第6話 私とあなたを照らす光を殺した者は殺しますから。
キプトは、指と、赤い袋を持って出て来た。
「私の家は…どこですか?」
「ついて来てください」
キプトは、全てを見透かしたような表情だった。
私が、何故お金を使わなかったのか、知っていたのだろう。
「なるほど、良い家ですね。」
キプトは続ける。
「同じ家に住むなら、敬語はなしですか?」
「そうしよう」
「従う側の人間が、生意気よ」
支配者は、微笑みながら言った。
もちろん、好意的な微笑みである。
そして玄関で靴を脱ぎ、靴下を私に持たせてから言う。
「この家は、私とあなたを照らす光。見えているのでしょう?あなたは私たちの光ではありません。私と彼と、私たちを照らす光を殺すのであれば、私は今度こそあなたを殺します」
その眼差しを、この世界に向けた後、今度は私の持っているものを全て床に置く。
そして、
「手、繋ご?繋ぎながらじゃ歩けないもの。」
そう言い、キプトは左手を伸ばしてくる。
私も、左手を伸ばす。
「好きな人が出来るなんて…私、あんなことして良かったのかな…」
「…ん?」
「手を繋いで、歩けなくしちゃった…」
窓から僅かに注がれる冷たい光が、嘲笑うかのようにキプトを照らした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます