なヤツが、言った。


ちなみ有名な蛍は3種類。


ーゲンジホタル。


ーヘイケホタル。


ーヒメホタル。


平家と源氏で姫?


俺は蛍光ペンでマークされた、


ー神城明日菜。


の次に、


ー柴原真央。


って、名前を知ったんだ。


で、


平家と源氏で、


ー姫?


って、思った、

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