【中学生編】修学旅行で、学校イチ可愛い子がスカウトされたら。キミに告白される、まえと、あと。大人気女優と平凡なサラリーマンの出逢いの物語。

茶々アルト

第1話 はじまりのシグナル


俺は村上春馬、13歳。


南九州の片田舎の中学生で、


ー中学生、だよな?


他になんて言うんだろ?自己紹介って、なんだ?


ー吾輩は、猫である。


なら、


ー俺は、人間である?


人間では、あるよな?


だけど、


ー名前は、まだない。


いや、


ー名前は、もうある。


だって、申請期限がある。


あれ?なかったら、どうなるんだろ?


そもそも俺の親父は、


ー午年の春にうまれたから、


春馬。


なんのひねりもない名前をつけた。


なら、提出期限がなくて、もしも、翌年提出だと、


春羊?


…なんて、呼ぶんだ?


読めるような?けど、


ー?


クラスメイトには、いないな?


当たり前だし?俺は早生まれで午年。いるならと年下か、11歳以上、年上か?


逆だと、どうなるんだ?


ー羊春。


やっぱり、よくわからない。ただ、いそうな名前になる。


いるよなあ。


干支も季節も、わりと名前に、生きてるけど。


干支だと年齢わかりやすいから、年をとるとどうなるんだろ?


俺は自分の母親を思い出す。


年齢を、息子にすら隠そうとするナゾ行動の母親だ。


書類には、世帯主の親父は書くけど、母親は、あまりないから、


ーいまだに、母親の生年月日を覚えてない。


ちなみに、アニキは覚えてるらしい。


ー器用だな?必要性を、まったく感じないぞ?


ー誕生日は、自分からアピールしてくるぞ?


アニキと母親はわりと仲がいい。というか、俺が違うは、なんとなく理解してるけど。


「おい!きいてるか?村上?」


いきなり声がして驚いた。


目の前には、なんかチャラい?(いまあるのかな?ほんとうにチャラチャラ金の音がしそうなヤツ)の、


ー誰だ?


「ー赤木だよ?バスケ部のエース候補」


俺の耳に、小さな声がする。みれば、幼稚園からの幼馴染の黄原がいた。


ー赤、黄。


あとは、青緑が欲しいなあ。


なんて思いながら、心の中で黄原に、お礼を言いつつ、赤井をみる。


そっか。赤井はバスケ部なのか?


だから、野球部の俺は知らないのか?


ークラスメイト、だよな?


というか、黄原すげえな?まだ二年になって、1か月くらいだぞ?


ーよくクラスメイトの顔を、覚えれるなあ?


俺は一年では、覚えてない。男子はまだ少しマシだけど。


女子は、まったく。わかんねー。


ー行動も会話もなぞな異世界人。


母親ですら、よくわかんねー。


いや、流石の俺もたぶん、顔だけなら、母親はわかるぞ?


ーたぶん?


目の前にある修学旅行のしおりを見ながら、ちょっとだけ、自信をなくす。


南九州の片田舎には、あんまり人混みとは、関係がないけど。


修学旅行先は、福岡だ。


しかも再開発された博多に行くらしい。


ローカルテレビでみた博多駅を思い出す。


東京は大都会すぎて、よくわからないけど、博多駅なら映像や、母親の浮かれっぷりから予想できる。


ーあの人混みから、母親をさがせるのか?俺?

 

…スマホって便利。ちなみに、俺はいらないのに、


ーほら?中学生なら、親に言えない話もあるでしょ?お兄ちゃんに買ったから、春馬のも契約したわよ?


って。渡された。俺のアドレス帳は、ほとんど空だ。


アプリも入ってない。


そもそもなんで、アニキが欲しいから、俺も欲しいと、思ったんだろ?


最近は、公衆電話は、確かに減ったけど?まだあるぞ?


10円玉でー。


ー何分だ?相手は、スマホだと早いよな?


あっという間に1000円のテレカが残数減るらしい。


なら10円だと?


そもそも公衆電話を置いてないコンビニでは、もうテレホンカードも売ってないよなあ。


テレカ。


親父が言った時に、俺は入院したじいちゃんの使っていた、


ーテレビカードだと思い込んだ。


このテレビって、


ーマジでテレビ電話⁈すごい!


大興奮したら、酸素が必要なじいちゃんが、吹き出して、


ー呼吸困難になって、めちゃくちゃ母親に怒られた。


親父は爆笑していたけど。アニキは、


ーお前は、相変わらずバカだな?


そう言われた。アニキはあたまがいい。俺はあまり成績が良くない。


というか、あんまり勉強に興味がない。なりたいものも、特にない。


部活はアニキに言われて、野球部に入ってる。


ー中学生なんだから、違うスポーツもおぼえろよ?


そう言うから、小学生でやってたサッカーから離れたけど、


ー俺だけ初心者ですけど⁈


みんなリトルリーグあがりで、いまだに後輩と一緒に球拾いな俺だ。


リトルリーグあがりの奴らは、経験者のコーチや監督から、基礎を教わってるらしいけど、俺の中学の野球部の顧問は、


ー文化部。


くじ引きでひいたと嘆いてる30歳独身の国語の先生。


ちなみに、独身だけど、彼女もちだから、土日は、ほとんど自主練。


本をよんでもよくわからないから、見よう見まねで、俺は素振りやキャッチボールしている。


ー三年なっても、レギュラーむりだな?補欠すらあやしいぞ?


そもそも、よくわからないで素振りしていたら、グリップの持ち方を、後輩が教えてくれた。


ー俺は、左打者らしい。


テレビみていたら、なぜかそうなった。


ーなぜに⁈


…テレビだと反対側にいる。


けどいまは、左打者多いのに?


ー相変わらずわけわかんねーな?おれの頭の中って。


「だから、無視すんなよ!きいてんのか⁈村上!」


きいてるよ?


だから、返事してないだろ?


そう思ってたら、


「きいてるみたいだよ?そんなことで、怒んないでよ?赤木?」


少し高い声がして、俺たちの教室に、異世界人数人が入ってきた。


赤木が嬉しそうな顔になって、けど、首を傾げた。


「よお?真央。待ってたぜ。あれ?神城さんはいないのか?」


「明日菜は、用事があるから、帰ったよ?特に希望ないから、任せるって」


なんか女子にしては、背が高い派手な見た目のヤツがいた。


ー?


たしか、どっかで、あったか?


俺の視線に気づいて、その異世界人が言った。


「ちゃんと話すのは、初めてかな?村上だよね?私は、柴原真央だよ?よろしくね」


なんか含みがある表情で、異世界人、いや、


ー柴原が言った。


そして、俺は、おもったんだ。


赤井、黄原、柴原。


ー柴、原。


芝生。


青緑。


ーそろった。


赤、青、黄。


ー信号機。


なにかが始まるシグナルだ。


って、なんか、思ったんだ。


暑いから開けていた窓からのそよ風が、パラパラと修学旅行のしおりをめくって、


ー神城明日菜。


班名簿に、その名前を見つけたんだ。


ああ、あの時にあったのか。


神城明日菜。


俺にとっての異世界代表。


そして、


ーなんのシグナルだ?


って、笑う柴原を見ながら思ってた。


13歳の修学旅行まえ。


ただ、


ーなんのシグナルだ?


って、不思議だったんだ。




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