再犯

第12話 メタ口は殺せない(´・ω・`)

その日は、雨が降っていた…


「やったー、雨だよ!」


「そうだねぇ」


私はキプトと、なんの変哲もない話をしていた。



キプトは、北を一度だけ睨み、


「そいえばさ…」

「名前まだ聞いてなかったよね。なんていうの?」



これはくまった。



ここで、私の本名を言えば、このモヤモヤもスッキリすることだろう。


しかし、だ。



メタなことを言うが、ここで言ってしまうと、物語が一気に進んでしまい、単調化してしまう。


私の名は、この物語の鍵そのものなのだから。



「忘れた。」



これが、最善案だと思う。


私にとっても、キプトにとっても、



読者様、あなたにとっても。




私が物語上の人物だと知ったのは、【新小岩信号場】が関係している。


例の巨人ブロガーが教えてくれたのだ。



カルロス!!の友人が私たちを登場人物にした小説を書いている…ということを。


もちろん動揺はした。


私の恋心も、所詮は作り物だと知ってしまったのだから。


ただし、そのことをキプトは知っているようだった。


そんなキプトは、やはり私の天使で、



「その日あったことを、小説家さんにメールしてる」


と、言った。



私は小説の主人公らしい。

しかし、作られた人物ではなかった。


私はただの人形じゃない。



そう知った私は小説のタイトルを尋ねる。



それは不幸か、幸いか、誰も教えてくれなかった。



だから私は、その蕾夢雫姫らいむしずきって人に会った時は、

キプトについて知っていることを全て教えてもらおうと決意した。





長い夢を見ていたようだ。


そっと、目を開ける。


夢の中とは違い、今日も彼は私たちを嘲笑う。


決して昼間に太陽が見えなくなる…なんてことはない。



醜い熱光に照らされたキプトは、暮れない表情で目を逸らした…

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